軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

目覚めた親父の言葉とは

鬼武蔵さんに付き添われて、親父が向かってくる。だけど、何だか遅い。あれか?目覚めたばかりで、筋肉か痩せて、うまく歩けないとかそう言う事か?

そんな事を考えていると、ようやく2人が俺達の前に到着した。大殿は気を利かせてくれたのか

「権六。儂よりも先に六三郎に言葉をかけてやれ!」

そう親父に促した。それを聞いた親父は

「大殿。申し訳ありませぬ」

と、しっかりと話していた。脳卒中で話せないとかの危険な状態は無くて、安心した。残る心配事は手足に麻痺が残っているか?だけど、とりあえず今は、

親父の言葉を聞こう。親父、何を言ってもいいぞ!

六三郎が心の準備が出来た事を察したのか勝家は、

「遅い!何処で道草を食っておった!!?大体、大殿よりも、お主達が先に到着する事が当然ではないか!

それをお主達は!しかも、徳川様の御嫡男であらせられる三河守様や、武田家の重臣の典厩殿を連れてくるという大役を担いながらも、遅れるとは!」

本当に3週間も意識が無い状態で寝ていたのかと疑う程、饒舌に喋り、六三郎を叱責していた。隣で支える長可が片耳を塞ぐ程の大声で

しかし、六三郎は冷静に

「父上。叱責はしっかりと受け止めます。ですが、その前に、拙者から父上へお聞きしたい事が」

「何じゃ?」

「森様の助けなく、己の足のみで立てますか?」

「立てるわ!勝蔵!支えから離れてくれ」

「は、はい」

勝家に言われた長可は、少し離れる。そして長可の支えが無くなった勝家だが、

「どうじゃ!しっかりと己の足のみで立っているであろう!」

と、両足で立ってみせて、問題ない事をアピールしたが、六三郎は

「父上。その足の震えは目覚めたばかりで、足が少しばかり弱っているから。と見ます。ですが!

次、もしも戦場で此度の様に倒れたら、父上の年齢的にも、肉体的にも、死んでしまう可能性が高いのですぞ!」

勝家に現実を突きつけて、最終的に、

「父上!!大殿達が居りますこの場で申し上げますが、拙者に家督を譲り、母上と共に越前国で過ごしてくだされ!」

家督継承を要求した。それに対し勝家は

「六三郎。それは、儂が戦場に居ては、大殿は勿論、又左達にも要らぬ心配をかけるからか?」

意外にも冷静な答えを返す。六三郎は

「はい!その通りです!齢六十を超えて尚、戦場に立つ父上は憧れの存在ではありますが、それは裏を返せば、拙者が不甲斐ないから!と、言う事でしょう

ならば、拙者はこれから父上が何の心配も要らぬ武将として戦場に立ちまする!なので、父上!そろそろ自らを労って、慈しんでくだされ!」

胸の内を全て話す。それを聞いた勝家は、

「言う様になったのう六三郎」

と、言いながら、六三郎の頭を撫でると、

「父上!手が!」

六三郎は勝家の右手の異変に気づいたが、勝家は

「そうじゃ。寝ている間に、少しばかり動かなくなってしまった。右は駄目でも左が動かせるならば、と思っていたが六三郎よ、お主の言葉で決心がついた

片腕しか使えぬ武士は、戦場においては足手まといじゃ。その様な武士として半端者は、

しかも還暦を超えた年寄りは、もはや隠居して余生を過ごすか、主家の為に後進を育てるかのどれかしか出来ぬ」

「では、父上!」

「うむ。六三郎、お主に家督を譲ろう。ただし、条件付きでじゃ」

「どの様な条件でしょうか?」

「上杉との戦を弥生のうちに終わらせよ!儂の跡を継ぐのであれば、やってみせよ!」

勝家は家督継承の条件を出したが、信長から

「あ〜、権六よ。少し良いか?」

待ったが入る。それを見た勝家は

「大殿。六三郎に何か至らぬ事がありましたでしょうか?」

信長に六三郎の問題点を指摘してもらおうとした。しかし信長は笑顔で

「権六よ。お主が出した家督継承の条件ならば、六三郎は既に成し遂げておるぞ!」

「えっ!!?大殿、それは誠ですか?」

「誠じゃ!上杉家が敗れた証として、この二人が居る!済まぬが、二人共。六三郎の親父である柴田越前守に簡単で良いから自己紹介せい!」

「上杉家当主、上杉越後守喜平次景勝にございます」

「家臣の直江平八兼続にございます」

「上杉越後守殿。がこの場に居ると言う事は、大殿?」

「そう言う事じゃ!六三郎が策を考え、赤備え達と共に最も危険な場所を請け負った結果、上杉家は降伏し、臣従した!そう言う事じゃ!」

「拙者が寝ている間に」

「権六よ。そう言う事だから、儂はお主に少し良いか?と聞いたのじゃ」

「そう言う事でしたか、早とちりして申し訳ありませぬ」

「まあ良い。それでは六三郎に柴田家の家督を譲る。と言う事で良いな?」

「はい。常識外れな事この上ない倅ですし、戦経験もそれ程多いわけでもありませぬが、今ならば、家督を譲っても大丈夫でしょう。

六三郎!柴田家のこれからを任せたぞ!儂の事なんぞ気にせずに、領地を発展させて、織田家の発展の為にも尽力せよ!」

「ははっ!父上が「もう少し早くに家督を譲っていたら良かった」と思うくらい、領地を発展させ、織田家の更なる発展の為に尽力します!」

「その言葉が嘘偽りにならぬ様、精進せい!」

「ははっ!」

「大殿。話が長くなりましたが、そう言う事になりましたので」

「うむ。あとは安土城に居る、織田家当主の勘九郎の了承のみじゃが、六三郎はこれから甲斐国の土地改善じゃ。だから権六よ、

六三郎の代理として、儂がお主と共に勘九郎の前に出て、家督継承の件を話す。それで良いな?」

「ははっ。何から何まで申し訳ありませぬ」

「気にするな!儂とお主の三十年の仲じゃ!家督を譲った者同士、しばらくのんびりするとしよう!

そうじゃ権六!お主も露天風呂を経験してみると良い!よし、決まりじゃ!勘九郎に家督継承の件を伝えて了承を得たら、露天風呂に行くぞ!」

「大殿の御命令とあれば」

「その様に固くならずとも良い!そうじゃ!どうせならば、越後守と直江平八!お主達は、臣従の挨拶と並行して、儂と権六と共に露天風呂に入れ!」

「どの様なものかは分かりませぬが」

「断るなどありえませぬ」

「それでは、早めに戦後処理を終わらせて、近江国へ向かうとしよう!」

こうして、勝家は自身が六三郎に出した家督継承の条件を六三郎が既にクリアしていた事と、自身の年齢と右手の麻痺も含めて、六三郎に家督を譲る決断をした。