軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

六三郎が遠回りを決めた一方、毛利はパニック状態に

天正十四年(1586年)二月六日

出雲国 某所

「各々方!ここ数日、月山富田城を見張っていましたが、反応が無いのでこのまま石見国へ進軍しますぞ!」

皆さんおはようございます。前年から出雲国に入っておりました柴田六三郎です。じっくりと征圧地域を広げながら、

月山富田城のある地域を囲んでおりましたが、何の反応も無いので、そのまま素通りする事を決めました

勿論、中には反対意見もありましたよ、例えば上杉さんから

「六三郎殿。反応が無いのであれば、城を奪い、拠点としてもよろしいのでは?」

と言われましたが、

「上杉殿。その考えも間違いではないでしょう。ですが、土地勘の無い我々が城を拠点にしても、囲まれてしまったら援軍が無いのですから、そのまま進軍します」

そう言って、納得してもらいました。そして、進軍を再開している途中で、山中さんから

「しかし、柴田様は城を落とす事に興味を示さぬのですな。月山富田城よりも前に鳥取城があったのに、それすらも素通りなさるとは」

そう言われました。そりゃあねえ、史実の秀吉がえげつない事この上無い「 飢(かつ) え殺し」なんて策をやらないと落城出来なかった城なんて、スルーするのが正解でしょ

一説によると、信長から「鳥取城は壊さないで降伏させろ!」と言われたから、飢え殺しを実施したらしいけど、

それに、毛利は山陽に主力を揃えているはずだし、それなら俺達別働隊が動き回った方が、早いと思うんだよねえ。

で、毛利の本拠地の安芸国は石見国の真下にあるから、そのまま攻める事を毛利も警戒するはず

だから、遠回りになるけど石見国を征圧したら、安芸国へ直行せずに、長門国と周防国へ進軍する計画です。まあ、俺の中では

毛利に「長門国と周防国を守る為に安芸国の守りを減らす」か「長門国と周防国を捨ててでも安芸国を守る」の究極の2択を迫りたいと思います

六三郎がそんな事を考えながら、月山富田城を素通りすると、その事実は山陰の国人衆に知れ渡り、特に毛利配下の国人衆からは

「月山富田城を拠点にしたら、攻撃する狙いが外れた!」

「しかし、何故、毛利は月山富田城から出て織田を攻撃しないのじゃ?」

「もしや、家臣や与力に褒美として与える為に、あえて攻撃しないのでは?」

「いや、織田の軍勢には尼子家の残党が加わっておるそうじゃから、月山富田城の歴史を聞いて、籠城に適さないと判断した可能性も」

と、勝手な想像を膨らませていた。その結果、

「「「「織田とは戦わない!」」」」

と、山陰の国人衆のほぼ全てが、織田家に降伏する決断をくだした。そんな事を六三郎は当然知らない中での進軍なので、

天正十四年(1586年)二月二十日

石見国 某所

「柴田様!とうとう、石見国に入りました!これより先、毛利が是が非でも死守したい石見銀山があります。そして、石見国の南には、毛利の本拠地である安芸国かありますので、毛利の反抗が強くなります」

