軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

押した次も驚かされて

「柴田殿。織田家と徳川家を合わせた軍勢とは戦いたくないのは本音じゃが、領民と共に稼いだ儲けを神戸家に渡すというのは流石に」

「これは言葉足らずで申し訳ない。儲けその物を神戸家に渡すのではなく、帳簿上の儲けを神戸家の帳簿に足すのですよ」

「誠か?誠に、神戸家に銭を渡さないで良いのか?」

「ええ。この件は、織田右近衛大将様にも了承を得ております。そこまでしないと北畠家に勝てないと分かっているからこそ、神戸三七様は形振り構わず動いているのです」

「確かに形振り構わず動いておるが、何故にその様な事を?何か事情があって、神戸殿はその様にしておるのじゃ?」

「これは、拙者の父から教えてもらったのですが、織田家の家督を継ぐ織田勘九郎様と北畠三介は、同じ母親から産まれているのに対して、

神戸三七様は、お二人の母親より立場の低いお方から産まれました。お二人の母親は他にも右近衛大将様の子を多く産んでおり、側室の中でも1番と言って良い程

立場が上なのですが、神戸三七様の母親は、母親の父の立場が低い為に、三七様を産んでも立場が上がる事は無かったそうです

それでも三七様は腐らずに教養を身につけて、武芸を磨き、次代の織田家において必要不可欠な人物になったのです

その事を右近衛大将様も、勘九郎様も認めておられるのですが、親族と言えど特別扱いは出来るかぎりしたくないからこそ、此度の内政での争いで勝敗をつける流れになったのです

城戸殿。味方が殆どいない状況で、自らの手で味方を増やして来た者の強さは、知っておいででは?」

「はっはっは!成程。柴田殿は、神戸殿と儂が近いと思うか。だが、その通りじゃ!儂は父の後を継いだ時の領地は、今の領地の半分にも満たなかった

それを周りの者達と開墾し、敵が来たならば先陣を切って撃退していく暮らしを続けた結果、今の大きさの領地になった。神戸殿はそれと同じ様な苦労を知っておるのならば、

確かに儂と近いと言えるな!良かろう!自らが前線に立って戦う事と働く事、多少の違いはあれど自らが動く事に変わらぬ!

柴田殿!この城戸家、要望通り年内限定で神戸家に協力致そう!」

よっしゃキター!協力取り付けたぞ!これで、アホボンが伊賀国を攻撃したら、殿は間違いなくブチギレだろうな!間接的に織田家に協力している家を攻撃したら、

殿が親バカならぬバカ親じゃないかぎり、アホボンを処罰するだろうし、これで何とか勝てる可能性が増えたぞ!その前に、これを伝えておかないとな

「城戸殿。ありがたき!感謝の証と同時に御領地の儲けを増やすであろう物をお渡ししたいのですが

城戸殿の代理の方でも構いませぬので、どなたか拙者達と共に北伊勢に来てくださいませぬか?三七様から許可は得ておりますので」

「ならば、この者を行かせよう」

と、城戸殿は霧丸を指差した。うん、人選は良いかもしれないけど

「城戸殿、ひとつ宜しいでしょうか?」

「何じゃ?」

「此方のお屋敷に来る前に呼びやすい名で、霧丸と名付けた、此方の方ですが、お顔を隠したままだと、怪しまれるので、顔を見せる事が出来ないならば、別の方をお願いしたいのですが」

俺がそこまで言うと、

「はっはっは!柴田殿、仮の名で霧丸とは。随分と男らしい名を付けたのう」

何か城戸殿が大笑いしているんですが?どういう事ですか?

「あの、城戸殿?」

「まあまあ柴田殿。今、この者の正体を明かすから待ってくれ。頭巾と装束を全て外して本来の姿を見せてやれ」

「はい」

霧丸はそう言いながら、隣の部屋に入って行った。で、少し経ったら部屋から戻って来たんですが、

「「「えええ!」」」

俺だけじゃなく源太郎も喜三郎も、大声で驚きました。だって霧丸の正体が

「城戸陸奥守の娘の 雷花(らいか) でございます。先程はご無礼の数々、申し訳ありませぬ」

と、目力強めの美女だったんです。先程とは違って、綺麗な着物姿で平伏して謝ってるんですから

で、俺達が驚いていると、

「父上!また、客人を驚かせて楽しんでおるのですか?あまりやり過ぎると」

今度は細マッチョイケメンが別の部屋から出て来た

「あの、城戸殿?此方の若者は」

「うむ。倅じゃ。ほれ、挨拶せい」

「城戸陸奥守の嫡男、 城戸鷹三郎正吉(きどたかさぶろうまさよし) でございます」

「これはこれは、柴田六三郎長勝でございます」

俺の名前を聞いた鷹三郎さんが

「あなた様が、あの「柴田の鬼若子」と呼ばれております柴田六三郎殿ですか!一度お会いしたかったですぞ!

二つ名のせいで、一部の者からは「身の丈が七尺ある」だの、「鬼が持っている様な金砕棒で敵の砦を一撃で壊した」だの、「家臣は全員赤鬼」だのと言われておりましたが、やはり噂は只の噂でしたな」

うん。俺のイメージがどんどん人間じゃなくなっている。源太郎と喜三郎、肩が震えて笑いを我慢している事はバレバレだぞ?とりあえず、普通の人アピールしておこう

「鷹三郎殿。拙者は見た目も身の丈も含めて、何処にでもいる凡庸な人間にございますので」

俺のアピールに城戸殿が

「はっはっは!柴田殿、何処にでもいる凡庸な人間が、米の生産が難しいとされる三河国で、収穫量を三倍に出来るわけが無かろう」

と、俺の過去を暴露して来ました。やめてくれませんか?俺は目立ちたくないのです

「あの城戸殿。三河国の事は、拙者1人でやったわけではありませぬぞ。松平家の皆様と三河国の百姓の方々の協力があったからです」

「何とも謙虚であるな。しかし、人と協力する事の大切さをとても理解しておる。誠に十六歳の若武者と思えぬな、儂との交渉で一歩も引かぬ事も普通の若武者は出来ぬからな

うむ。柴田殿、先程の儂の代理の件じゃが、娘の雷花と数名を儂の代理として連れて行ってくれ」

「かしこまりました。出来るかぎり早く、ご息女の雷花姫をお戻ししますので」

「うむ。いくら近い距離といえど、流石にもう夜じゃ。明日の朝まで休んでいきなされ」

「では、お言葉に甘えさせていただきます」

交渉はまとまったけど、何かいつも以上に疲れました。