軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

父の願いの後には子の重い願いが

「さて、虎次郎殿、五郎、典厩殿、そして六三郎殿。儂が竜二郎の事でお願いしたい事とは、元服の事じゃ」

竜芳殿の言葉に、五郎さんは

「兄上!竜二郎殿を武士として独り立ちさせると言うのですか!?」

驚きながら発言すると、竜芳殿は

「五郎。そういう事じゃ。此度の埋め立て作業にて、竜二郎は寺周辺以外の世の中を知った。そして、その時の竜二郎の声は、とても嬉しそうであった

それならば、親として更に広い世の中を知って欲しい!五郎、お主も娘達にそう思っているのではないのか?」

自分の思いと、推測ながら五郎さんの思いを口に出す。言われた五郎さんは

「はい。その通りです」

本音を口にする。本音を聞いた竜芳殿は

「そうじゃろう。それが、親というものじゃ。そこで儂がお願いしたい事は、竜二郎の元服の儀を執り行なって欲しいのじゃ。盲目の儂では、何もしてやれぬ

だからこそ、皆に協力してもらいたい!出家した儂が実家の武田家を頼る事など間違っている事は承知しておる!それでもじゃ!竜二郎の元服の儀を執り行なって欲しい!このとおり!」

そう言いながら、平伏して来た。その様子に虎次郎くんが

「二郎伯父上、承知しました!竜二郎殿の元服の儀、執り行ないましょう!」

元服の儀を執り行なう宣言をした。それを聞いた五郎さんも典厩様も

「兄上!たとえ出家していても、兄上は武田家の人間なのですから!その様な遠慮は不要ですぞ!」

「そうですぞ二郎殿!それに、虎次郎様と歳の近い一族の者が増える事は、とても良い事なのですから!」

と、賛成の言葉をかける。その展開に竜芳殿は

「皆、誠に、済まぬ。武田家の、役に、立てなかった、儂の願いを、聞いて、くれて」

と、泣いております。そんな中で虎次郎くんが

「それでは、竜二郎殿の元服の儀ですが、拙者としては、竜二郎殿を家中にお披露目する目的も兼ねて、早く執り行なった方が良いと思うのですが、

紹喜和尚!次の大安吉日は、何日後になりますか?その日に執り行ないたいのですが!」

竜二郎くんを家中に紹介したいから、最速の大安吉日を紹喜殿に聞いている。すると、

「虎次郎様。それでしたら五日後が一番早い大安吉日になりますぞ」

と、教えてくれた。すると虎次郎くんは

「では、五日後に躑躅ヶ崎館の大広間にて、竜二郎殿の元服の儀を執り行ないます!五郎叔父上、典厩叔父上。家中全体へ広めてくだされ」

「「ははっ!」」

即決した。更に五郎さんと典厩様にこの事を広める様、命令する。そのやり取りを聞いていた竜芳殿は

「虎次郎殿。拙者の記憶の中にある父も同じ様に即断即決しておりましたぞ。やはり、そこら辺は血筋と言うのでしょうなあ」

と、小さく笑っていた。そんな竜芳殿を見ていた典厩様が、

「儂の倅の次郎は、今頃どこで何をしておるのかのう?あの戦の直前、万が一を考えて西国方面へ逃したが」

ふと、そんな事を呟く。すると虎次郎くんが

「典厩叔父上!息子が居るのですか?」

呟きに反応すると、典厩様は

「ええ。あの戦が起きた年で十七歳でした。それで逃したのですが、五年過ぎた今も音沙汰が無く。ああ、申し訳ありませぬ!

せっかく竜二郎殿の元服の儀の話で盛り上がっていたのに!拙者の事は気にせず、話を進めてくだされ!」

少しだけ息子さんの事を話したけど、重い空気にならない様に話を戻す。それを理解した五郎さんが

「そ、そうですな!それでは、竜二郎殿の元服の儀は、五日後の大安吉日に、躑躅ヶ崎館で執り行なうという事でよろしいですな?」

と、仕切り直す。そしたら、虎次郎くんは

「ちなみにですが、二郎伯父上は当然として、紹喜和尚にも参加していただきますぞ!」

と、いきなり話す。紹喜殿は、

「虎次郎様。拙僧は場違いだと思いますので」

と、断ろうとしたが、虎次郎くんは

「何を仰いますか!竜二郎殿に文字の読み書きを始めとした、色々な事を教えたのは和尚ではありませぬか!それならば、師匠と弟子の様な関係ですから、

弟子である竜二郎殿の立派になった姿を見るべきです!竜二郎殿も、その方が良いですよね?」

紹喜殿が断ろうとしたのを却下して、更には竜二郎くんも巻き込もうとする。巻き込まれた竜二郎くんは

「紹喜様!拙者の元服の儀に出ていただけませぬか?」

と、平伏してお願いする。お願いされた紹喜殿は

「分かりました。弟子がそれ程までに頼んでくるのですから、元服の儀に出ましょう」

と、折れてくれた。それを聞いた虎次郎くんは

「和尚!ありがとうございます!そして、当然ながら六三郎殿!元服の儀に出ていただきたく!」

まさかの俺を指名して来た。俺は現状、仕事以外で武田家との関係は薄いと思うのだが

「虎次郎様。拙者は現在のところ、武田家の身内でもないのですが、よろしいのですか?」

確認で聞いてみると、

「何を仰るのですか!十年前に拙者や松叔母上を助けていただき、五年前の戦では五郎叔父上と典厩叔父上が討死しない様に動いてくださっただけでなく、

二郎伯父上と竜二郎殿が居る恵林寺一帯を守ってくださり、此度の埋め立てだけでなく、五郎叔父上に嫁を紹介してくださったのです!

それに、拙者の許嫁の江殿の兄君でもあるのですから、是非とも元服の儀に出てくだされ!」

これでもかの熱意で「出てくれ!」と言われました。ここ迄言われたら、ねえ

「分かりました。竜二郎殿の元服の儀に出ましょう」

「ありがとうございます」

虎次郎くんが納得してくれたので、これでお開きになるかと思っていたら、竜二郎くんから

「あの!柴田様!拙者から二つ、お願いしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」

何やらお願いがあるらしい。面倒くさい事じゃなければ聞いてみるか

※六三郎のこの発言はフラグです

「叶えてやれるかは分からぬが、とりあえず言ってみなされ」

「はい!ひとつは元服の儀に際して、柴田様のお名前の一字を使わせていただきたく!」

「それならば良いぞ」

「誠ですか!ありがとうございます!」

「それで、二つ目は何じゃ?」

「はい!拙者の妹の 竜代(たつよ) の許婚候補を探していただきたく存じます!」

「何故、儂なのじゃ?妹の竜代殿は、言わば武田家の姫にあたるのだから、虎次郎様、仁科様、典厩様の何方かに頼むべきと思うのじゃが?」

と言うと、竜二郎くんは

「現在、御本家の皆様は甲斐国の復興に専念している為、他の国に行く機会が少ないと聞いております。ですが、柴田様は戦は勿論、戦以外でも他の国に行く機会があると、

赤備えの皆様から聞きました。なので、顔は広いと思った次第にございます!どうか、妹に、竜代に良き殿方を!」

俺はが出張だらけであちこち行ってるから、顔広いでしょ?と言って来た。事実なだけに否定は出来ない

「とりあえず竜二郎殿、竜代殿の許嫁の話は、元服の儀が終わってからでも良いか?」

「はい!」

許嫁の話は先送りにしたけど、分家みたいなものとはいえ、甲斐武田家の姫だろ?どんな男を紹介したら良いかなあ。