軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

動いているのは北条家だけじゃない件

天正十七年(1589年)五月十日

甲斐国 躑躅ヶ崎館

「よし!今日はここまでとする!まだまだ明日以降も埋め立ては続く!皆、しっかりと身体を休めてくれ!」

「「「ははっ!」」」

皆さんこんばんは。甲府盆地の埋め立て工事が、いよいよ終わりに近づいている事を嬉しく思っております柴田六三郎です

いや、もう本当に。前年の弥生から始めた埋め立て工事ですが、開始時点では375平方キロメートルだったのが、今や残り20平方キロメートルになりました

ここ最近、越後国から逃げてくる人達も増えた事で、埋め立て工事に参加する人も増えたのですが、

やっぱり、人海戦術は効果抜群です。赤備えの皆に加えて、脳筋の兄貴分2人と、その家臣達が逞しいので、埋め立てが想定以上の早さで進んでおります

そして、同時進行で進めておりましたコンクリート製ハーフパイプの設置も、いつの間にやら上野国との境まで行っていた様で、水の流れが早くなった地域が増えたとの、報告がありました

これは、道乃の出産と同じタイミングか、埋め立て工事の方が、少し早く終わるかもしれません!

ちなみにですが、既に埋め立て工事が終わった地域には、麦、桃、栗に加えて、柿も大豆も葡萄も植えておりまして、麦以外は来年以降の収穫になりますので、

いよいよ、終わりが見えて来た!と、実感しております。もしも、この状況を壊そうと、戦を仕掛けてくる大バカ野郎が居たら、そいつ本人は勿論、家臣の奴らも殺意マシマシで攻撃したいと思います

それが北条家だったなら、大殿と殿と家康に心から済まないと思いながら、諦めてもらう様、祈りましょう

それじゃあ、帰って道乃を見たら休みますか

こうして、埋め立て工事の終わりが見えて来た事で六三郎は、安心感を抱きながら、寝床に着いた

翌日

「さて、今日も埋め立てに行ってくるぞ」

「お気をつけて」

皆さんおはようございます。道乃と朝食を食べ終えて、埋め立て工事に向かう柴田六三郎です。埋め立て工事の終わりが見えて来ると、辛い仕事も楽しく思えて来ます。それじゃあ、埋め立て工事に行って来ます

現場に到着するまでは、そんな明るい気分だったのです。あの人の兄弟に会って、とても嫌な情報を聞くまでは、どんな人で、どんな情報かと言いますと

場面は少し戻り、六三郎が埋め立ての現場に居ると、

「殿。お耳に入れていただきたい情報を、拙者の弟が持って来ましたので、会っていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

何やら、昌幸さんが真剣な顔で話しかけて来ました。これは聞かないといかんな

「分かった。源太郎と玄蕃の兄上と森様にも耳に入れてもらいたい。3人を集めてからじゃ」

「ははっ!それでは、集めてまいります」

昌幸さんはそう言って、3人を集めた。とりあえず簡単ではあるが、座れる所に集まると、昌幸さんは弟さんを連れて来て、その弟さんは

「お初にお目にかかります。拙者、真田喜兵衛の弟で、上野国沼田を領地としており、名目上の都合で北条家の家臣として仕えております

真田市兵衛信尹(さなだいちべえのぶただ) と申します。此度、兄上を通じて、話を聞いていただき、誠にありがたき!」

某歴史ドラマで、中々のドぎつい暗殺シーンの中心だった、真田信尹でした。まあ、あれはドラマだったから、いくらか盛ってるだろうし、この世界線で、

しかも目の前に居る現実の人だから、何も無いはずだよな?とりあえず、話を聞こうか

「これはこれはご丁寧に。市兵衛殿の兄の喜兵衛の主君の柴田六三郎です」

俺が自己紹介したら、信尹さんは

「兄上を召し抱えてくださり、誠に感謝しかありませぬ。ご存知とは思いますが、兄上は偏屈者やへそ曲がり者と言っても過言ではない程、手のかかる人間ですので」

兄の昌幸さんを軽くイジる。すると昌幸さんは

「これ!市兵衛!儂の事を話しに来たのであれば、帰ってもらうぞ!」

少しばかり、信尹さんを怒っていましたが、信尹さんは

「おや、兄上。その様にお怒りになるとは、兄上も自身の事を、そう思っているのでは?」

涼しい顔で、昌幸さんの言葉を流す。うん、やっぱ貴方達兄弟はどちらもクセ強です。これじゃあ、話が進まないから

「喜兵衛、市兵衛殿とは後でゆっくり話してくれ。それよりも今は、市兵衛殿が持って来た情報を聞きたい!市兵衛殿、話してくたされ」

「申し訳ありませぬ。市兵衛、話してくれ」

信尹さんの情報は

「ははっ。それでは、お伝えしたい情報ですが、上杉家家臣の新発田左源太という者が、此方を目指していると、その者の領地に潜伏させている手の者からの、報告がありました」

とても面倒な内容でした。それでもしっかり聞かないとな

「市兵衛殿。その、新発田左源太とやら、何故こちらを目指しているのか、詳しい理由を分かりますか?」

「はい。なんでも、領民や一部の家臣が領地から逃げ出し、此方で働いている事を掴んだ様で、それを奪われたと逆恨みしている様子です」

(ええ〜、なんだよそれ。どんな差配をしていたか知らないけど、それで甲斐国に来るのは八つ当たりじゃないか!ん?待て、確か上杉家家臣と言っていたな)

「市兵衛殿!その新発田左源太とやらの愚行を、義弟は、上杉越後守殿は知っておるのか?」

「いえ、新発田左源太の独断です。これも手の者から伝えられた情報ですが、上杉越後守殿が兵達を鍛える方法で、奥方様の実家のやり方、

つまり、これまでのやり方を改革しようとした事に不満を持っていた時に、此度の事を聞いて、暴発した。その様に見てよいかと」

信尹からの細かい説明を聞いた六三郎は

(おいおい上杉殿。古い人間ほど、新しいやり方を押し付けられる事を嫌がるんだから、じっくりと広めて行けば良かったのに、ああ、もう仕方ない)

「市兵衛殿、情報を伝えていただき、感謝します。ちなみにですが、その新発田左源太とやらの軍勢の数は分かりますかな?」

「新発田左源太だけならば、家臣だけで一千人、領民も含めると二千五百人になります」

「それならば、どうにか」

俺が余裕そうだなと思っていたら、信尹さんから

「ですが、新発田左源太の周囲、いわゆる揚北の者達が同調したら、その軍勢は一万三千と見た方が良いかと」

「軍勢が増える可能性があるよ」

と言われました。これは仕方ないな

「喜兵衛!今から上杉殿へ、この件を書いた文を書く!書いたら、倅達を急いで越後国へ行かせてくれ!」

「ははっ!」

もうすぐ埋め立て工事が終わるのに、戦を仕掛けてくるとかふざけんなよ!絶対許さんぞ!上杉殿が許可したら、新発田左源太とやらの首を晒し首にしてやる!