軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

その後の予定を伝えたら

天正九年(1581年)一月五日

越前国 柴田家屋敷

「母上。只今戻ってまいりました」

「六三郎!よくぞ無事でした。兄上から事と次第によっては、あなたも戦に巻き込まれるかもしれないと聞いていたのですよ。本当に良かったです」

皆さんおはようございます。去年の暮れに、やっと織田家の兄弟間の争いに終止符が打たれて、実家に戻っております柴田六三郎です

殿からあの後、俺が手助けしていた三七様が従五位下伊勢守の官位をもらうと同時に、北畠家の当主の座は、前の当主の 具教(とものり) さんの嫡男の 具房(ともふさ) さんという本来の血筋に戻すそうです

流石にアホボンをそのまま北畠家に置いとくのはねえ。で、三七様の神戸家に北畠家が臣従する事も了承した様で、改めて神戸家が伊勢国の太守に決まりました

そこら辺の事は、俺が口出し出来ない事なので、とりあえずお袋と妹達、そして弟に会いに顔を出しております。そこでお袋へまた出張の事を伝えないといけないのが、とても気が重いです。

殿から内容を書いた文を貰っているので、いざとなれば文を見せたら納得するだろうとは言っておりましたが、それに加えて虎之助達4人も越前国へ連れて行け!

その後の出張に連れて行くかはお前に任せる。とまで言われたので、とりあえず利兵衛に面倒を見させています

「何とか戦に巻き込まれる事なく、戻ってまいりました」

「先ずはお疲れ様でした。それで、争いはどの様な結果になったのですか?」

お袋に事の成り行きを説明すると、

「何とまあ。それでは三七殿が伊勢国の太守になる事は確定した上で、三介殿の身柄は三十郎兄上に預けられていると。その上、三七殿は新しい嫁を手に入れて、

基本的には良い結果で終わった様ですが、六三郎。あなたは猿の元から出奔した四人をどの様に扱うつもりですか?」

「拙者としては殿の命令で、土地の復興を命じられて行く場所に全員まとめて連れて行こうと思っております」

「六三郎。その後はどうするのですか?」

「その後とは?」

「行った先の土地の復興を終えた後です。そのまま召し抱えるのか、それとも猿の元へ帰すのか。です」

「拙者としては、羽柴家の家督が弟の小一郎殿になったなら、帰しても良いと思っております」

「それは何故ですか?人格的な理由以外に理由があるのですか?」

「母上。今から話す事は、拙者達以外では殿と勘九郎様と三七様だけが知っている事です。母上を信じて話します。他言無用を、特に筑前殿を罵倒したい気持ちがあっても口に出さずに、文に書かずに

胸の内に閉まっておいていただきたいのです。お願い出来ますか?」

「六三郎がそこまで真剣な顔で言うとは、余程の事なのですね。分かりました、胸の内に閉まっておきますから、話してください」

「では。此度、4人に加えて紀之介殿の母君のひな殿は出奔した際に、小一郎殿のお子、それも男女の双子を託されたのです」

「子供を託したとは、どう言う事ですか?捨てたわけではないのですね?」

「小一郎殿は、主君であり兄でもある筑前殿に未だに子が出来ぬ事から、自身に子が出来た事を知ったら、奪われてしまうかもしれぬ、最悪の場合殺されてしまう事を危惧して、

我が子の成長を見る事を諦めて、無事に育つ為に筑前殿から遠い所に行かせたのです。それは我が子を奪われない為であると同時に、

自身しか筑前殿の暴挙を抑えられないと分かっているからなのです」

「猿の子でないのならば、私も憎しみや殺意は湧きません。ですが、この事を権六様に言わないのは、やはり」

「はい。父上ならば、「藤吉郎がその様な事をする筈が無かろう」と間違いなく言うでしょう。それに、拙者としては虎之助殿から教えていただいた、筑前殿の計画に悍ましさを感じたので、

今となっては筑前殿に、柴田家に関わる者は男女問わず近寄らせたくありませぬ」

「待ちなさい六三郎!猿の計画とは何ですか?」

「最初は父上から教えていただいたのですが、筑前殿は父上に対して、「養子の嫁に末の姫君を」と懇願していたのですが!」

「何ですか!そのふざけた話は!?権六様は当選、断ったのですよね?」

「父上は即決出来なかったので、拙者に聞いて来ました。勿論、拙者は「断るべきだ」と言いました

それこそ、殿の命令で文を殿の養女として治兵衛殿に嫁がせた場合、万が一にも筑前殿に実子が出来たならば、

治兵衛殿は殺されてしまうかもしれませぬ

その事も含めて、父上には強く断る様に言いました」

「それならば安心ですが、虎之助が言っていた悍ましい計画とは何ですか?」

「母上。母上が聞いたら吐き気を催すかもしれませぬ。それでも聞く覚悟はありますか?」

「勿論です!我が子を守る為に、対策をする為にも聞かないといけません!六三郎、話なさい!」

「では。虎之助殿が話してくださいました筑前殿の計画ですが、文が年頃になったら治兵衛殿から奪って、自らの側室にするとの内容です」

俺が話すと、お袋は静かになった。ドン引きしているのかと思ったら、

「あの猿め!満福丸を殺しただけでなく、文を奪い、更には慰み者にしようと考えておったとは!

最早存在する事自体許せぬ!!その様な悍ましい事を考えておる者よりも、小一郎殿に家督を継がせた方が良い!

嫡男が居るなら、尚の事です!六三郎!あなたもそう思いますよね!?」

「筑前殿が変わらないのであれば、小一郎殿の方が」

「母は決めました!この事を三郎兄上と勘九郎殿に伝えます!勘九郎殿の元に小一郎殿の子達が居るならば、岐阜城に呼び出すらのも良いでしょう!

六三郎!伊賀国と大和国に行く前に四人を連れて、岐阜城で小一郎殿に会って猿から家督を奪う様に説得して来なさい!それか、猿から離れる事を説得して来なさい!」

お袋にこれからの予定を伝えたら、他所の家の問題に口出しして来いと言われましたが、流石に無理だろ?