軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

選別組が出発した頃、他家でも動く準備が

天正十五年(1587年)五月六日

甲斐国 躑躅ヶ崎館

「お館様!行って来ます!」

「うむ。少しずつでも良いから、確実に岩の板を設置する地域を広げて行ってくれ!!頼むぞ!」

「ははっ!それでは、失礼します!」

皆さんおはようございます。秋山兄弟の出発を、虎次郎くん達と共に見送っております柴田六三郎です

前日に、秋山家の家族総出のゴタゴタを見て、更に虎次郎くんが、親父と利兵衛から搦手の使い方を教えてもらった事に驚いたりしましたが、

なんだかんだで秋山兄弟、というよりも当主の晴之助も、自分の行動ひとつで弟達までも窮地に陥ってしまう事を理解したのなら、良い勉強になった筈でしょうから、真面目に働いてくれるでしょう

それじゃあ、俺達も動きますか!

六三郎が準備に取り掛かりだした頃、安土城の信長と信忠は、各家臣に新たな領地への移動準備に関する文を書き終えて、これから送るところだったが、

安土城のある近江国に領地を持つ、秀吉、森長可、蒲生氏郷の3人は、直接言い渡す為に、安土城へ呼ばれていた

「殿!そして大殿!呼び出した理由は、新たな領地の事でしょうか?」

秀吉が質問すると、信忠が

「そうじゃ。その前に筑前、新たな本拠地は決めたか?」

秀吉の新たな本拠地を聞く。秀吉は

「ははっ!備中国に決めました!」

備中国に決めたと宣言する。それを聞いた信忠は

「そうか。ならば、毛利に半年以内に安芸国と周防国へ家臣達を全員移動させる様に文を出すから、筑前もその予定で動いてくれ。

それと、代官もしくは織田家の一門の者で石見国へ置く者が見つかるまでは、石見国を見てもらうぞ」

スケジュールを伝えて、秀吉もそれに納得して答える

「ははっ!」

秀吉の返答を聞いた信忠から、信長に変わる。その信長から

「勝蔵と忠三郎!お主達の新たな領地じゃが」

「「どちらになるのですか?」」

2人は前のめりで発表を待っていると、信長から

「先ずは勝蔵。お主の新たな領地じゃが、美濃国の東側半国とする」

「ははっ!」

「そして忠三郎。お主の新たな領地じゃが、飛騨国の東側半国とする」

「ははっ!」

2人共、新たな領地を聞いて、不満を口にする事もなく了承する。その態度に信長は

「二人共、何故東側半国か分かっておるのか?」

「「北条と戦になった時、先陣を切る為では?」」

2人に質問する。すると2人の答えは一致した。その答えに信長も喜びながら、

「その通りじゃ。今のところ、徳川家が北条へ織田家への臣従交渉をしてくれておるが、芳しくない。だからこそ、万が一を考えて、

お主達それぞれに、国の東側半国を領地として与えると同時に、北条との戦に、先陣を切る事が出来る様にしたのじゃ」

万が一を考えながらの配置であると伝える。それを聞いた長可から

「大殿!それならば、北条との戦になった時、間違いなく最前線になる甲斐国に、我々のどちらかを配置しても良いのでは?」

甲斐国に自分達のどちらかを配置する事を提案されるが、信長から

「それは出来ぬ」

「「何故ですか?」」

提案を却下される。2人に対して信長からの説明は

「現在、甲斐国では六三郎が甲斐国の復興計画の為に、配置されておる。しかも六三郎は親父の権六から七千もの兵を託されて甲斐国に居る

六三郎からしたら、復興計画の為の兵だと思うかもしれぬが、権六は万が一、北条と戦になった時の為の戦力として、七千もの軍勢を託したそうじゃ

更に申せば、六三郎の七千に武田家の三千、復興を手伝っておる上杉と徳川の者達も合わせた合計は、一万二千にもなる。その軍勢が甲斐国に存在しておるだけでも

北条は安心出来ないじゃろう。そこに勝蔵と忠三郎、お主達の軍勢で、どちらか片方だけでも甲斐国に入ったら、偶発的とは言え、戦が起きてしまう可能性が有る!

だからこそ、徳川家の交渉がはっきりと決まるまでは、お主達は美濃国と飛騨国の東側に配置する事が精一杯じゃ」

今の時点で、甲斐国を最前線にしない為の措置である事を伝える。それを聞いた2人は

「「分かりました。しばらくの間、新たな領地で大人しくしておきます」」

納得した様だった。2人の返事を聞いた信長も満足した様な顔になる。そして、信忠から

「それでは三人共、領地に戻って、移動の準備に取り掛かってくれ。筑前は特に、広い領地になるから大変だと思うが、よろしく頼むぞ!」

「「「ははっ!」」」

領地に戻って良いと言われて、返事をしたら、領地に戻って行った。3人が出て行った大広間で信長と信忠は

「さて、勘九郎よ。次は佐久間摂津、半介の事じゃが、どの様に沙汰をくだすか、考えておるか?」

「父上、申し訳ありませぬが、佐久間摂津の事ですが、領地に関して、毛利を途中まで追い詰めていたのですから、摂津国の安堵は当然として、

河内国から半国与えても良いと思っております。そして、残りの河内国の半国は細川家に与えても良いと思っております」

「領地に関しては、儂もそれで良いと思う。だが、勘九郎。お主が悩んでおるのは、半介の家督相続の事じゃろう?」

「はい。父上も同じでしょうか?」

「儂も同じじゃ!半介の本願寺と和睦した事、毛利を途中までは圧倒していた事、そしてこれまでの働き、見事であるからこそ、家督を譲っての隠居を許してやりたいが、

その家督相続させる嫡男の甚九郎が、出陣しないなど、言語道断!しかも、半介も甚九郎よりも、三男の新十郎の方が、武将としての素質を感じるとも言っておった

それを考えると、犬の前田家の様に家督を嫡男以外の者に継がせてしまうか?勘九郎、お主の考えを聞かせよ!」

信長は悩みに悩むも答えが出なかったので、信忠に話を振る。信忠はじっくりと考えていた様で

「父上。それならば北条が臣従しなかった場合の戦で、甚九郎と新十郎、どちらが佐久間摂津家の家督を継ぐに相応しいか、挙げた武功で決めてしまいましょう」

北条との戦での働き次第と、信長に伝える。それを聞いた信長も

「ふむ。それが一番分かりやすいか。分かった。じゃが、あくまで北条が臣従しなかった場合じゃぞ!臣従した場合も考えておけ!」

「ははっ!」

この後、各地の家臣達へ新しい領地への移動準備を書いた文を送った信長と信忠だったが、織田家の家臣として、

歴史も古く、それなりの立場もある佐久間家の家督に関する話は先延ばしする形を取る事にした。