皆さんこんにちは。石見国へ入り、山中さんから石見国が毛利にとって、とても大事な場所だと説明を受けております柴田六三郎です

まあ、この時代だけじゃなく、いつの時代も銀は高値で売れるから貴重だし、銀山を奪われたら毛利家の生活が苦しくなるから必死に守るのも納得だけど、

「山中殿、正直に申すなら銀山に関しては、戦後処理の話し合いでどうとでも出来るじゃろう。それこそ、織田家の直轄地になる可能性が高い

それに今、儂達が銀山を奪っても、銀山を守る為に戦力を割くくらいならば、このまま進軍して毛利を叩く事を優先しましょう。各々方も、それでよろしいですかな?」

俺が後ろの各家に聞くと、

「黒田家はそれで構わぬ」

「上杉家も同じく」

「尼子家も同じく」

と、同じ答えだったので、進軍続行です。

六三郎が進軍を続行している頃、石見銀山の近くに潜んでいた吉川元春は、

「織田の軍勢は、月山富田城に入らなかったか。入ったのであれば、城を攻撃して殲滅出来たのに!運の良い奴らじゃ!」

悔しさと苛立ちから、自らの太ももを叩く。それを見ていた家臣から

「殿。落ち着いてくだされ。世鬼が織田の軍勢の情報を仕入れて来たのですから、その情報を見てから、新たな攻撃を考えましょう」

「それもそうじゃな。どれ、その文を見せてみよ」

そう言って、元春は六三郎達の情報が書かれた文を読む

「大将を務めるのは織田家重臣、柴田越前守の嫡男の柴田六三郎と言う武将か」

元春は六三郎の名前を見た直後、

「はあっ!?」

いきなり大声で驚いた。その理由は

「お、おい!この情報は誠か?この柴田六三郎とやら、今年で二十二歳とあるぞ!」

六三郎の年齢だった。元春の言葉に家臣は、

「拙者も信じられませぬ!ですが殿、確か十四年前に殿や小早川様も「有り得ぬ」と一蹴した戦の話が誠だとしたら、この柴田六三郎とやらの情報は正しいのかと」

「十四年前の戦?どの様な戦じゃ?」

「はい。当時、日の本随一の家であった甲斐武田家が、東海道から上洛する為に、織田と同盟相手の徳川に戦を仕掛けた際、別働隊の一つが、美濃国のとある土地へ攻撃を仕掛けた戦です」

家臣の説明に元春は思い出した様で、

「確か、全員武士の武田軍三千に対して、武士と百姓で混成された織田軍三千以下で、それも元服前の童が総大将を務めて勝利したという、あの戦の事か!」

「そうです。その戦で総大将を務めた童が、当時八歳だとしたら」

「この柴田六三郎とやらと同一人物ではないか!」

「拙者も殿と同じ考えです」

「ううむ。八歳で初陣を経験するなど、十一歳で初陣を経験した儂よりうつけではないか!なのに、何故あの様な巧妙な策が使えたのじゃ?」

「殿、その事なのですが、どうやら柴田六三郎率いる軍勢の中に、かなりの知恵者、それこそ小早川様に引けを取らない者が複数居る様です」

「その者達の情報は分かっておるのか?」

「はい。一人は柴田六三郎の家臣の真田喜兵衛、もう一人は、播磨国の小寺家の家臣だった黒田家当主の黒田官兵衛と分かっております」

「播磨国の小寺家は、毛利から寝返り要請の文を届けたのに、何故その家臣の黒田家が織田に味方しておるのじゃ?」

「推測になりますが、小寺家は毛利からの文に決断出来ない状況だったのでは?黒田家は小寺家が割れている中で独立したと見て良いかと」

「小寺家は優柔不断な当主のせいで、素晴らしい家臣を失ったわけか。そして、その家臣が織田に味方しておると」

「そうなります」

「しかし、この柴田六三郎とやら。月山富田城という拠点にするには良い城を素通りしてまで、何故進軍を急ぐのじゃ?まったく読めぬ!」

元春が六三郎の行動に悩んでいると、

「殿!小早川様からの文にございます!」

「又四郎からじゃと!山陽で何か起きたのか?文を寄越せ!」

元春は家臣から文を受け取り、読み出す

「どれ。「兄上へ。山陰の方は大きな被害が出てないと信じて、文を書きましたが、病に倒れていた太郎の体調が良くなって、拙者の元へ出陣して来たのですが、

太郎の奴、万が一を考えて、長門国に置いていた四千の兵を全員連れて来ました。更に太郎の奴は吉田郡山城の守りも殆ど連れて来ております

それでは、城の守りも無い状態なので、備後国の四郎に城の守りへ行く様、文を届けました。ですが、四郎の軍勢は二千以下です。もしも、兄上の軍勢に余裕があるのであれば、城の守りに兵を割いていただきたく」と、あるが、

太郎の奴!何故、戦況を確認してから出陣しない、あのばかたれが!これでは長門国からの援軍は期待出来ぬ!」

「殿。如何なさいますか?」

「石見銀山の守りを捨てる!こうなれば、石見国と安芸国の境で陣取り、織田を叩く!織田は石見国を征圧したら、安芸国へ来るに違いない!その時に!」

吉川元春は、甥である主君の輝元の出陣にブチギレるも、豊富な戦経験から、石見銀山を奪われても、本拠地の安芸国と、本城の吉田郡山城を守る決断をくだした。