軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

祝言の前に到着したから

天正十五年(1587年)一月二十二日

近江国 長浜城

「大殿!羽柴様!遅くなり、申し訳ありませぬ!」

「祝言は三日後じゃ。間に合っておるのだから、気にするな!」

「そうじゃぞ。だが、銀次郎殿の晴れ姿を見たい気持ちから早く到着したのであれば、見事な心構えじゃ」

皆さんおはようございます。越前国を出発してから、2週間で長浜城に到着しました柴田六三郎です

赤備えの皆と共に、祝言に間に合う様に出発したら、まさかの3日前に到着したので、どうやって時間を潰しながら赤備えの皆を隠す事に悩んでおります

何故なら、こんなガタイの良い人間が大量に居るのは、赤備えくらいしか居ないので、高確率でバレるでしょうから、本気で悩んでおります

そんな俺の考えが分かったのか、大殿から

「六三郎。銀次郎を驚かせて喜ばせようと考えておるのであれば、赤備え達は湯宿で働かせてはどうじゃ?

あそこならば、寝泊まりも出来るじゃろうから、上手く散らせば二百五十前後の人間は入るはすじゃ

藤吉郎!祝言当日まで赤備え達を寝泊まりさせてやってくれぬか?」

「はい。赤備え達の殆どが銀次郎殿と共に十年以上、六三郎殿と共に戦場を駆け抜けたのですから、その思いを尊重しましょう」

「大殿、羽柴様。ありがとうございます」

何とか赤備えの皆の寝泊まりする場所を確保出来ましたので、一安心です。ですが、そんな俺の安心は直ぐに無くなる事になりました。何故かと言いますと

「さて、六三郎。三日も何もしない日があっては、暇で暇で仕方なかろう!そこでじゃ!銀次郎と次の祝言に出す甘味をひとつ作ってもらおうではないか!」

そう、大殿が「おめでたい席に相応しい甘味を作れ!」と無茶振りしてきたのです。なので、

「大殿。それは、どの様な?」

聞いてみたら、まさかの

「お主の裁量に任せる!」

と言う、良く言えば信頼されて、悪く言えば丸投げ。が来ました。あまりにも大雑把過ぎるので、

「大殿、羽柴様。何かきっかけになるものを得られるかもしれないので、銀次郎に会いたいのですが、よろしいででしょうか?」

銀次郎に会って、話をしたいとリクエストしたら、

「会ってやれ。きっと喜ぶじゃろう」

「会って、安心させなされ」

許可をもらえたので、銀次郎の元へ行くと

「銀次郎様〜!夫婦になる事が決まったのですから、子作りを励みましょうよ〜!」

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくだされ次姫。まだ祝言も挙げてないのですから、子作りは早いと思います!」

「祝言より子作りが先か後かの違いだけです。小さい事は気にせずに、さあ!」

以前の様に、推定180センチの銀次郎か、150センチ台前半の小柄な次姫に迫られているのが声だけで分かる。面白いからそのままにしてやりたい所だけど、流石に止めないといけないよな

「銀次郎!次姫様!入りたいのじゃが、よろしいかな?」

いつもより大きな声で呼ぶと、

「殿!是非ともお入りくだされ!」

と銀次郎は言うが、

「柴田様!一刻後なら来ても大丈夫です」

と、次姫は、「今はダメ!」と言って来た。此処は銀次郎の言葉を優先しよう

「銀次郎!入るぞ!」

襖を挙げて、部屋に入ると、銀次郎は次姫に抱きつかれて固まっていた。銀次郎の力なら簡単に振り解けるのに、それをやらないなんて、銀次郎、お前はやっぱり優しいよ

俺がそんな事を思っていたら、

「次姫。殿が来たのじゃから、身なりを整えよう。な?」

着物を整えようと、次姫に言って、次姫は言われたとおりに整える。そして、やっと落ち着いたので

「さて、いきなりですまぬな、銀次郎、次姫様」

「いえ。久しぶりに殿のお顔を見て、嬉しいかぎりです。殿、此度の拙者の祝言に出席してくださるのですか?」

銀次郎は直ぐに聞いて来たので、

「勿論じゃ!大切な家臣の祝言じゃ!出ないでどうする!」

そう返すと、銀次郎は

「ありがとうございます。殿以外の出席する方々が、あまりにも遠い御立場の方ばかりでしたので、心細い状態でした」

泣きながら、そう話す。すると次姫は

「銀次郎様!私が側に居るのに、そんな事を言うのですか?」

不機嫌な顔と口調でツッコむ。なので、

「次姫様。銀次郎は次姫様以外の方々が、圧倒的立場の方々なので、そこに自身が居てよいのかと不安になったのです。それこそ、次姫様の夫に自分は相応しいのかと悩んでいる証と思ってくだされ」

そんな感じでフォローしたら、

「もう!銀次郎様!私が銀次郎様の嫁になりたいと決めたのです!二人の父の前で緊張したり、不安になったりするのは分かりますが、

私がお側で銀次郎様を、お支えしますから、その様な不安は捨てさってください!ね?」

機嫌が良くなった次姫は、銀次郎の不安を取り除く様に、優しく手を握る。それに銀次郎も

「次姫、済まぬ」

と、落ち着いた顔になった。なんだかんだで次姫の尻に敷かれながらも、お似合いの夫婦だよ。

それじゃあ

「話を戻すが、銀次郎と次姫様。実は拙者、内府様より、2人の祝言に出すに相応しい甘味を作る様に命令を受けました。なので、何か希望はありますかな?」

本題に入って、リクエストを聞いたら、

「殿!拙者は、美濃国の領地で食べた、赤い木の実を使ったパオンの様な物が食べたいです」

銀次郎は野苺を使ったジャムパンみたいな物。をリクエストして来た。じゃあ次姫のリクエストは何だ?

「次姫様は?」

「私は、そうですね。銀次郎様と私の幸せが末長く続く様な甘味をお願いします」

おっと!具体的なリクエストを出した銀次郎と違って、何ともフワっとしたリクエストだな。でも、3日も時間があるんだから、絶対に完成させよう!

「承った。銀次郎!次姫様。楽しみにお待ちくだされ!」

俺は、そう言って部屋を出た。それじゃあ、久しぶりの甘味作りだし、銀次郎と次姫の祝言が華やかになる甘味を作りますか!