作品タイトル不明
予想以上の感染への対処は
天正十三年(1585年)五月十一日
甲斐国 某所
「六三郎殿。此処が特に泥かぶれに罹った百姓が多い 登美村(とみむら) です。登美村の中でも、 竜地(りゅうじ) と、 団子(だんご) と呼ばれる地域は特に酷い地域です。
ですが、甲斐国の現状から、泥かぶれに罹っても、動けなくなる直前まで、農作業をやらないといけない程、甲斐国全体が困窮しているのです」
皆さんおはようございます。朝も早くから、泥かぶれとも、地方病とも、日本住血吸虫症とも呼ばれる感染症の感染地域を五郎さんの引率で、
赤備えの皆と一緒に見に来ております、柴田六三郎です。あ、上杉との戦を回避して休ませた新左衛門も復帰しております
躑躅ヶ崎館を馬で出発して、しばらく進んでいましたが、甲府盆地の底地というか、底地の周辺地域の土地に進めば進むほど、感染者が目に見えて増えて来ているのが分かりますが、同時に、これが原因じゃないのか?
と思う共通点も見つかりました。それは、「水の流れがほぼ無い!」と言う点です!前世で見た世界の奇病に関する本の中で、
「寄生虫に寄生された生物で、淡水に住む生物の殆どは、水の流れが無い湖みたいな場所、又は水の流れが弱い川の中や側に住んでいるから、
治療薬が無い場合は、水の流れを早くするか、埋め立てるかしないと、感染者を根絶出来ません」
と、ありましたので、今回の確認で恐らく、この作戦が効果的じゃないかな?と思える作戦が2つ思い浮かびました。ただ、どちらも多くの金と時間が必要なので、要相談です
俺がそんな事を考えていたら、
「若様!ではなく、殿!」
後ろから俺を新しい呼び方で呼ぶ声が聞こえる。まだ慣れないから振り向くのが遅くなる。それでも振り向くと、銀次郎が
「殿!いくつかの策が思い浮かんだのですか?」
「銀次郎、一応聞くが、何故そう思う?」
「いやいや、殿?我々と十三年の付き合いですよ、殿が何か考えている時は、左腕を下にして右腕を支えて、右腕で顎を触るか叩いている癖が出ておりますぞ?」
(マジで?俺、そんな癖が出てたのか?赤備えの皆を見ると、駄目だ。皆揃って顔を背けて肩が震えてる
つまり、お前達全員分かっていたと言う事か!これまでの戦の前に、俺はこの癖が出ていた事を考えると、かなり恥ずかしいのだが!)
六三郎はそんな事を考えていたが、平静を装って、
「そう言う癖が出ていたのか。無意識であったから何とも言えぬが、まあ良い!確かに策は思い浮かんだのだが、仁科様!策を発表したいので」
俺がそう言うと、
「わ、わ、分かりました!直ぐに、急いで、躑躅ヶ崎館へ戻りましょう!皆、泥かぶれが甲斐国全土から無くなる日は、かなり早くなるかもしれぬぞ!!」
「殿!誠ですか!」
「親戚を殺した憎き泥かぶれが」
「これで、これで」
五郎さんの歓喜の大声や、五郎さんの家臣の皆さんの涙が止まりません。これは、細かく説明するのは大変だろうけど、頑張るか!!
で、日が沈む前に躑躅ヶ崎館へ到着しまして、
「六三郎殿!五郎叔父上から、泥かぶれに対抗する策を発表すると聞きましたぞ!主だった家臣達に聞かせたいから、集められるだけ集めました!
是非とも皆の前で発表してくだされ!皆に協力してもらい、一日でも早く甲斐国を人間が住みやすい国に!」
虎次郎様、まだ元服前なのに目標と熱量が高い。でも、それくらいじゃないと、甲斐国全土を改善するなんて不可能だからね。それじゃあ、始めますか
「虎次郎様、発表はします。ですが、その前に、泥はどの様に作られますか?」
「六三郎殿。そんな悠長な」
「まあまあ、仁科様。今から策を始める事は不可能ですので、虎次郎様を始めとした皆様に、細かい部分も話し合いながら、進めていきましょう。虎次郎様、良いでしょうか?」
「それで、甲斐国全土が良くなるならば、やりましょう!」
「ありがとうございます!それでは、どなたでも構いませぬので、泥はどの様に作られるのか、お答えいただきたく」
俺がそう言うと、
「では、拙者が」
銀次郎の兄貴の惣右衛門さんが挙手した
「では、土屋殿」
「はい。泥は水と土が混ざって出来ます」
「そうですな。答えていただき、ありがとうございます。では、その水と土が混ざって出来る泥が、泥ではなくなる為、つまり、土と水に分けるにはどの様な事をやれば良いでしょうか?」
「それは拙者が答えたく」
そう言って挙手したのは、新左衛門の弟の新之助さんだ
「では、原殿」
「はい。泥を土と水に分けるのは、水が無くなり、土を干上がらせる事が良いと思います」
「ありがとうございます。その通りです。さて、皆様の中には、こんなまわりくどい事をせずに、さっさと策を発表して、明日から実行したら良いではないか!
と、思っている人も居るでしょう。ですが、この甲斐国全土に広がる泥かぶれ、実は拙者が幼い頃、父上が大殿と共に京へ行った時に、
大殿と顔見知りの南蛮人が、母国は勿論、日の本に来るまでに見て来た国の中で、「こんな奇病に罹っている者達を見た」と話していた中に出てくる奇病と全てが同じなのです」
俺がそう言うと、武田家の家臣の皆さん、それこそ、五郎さんも、典厩様も
「ま、誠か六三郎殿!」
「この甲斐国だけでなく、海の向こうの南蛮にまで泥かぶれが」
「そ、それで、南蛮の国では、どの様に泥かぶれが無くなったのですか!」
「その事をお伝えする為に、泥かぶれの原因とも、元凶とも、取れるものの事から話をしますので」
さて、今から話す内容は、時々グロい表現が入るけど、戦経験豊富な皆さんなら、耐えられますよね?