軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

馬車を作る六三郎と笑うしかない文

「さて、完成した!それでは、先を進んでいる羽柴様と、安土城へ届けてくれ!」

「ははっ!」

六三郎に文を渡された、雷花の部下は即座に出発した。それを確認した六三郎は

「それでは出立、と言いたいところじゃが、流石に2人に儂達と同じ速さで歩けた言うのは無理か。かと言って、馬に乗せるのも、そうじゃ!こうしよう!」

何か思いついた様で、行動を始めると、それが形になった。それを見た官兵衛は

「六三郎殿、これは一体、何ですかな?荷車の手で押す所に紐をかけたと思ったら、その紐を二頭の馬の手綱に繋げておりますが?」

思わず、細かく質問した。それに六三郎は、

「こちら、洛中で見た牛車を真似てみた、仮の名で、「馬車」とでも呼びましょう」

馬車と答えると、官兵衛は

「牛車ならぬ馬車とは。また我々の常識の及ばない物が頭の中に出て来たのじゃな」

呆気に取られる。しかし六三郎は

「馬への負担を考慮したら、これか最適だと思ったのです。急ぐわけではありませぬが、長い距離を2人も乗せて移動したら、強靭な馬でも、

もたないかもしれませぬので、我々人間が歩く分には問題もありませぬし、2人を歩かせて、一条家の本家から睨まれたくありませぬから。拙者が歩けば良い事です」

そう説明すると、官兵衛も納得した様で、何も言わなかった。そして2人を荷車部分に乗せると

「改めて出立じゃあ」

安土城へ向けて出発した。一方その頃、六三郎からの文を届ける為に走っていた雷花の部下は、距離的に近い秀吉の元へ文を届け終えていた

天正十四年(1586年)十月十三日

備中国 某所

「殿!六三郎殿からの文でございます」

秀吉は清正から文を受け取り、読み出す

「公方も捕獲したのじゃから、慌てる必要は無いはずじゃが、何か起きたのか、どれ。「羽柴様へ。いきなりの文、申し訳ありませぬ。この文を書いている時点で、拙者は備後国に居るのですが、安土城へ向かう道中にて

浜に行き倒れている男女を助けたのですが、実は、この二人、かつて土佐国に領地を持っていた一条家の者達なのです。一条家と言う名でお分かりだと思いますが、

摂関家の一つ、一条家の分家にあたる家の子です。本人達から聞いた話では、父と兄が長宗我部殿との戦で敗れ、伊予国の河野家に身を寄せていたそうですが、

五月に備中国で起きた戦にて、父も兄も討死した事、更に前年に長宗我部殿が伊予国を征圧した事で、女子の方が兄の子、つまり甥を京の一条家の本家に預ける為、

分家とは言え、摂関家の姫君なのに、自ら船を漕いで、伊予国を出たそうなのですが、船が壊れて、行き倒れていた所を我々が助け出しました

そして現在、二人を一条家の本家へ届ける為に、共に移動しております。なので、安土城への到着はかなり遅くなると思われます。申し訳ありませぬ

ちなみに、同じ内容の文を安土城の殿と大殿へも届けております。改めて、遅くなる事、申し訳ありませぬ」と、あるが」

秀吉が読み終えて周りを見ると、輝元、元春、元親の三人が集まっていた。三人を見た秀吉は

「六三郎殿からの文、聞いておりましたかな?」

質問する。三人は

「「「全て聞いておりました」」」

と、答える。それを聞いた秀吉は

「なら、話は早い。六三郎殿が、今度は分家とはいえ、摂関家の者達を拾ったそうじゃ。まったく、大内家だけでも驚きなのに、更に摂関家の者も拾うとは、六三郎殿の近くに居ると、驚きばかりじゃ!」

六三郎の行動に大笑いしていた。そんな秀吉のあとに文を受け取った信長と信忠は

天正十四年(1586年)十月二十日

近江国 安土城

「大殿!殿!六三郎殿からの文でございます」

長秀から文を受け取って、読む。そして、読み終えると信長は

「また六三郎が、訳ありを引き寄せたか。しかも此度は、分家とはいえ摂関家に連なる者達じゃ!」

呆れ果てた様な言い方になり、信忠は

「父上。呆れる事も理解出来ますが、これは摂関家との繋がりが出来たと考えられるのでは?それこそ、文の中にある一条家の嫡男に妹か娘を嫁入りさせる事が出来る可能性が出て来たとも言えますし」

摂関家と親戚になれるチャンスと捉えていた。しかし信長は

「勘九郎、お主の考えておる事も分かるが、その嫡男の歳が書かれておらぬぞ。これで、その嫡男が十歳前後の子供、

いや、もしかしたら五歳前後の幼子の可能性もあるのじゃぞ?そこら辺の情報が来てからでも、繋がりを作る事を考えるのは、遅くないと、儂は思うぞ?」

年齢確認をしてからにしようと、信忠を宥める。そんな中で信忠は

「ならば父上。叔母が三十歳前後の女子であれば、三十郎叔父上に嫁入りさせるのは、どうでしょうか?」

信包に叔母を嫁入りさせる案を出す。それに信長は

「それに関しては良いと思うが、これでもしも十代の女子であったなら、三介の奴が、「何故、自分ではないのか?」と癇癪を間違いなく起こすじゃろう

最悪の場合、三介が三十郎も嫁入りした叔母も殺す可能性が高い。三十郎にはまだまだ生きて、儂達を補佐しつつ、三介を抑えてもらわねばならぬ

それを考えると、一門の中で、件の叔母が十代だった場合、嫁入りさせても問題無い者は、、、」

叔母の方を他の織田家一門に嫁入りさせるパターンを考えていたが、そこで言葉が止まる。信長の反応を見た信忠は

「父上。恐らく、叔母を嫁入りさせても問題無い者は拙者の考えている者と一致していると思われます」

「ならば、同時に発表してみるか」

「そうしましょう」

信忠の提案を受けて信長は

「ならば、せーので行こう。せーの!」

同時発表のタイミングを伝えて、発表すると

「「六三郎!」」

見事に2人共、同じ答えだった。答えを聞いた信長は

「やはり、そうなるか。しかし、三介以外の一門の者では、程良い歳の男は儂の弟達になるからのう」

自分の弟達を候補に上げて、信忠も

「叔父上達以外だと、源三郎より歳下の弟達、三吉、長丸、人、小洞、縁が居ますが、全員元服前ですから、叔母が十代であっても流石に」

独身の弟達を候補に上げるが、全員元服前の子供だったので、結局、

「やはり六三郎が筆頭候補かと」

「また柴田家、いや、六三郎の嫁取りで混乱が起きてしまうかもしれぬとは。勘九郎!とりあえず、この事は、六三郎が一条家の二人を連れてくるまでは考えてはならぬ!良いな!」

「ははっ!そうします!」

こうして、見方によっては六三郎に難題を押し付けようとしている信長と信忠だが、当人達が来るまでは、「何もしない!」と問題を先送りにする形に落ち着いた。