軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

連戦連敗の不死鳥は甲斐国に来たが

天正十八年(1590年)八月一日

甲斐国 躑躅ヶ崎館

「そうです。上手ですよ、竹と駒。そうやって、野菜を小さく切っておけば、火の通りが早くなります。それは、早く食べられると同時に、

薪の消費を抑えられる事に繋がって、家の無駄遣いが無くなるのですからね」

「「はい。督姫様、ありがとうございます」」

「ああ、もう。なんて二人共、可愛らしいのかしら!」

皆さんおはようございます。於大様と督姫様の言い争いが終結して、10日経ちましたが、督姫様の馴染みっぷりに驚いております柴田六三郎です

督姫様の教えられるレベルの特技は琴だと聞いていたのですが、料理もそれなりに教えられる様でした

俺の中で、馬鹿でかい領地を持つ大名の嫁さんは正室や側室問わず、料理をやるイメージなんて無かったけどなあ。それこそ、料理人の選抜試験をして、

その中から、複数人を選ぶというイメージがありましたが、あれは、かなり脚色しまくったドラマの影響だった様です。まあ、新しい発見だな

そんな新しい発見の中で、「明らかに督姫様の狙いが絞られた」と思うのが、武田家の姫達にも教えている以上に、最上家の2人と源次郎と花の長女の良花に

丁寧に料理を含めた色々な事を教えているのです。推測になりますが、その理由として、新次郎くんの祖母が、武田信玄の実の娘なので、

「近すぎる血縁が入るのは良くない」という判断なのでしょう。やっぱり、婚姻で家を広げていった大名やその嫁とかは、そこら辺を知っているのでしょうね

だって、竜芳殿の長女の竜代ちゃんと、五郎さんの三女の鈴ちゃんと四女の仙ちゃんは、督姫様の旦那の北条氏直と同じ、武田信玄の孫になるわけだし、

典厩様の孫娘の沙奈ちゃんは、武田信玄の弟の、武田信繁の曾孫になるけど、武田信玄も武田信繁も元を辿れば、武田信虎の息子だし、

武田信虎から見て、北条氏直は曾孫で、沙奈ちゃんは玄孫になるけど、それでもまだ近しい血縁関係になるから、それを考えたら、最上家の2人か良花が、新次郎くんか、新次郎くんの兄貴の嫁候補になるのは

仕方ないか。これで、俺に相談とか来たらどうしようか?と言うか、最上家と伊達家は親戚だったよな?

この事が、伊達家の義姫様に伝わったら、

「じゃあ、うちの孫娘も良いですよね?」なんて理由で、押し付けて来ないか?そんなのは、、、ありそうだよなあ、あの人、申し出の場でしか会ってないけど、

圧もクセも強い人だと判明したからなあ。流石にそうなったら、仮の本拠地である因幡国に置いておけないよなあ。それをいったら、最上家の2人もだ

伊達家の陸奥国も、最上家の出羽国も、どちらも五十万石越えの広大な領地だから、十万石くらいの因幡国じゃあ、無理だな

それを考えると、やっぱり播磨国の切り取りを頑張って、城を建てないと駄目なんだろうな、こうなったら、官兵衛殿と親父に

「俺の名前を使って脅していいから、播磨国の事、よろしくお願いします」みたいな文を送るか?俺が動けない以上、それが良いかもしれないな

どうせだから、播磨国切り取りで戦になった場合の戦力として、前田慶次郎殿にも来たもらうか?それこそ、久しぶりに慶之助くんに会わせてやりたい気持ちもあるし

そうしよう!決めた!よし、そうときまれば、朝飯を食ったら、農作業に行く前に、文を書いておこう!

六三郎がそう思いながら、朝飯を食べ終え、着替えて農作業へ向かおうとすると、

「六三郎殿!」

虎次郎が六三郎を呼ぶ。呼ばれた六三郎は大広間へ向かうと、そこには

「虎次郎様、仁科様、典厩様。この方々は一体?」

5人の武士が居て、全員の衣服がボロボロになっていて、寝ている。その5人に対して、虎次郎は

「六三郎殿、実はこの五人じゃが、盆地を埋め立てた畑で倒れていたのじゃ。朝早くに農作業に行った赤備えの方々が見つけたそうじゃ」

畑で倒れていたと説明する。それで分かるわけもないので、六三郎は

「虎次郎様、他に何か手掛かりになりそうな物はないのですが?」

他の手掛かりを質問すると、虎次郎は

「申し訳ない。この五人の中で、一番身分が高いであろう者が文を携えていた。もしかしから、ここ数ヶ月続いていた、六三郎殿への臣従の申し出の取次希望かと思って、失礼ながら、確保しておりました」

何かしらの文を持っていたから、確保したと伝え、それを聞いた六三郎は

「その文を見せていただいてもよろしいですが?」

と、言って、虎次郎から受け取る。文に目を通した六三郎は

(おいおいおい!文の中に、「常陸国の小田」って書いてあるんだけど?という事は、この人達は、あの連戦連敗で居城を奪われても、領民の皆さんと家臣の獅子奮迅の働きで、必ず城を取り返す

ネタ枠で「不死鳥」と呼ばれている小田氏治の使者という事か!しかしまあ、

この人達の領地が甲斐国に近いのか遠いのかは分からんし、領地も大きいのか小さいのかは分からんが、

何で、ここまでボロボロになっているんだ?まあ、とりあえずは、生きてるっぽいから、起きた時の為に飯でも作りますか!)

内心、ボロボロになっている事に疑問を持ったが、文を見て、臣従の申し出だと分かったので、躑躅ヶ崎館に残る事にした。この時の六三郎は

(まさか、他の4家と違って、「当主本人が申し出に来ました!」とか、無いよな?だとしたら、家臣が遠回しに、「殿か居たら戦に負けるので、戦場から遠い所に居てください」という感じで、ここに行かせたのかもな)

と、小田家の内情を推測していた。