軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

交渉開始は驚きから

天正八年(1580年)五月六日

山城国 洛中

「それでは三七様。行って来ます。皆、店の事、頼んだぞ」

「うむ。六三郎殿も気をつけてな」

「若様がお戻りになるまで、店を守ります」

皆さんおはようございます。神戸家の皆に見送られながら、伊賀国への交渉に出立しました柴田六三郎です

一部とは言え、伊賀国を伊勢国の争いに巻き込んでいいのか?と思うところもありますけど、俺としては、

例え伊賀国の一部だとしても、神戸家に協力してもらうと同時に、年が明けたら俺が召し抱えたいから交渉するんですよ

俺が召し抱えたい理由は、ただ1つ!万が一にも本能寺の変が起きた場合の情報収集を秀吉よりも早くやりたい!

もしも、明智様以外の誰かが本能寺の変の実行犯になったなら、情報を集めて早く動かないと、史実どおりになってしまうからね

そう考えると、今回の交渉は命懸けと言っても過言ではないです。まだ、天正8年じゃないんです

「もう」天正8年なんです。史実どおりに進んだら、親父と俺は天正11年の4月に北ノ庄城を枕に討死してしまうんですから!

そんなのまっぴらごめんですよ!ああ、すいません。話がそれましたね。とりあえずは、伊賀国の東端へ急ぎましょう

天正八年(1580年)五月二十日

伊賀国 某所

「大体、ここら辺か」

皆さんおはようございます。伊賀国の東端に着きました柴田六三郎です

神戸家を出立して、急ぎだった事もあって2週間くらいで伊賀国と伊勢国の国境ぐらいの場所に到着しました

うん。土地勘がまったく無い場所だから、どう動いていいか分からない!こうなったら第一村人に聞いてみるか

「もし。そこのお方」

「オラの事かい?」

「はい、そうです。急に声をかけて申し訳ない。実は我々、此方で商売を始めたいと思い、御領主様にご挨拶を兼ねて、許可をいただきたいと思いまして、

御領主様のお屋敷はどちらの道を進めばよろしいでしょうか?教えていただきたく」

「ああ、 城戸(きど) 様の元へ行きたいのかい。それなら、この横道を真っ直ぐ行って、突き当たりを左に行ったとこにあるよ」

「教えていただき、忝い。こちら、お礼の品です。京で人気の茶屋で扱われている茶の葉です」

「ほえ〜。そんな大層な物を。家に帰って飲んでみます。いやあ、有難い」

「では、我々は城戸様のお屋敷へ向かいますので」

そう言って第一村人と別れて、領主の屋敷に向かって行きましたら

「若様!止まってくだされ!」

源太郎の大声が聞こえて、ビクッとしたら目の前に

「バサッ」と網らしき物が落ちて来た。源太郎と喜三郎が俺の元へ来ようとしたので、

「2人共、動くな!」

大声で止める。それで止まった事を確認したら

「随分と勘がよろしい様ですな?柴田の鬼若子殿」

と言う、周囲から現れる集団の頭領らしき忍者と対峙すると

「我々に対する歓迎にしては、随分と手荒い歓迎ですな。領主の城戸殿は、それ程警戒心がお強いのですか?」

「我が主君の城戸陸奥守様は、貴殿達の真意を知りたいとの事ですので、少しばかり手荒な歓迎をさせてもらった。抵抗しないならば、屋敷に御案内いたそう」

「おのれ」

「喜三郎!やめんか!」

「若様。しかし」

「儂達は商売の話をしに来たのじゃ!しかし余所者ゆえ、疑われる事も仕方ない。ならば、敵意が無い事を示す為に、屋敷に案内してもらおうではないか。源太郎もそれで良いな?」

「「ははっ」」

「ふっふっふ。流石、柴田の鬼若子殿。日の本広しと言えど、この様な状況で冷静な判断を下せるとは」

「とりあえず、城戸陸奥殿の所へ案内してくださるかな?」

「それもそうじゃな。では、此方です。着いてきてくだされ」

と、いう事で案内されて歩いているんですが、

「一つよろしいですかな?」

「何でしょか?」

「仮の名でも構わぬので、名を教えてくださらぬか?会話がしづらいのだが」

「我々に具体的な名は無い!なので、柴田殿が呼びやすい名で呼んでくだされ」

「そうか。ならば、 霧丸(きりまる) と呼ばせてもらうぞ」

「それか呼びやすいのであれば、ご自由に」

「では、霧丸殿。城戸陸奥殿は、どの様な人物なのですかな?」

「それは、これから会えば分かりますぞ。丁度、屋敷に着きました。殿からそのまま案内せよと言われておりますので、どうぞ中へ」

という事で、中に入って、大広間に行きますと

「殿!柴田殿一行を連れて参りました」

上座で後ろ向きに座っている城戸さんが居ました。挨拶しようとすると、

「はっはっは!柴田殿、挨拶は既に済ませておりますぞ」

と、言いながら俺達の方へ向き直ると

「「「ああ!」」」

俺も源太郎も喜三郎も、思わず大声が出た。何故なら上座に座っているのは

「あの時いただいた茶の葉、茶として飲んだが誠に美味かったぞ!」

俺達に屋敷への道を教えてくれた、第一村人のおっちゃんだったんですから

「ふっふっふ。とても驚いておるな。柴田の鬼若子殿よ。その顔が見たくて、少々手荒い歓迎をしてしまった事、済まぬ」

「い、いえ。しかし、城戸陸奥守殿、拙者の事を知っているという事は、拙者が此方でやりたい事も知っていると見てよいですかな?」

「それは勿論!さあて、柴田の鬼若子殿よ。貴殿の目的である商売について話し合いをしようではないか」

まったく、これだから人の上に立つ人というのは、どうして人を驚かせたり無茶振りをするかなあ。