作品タイトル不明
若武者達が急いだら出張延長確定
天正十年(1582年)三月一日
近江国 安土城
「勘九郎、予想以上に早く到着したな!もう数日かかると思っていたぞ!」
「父上。皆、筑前の嫡男を早く見たい気持ちから、進みも早くなり結果、今日到着したのです」
信長と信忠は、三成達が急ぎに急いで安土城に到着した事に笑っていた。そんな中でも、三成は
「内府様!殿の元へ、我々はいつ出立してもよろしいのでしょうか?」
と、空気も読まないで本来の目的を伝えていた。それを聞いた信長は、
「はっはっは!佐吉よ!長浜城へ行くのは、明日じゃ!慌てずとも良い!」
「紀之介の母のひな殿と、小一郎様のお子達は明日で良いと思いますが、我々五人は今からでも」
三成の逸る気持ちに信長は、
「佐吉、明日に出立する理由はな、儂も共に行くからじゃ!筑前は、先日。寧々に続き側室が子を産み、近々山陰方面軍として出陣する。
その出陣を儂から兵糧やらを受け取る為に、長浜城で待機しておるのじゃ。お主達をその時迄に連れて行く事が出来たら、会って再び召し抱えるかを答えよ!
と、伝えておる。だから、お主達だけ行かせるわけにもいかぬ!今日は休め!」
「ははっ!」
と、出立しない理由を事細かに教えて納得させた。
天正十年(1582年)三月四日
近江国 長浜城
「殿。大殿が佐吉達を連れて参りました」
「うむ。助作よ!殿は佐吉達を連れて来ると仰ってくださったが、出陣前に連れて来てくださるとは。さあ、佐吉達はどれだけ鍛えられたか見ようではないか」
「ははっ!」
秀吉は三成達の成長に期待しながら、信長を待っていた。そして、信長達が到着すると
「殿!久しぶりにございます!上座へどうぞ!」
「うむ。あまり長居しない様にするからな」
「ははっ!殿、早速で申し訳ありませぬが」
「うむ!これが、儂からの兵糧や武器弾薬の目録じゃ!家臣に確認させよ!」
「ははっ!」
秀吉は目録を受け取ると、家臣に渡した。その後、
「殿!五日前に二人目の子が産まれました!娘でございます!産んでくれた側室も、娘も無事でございます!」」
「うむ!無事に産まれたならば、何よりじゃ!嫡男の長望丸は健やかに育っておるか?」
「はい!毎日乳母の乳を飲み、長く眠っておりますので、大きく健やかに育っております」
「はっはっは!正しく「寝る子は育つ」じゃな!」
「はい。しかも、六三郎殿が乳母の乳が多く出る様に、乳母の身体を鍛えて、食事も気を使った物を出してくれております。その成果が早くも出ているのだと」
「はっはっは!六三郎よ!筑前や女房達以外も身体を鍛え、飯も気を使うか!」
「はい。羽柴様には、これから出陣する戦で勝ち進み、無事に戻って来てもらう為に、「我が子の成長をこの目で見る」という目的を持っていただく為でございます」
「はっはっは!筑前の戦う目的だけでなく、帰ってくる目的まで作るか!だが、悪くない!筑前!これ程言われておるのじゃから、
時間がかかっても、山陰方面は制圧しないと六三郎に申し訳が立たんぞ?」
「ははっ!六三郎殿は、拙者や寧々、更には側室達の為に粉骨砕身の働きをしてくれたのです。出来れば戦果を目の前で伝えたかったのですが、
六三郎殿は近々、越前国に戻りますので、文で伝える事になりますが、しっかりと役目を務めあげたいと思います」
秀吉がそう言った後、殿の顔が何やら悪い顔になった。何か嫌な予感がするのですが?
「その事じゃがな筑前。お主の了承が出たら、この話を進めたいのじゃが」
「どの様な話でしょうか?」
「次の事じゃ。お主からの文で六三郎の家臣の土屋銀次郎とやらの嫁になると言っておるそうじゃな?」
「はい。その事は六三郎殿と話し合って、殿が了承したら。と、なりましたが」
「その事で次と銀次郎を連れて参れ。二人に色々確認したい」
殿から次姫様と銀次郎を連れて来いと言われたので、助作さんが連れて来たら
「次よ。この様な場では、その様にくっつくのは。しかも、まだ夫ではない男に」
と、殿から注意されるくらい銀次郎の腕に絡みついています。銀次郎も無理矢理剥がすとかは出来ない様なのですが、次姫様は
「父上!私が惚れたお方なのです!他の女子に行かない為に捕まえているのです!父上や筑前や六三郎殿の前でしかやりませぬ!」
と、「他でやらないからいいよね?」みたいな事を言ってます。改めて、かなりのじゃじゃ馬だな。そして銀次郎は緊張のあまり、何も言えません、でも、殿はそんな次姫様や銀次郎に怒らないんです
それどころか、こんな事を言って来たのです
「そうか!だが、次よ。お主のその気持ちがいつまでも続くと儂は思えぬ!」
「いくら父上でも、そんな事を言わないでください!」
次姫様も負けてない。やっぱり殿の娘だな。で、そんな次姫様に殿は
「だからこそ次よ、お主の気持ちが本物ならば、嫁入り前の状況でも耐えられるな?」
「どういう意味ですか?」
「お主が銀次郎に惚れておるならば、銀次郎の嫁になれない状況であっても、他の男に目が行かずに耐えられるかを聞いておるのじゃ!!」
ちょっと殿?次姫様?思春期特有の親子喧嘩はやめてください。やるなら、安土城の中でやってください。俺以外にもそう思っているであろう状況でも次姫様は
「当然です!銀次郎様以外の男に目が行くなど、ありえませぬ!
反抗期真っ只中の答えをしております。それに対して殿は
「ならば、次よ。お主が銀次郎の嫁になる為に試練と条件をつける。それを達成したならば、銀次郎の嫁になる事を許そう。出来るな?」
「当然です!それで父上!どの様な試練と条件ですか?」
「うむ。先ず、条件として次を筑前の養女にする。これの意味は分かるな?」
「家格の問題ですね?」
「そうじゃ!儂の娘として銀次郎に嫁入りしたら、色々と面倒な事になる。だからこそ筑前の娘として嫁入りせよ!筑前、良いな?」
「はい。殿の次姫様への優しさですから」
「うむ。済まぬな。そして次よ!お主の嫁入りの試練として、筑前が戦を終えて、長浜城に戻るまでは嫁入りを禁ずる!これくらい耐えられるな?」
「耐えてみせます!私の銀次郎様への思いは、筑前、いえ義父上が戦で頑張っている期間が長いくらいでは揺らぎませぬ!」
「その言葉と信念、曲げるでないぞ?」
「勿論です!」
「筑前!そういう事じゃ。済まぬが」
「殿。そう言う事でしたら喜んで。それに、殿と次姫が言っております事は、六三郎殿が長浜城に居る期間が延びる事と同じですからな。
拙者としても、側室達の事を心配しなくて済むので、むしろありがたいです」
「納得してくれたか、済まぬな。そして六三郎!まだまだ長浜城で働いてもらうが、よろしく頼むぞ!」
「ははっ!」
こうして俺の出張の延長が確定しました。その後秀吉が、
「殿。佐吉達の顔を見たいのですが、呼んでも良いでしょうか?」
三成達を呼ぶ許可を殿に頼んだけど、どうなるかな?