作品タイトル不明
プレゼンするなら現物を
天正七年(1579年)八月十日
美濃国 岐阜城にて
「三七よ!儂に許可をもらいたい事が有るそうじゃが、それに六三郎を連れて来たという事は、新たな銭の種を見つけたという事か?」
「それは勿論ですが、それ以外の事も含めてでございます」
「ほう。それは楽しみじゃな。聞かせてもらおうではないか」
皆さんおはようございます。三七様のお供で岐阜城に来ております柴田六三郎です。初めて会った時と比べて、三七様がとても頼もしく見えます
やっぱり領地で甚五郎さんと話し合いを締結させた事で自信がついて、アホボンとの争いに勝たないといけない自覚が、頼もしさにつながっているんでしょうね
俺がそう考えていると、殿が
「三七。先ず、見つけた銭の種は何じゃ?現物を持って来ているなら、見せよ」
と、リクエストして来ましたので、
「六三郎殿。物を」
三七様に言われましたので、茶葉入りの箱を渡しまして
「父上。こちらか神戸家及び北伊勢の儲けを増やすと確信しております、茶の葉でございます」
殿に見せたら、
「三七よ。見た目は普通の茶の葉だが、これがどの様に儲けを生み出すのじゃ?」
「父上の疑問を解消する物を、六三郎殿が今から作りますので、それを口にしていただけたら、拙者の考えている事も理解出来るかと」
「ほう。中々の自信じゃな。良かろう!六三郎、三七の自信の元になっている物を作ってみせよ」
「ははっ。では、台所をお借りします」
で、台所に茶葉を持っていって、茶葉を乾煎りするだけなんですが、
「また柴田様が、新しい料理を作るんじゃ。しっかり見ないと」
「徳川様の料理人達も、柴田様の料理の手順書を見ながら作っているそうじゃ」
料理人の皆さんの苦労が聞こえてきます。まあ、簡単な料理ですから
で、茶葉がカラッカラになったので、焙じ茶の準備は完了です。次は、玉露なんですが。
「六三郎殿」
と、俺を呼ぶ声がしたので、振り向くと
「森殿。何かありましたか?」
蘭丸君が立ってました。何があったのか聞こうとしたら、
「殿が、「この香りは辛抱出来ん!早く持って来い」との事です」
「分かりました」
お好み焼きの時と同じ感じになりましたが、まあ、お茶も料理と同じく、出来たてが旨いからね
「お待たせしました。此方が、件の茶でございます」
「ほう。色も香りも今までの茶とは違うな。どれ、味は」
殿が味を確かめる様に、ゆっくり焙じ茶を飲む。飲みきると、
「これは旨い!香ばしい香りとは違い、飲みやすい。更には茶の湯の様な肩肘はらずに飲めるのも良い!
三七!六三郎!これは売れると自信を持つのも分かるが、これだけでは無いのであろう?」
と、殿が次の品をリクエストしてます。じゃあ次は玉露作りますか
台所に戻って、再び茶葉を乾煎りして、適度な温度になったら、茶葉を手もみして丸まったら完成です
これも殿の前に持っていって、
「ほう。この茶は普通の色をしておるな。どれ」
そう言いながら、玉露を飲む。飲み終えると
「六三郎!これは、まろやなな旨みとほのかな甘さを感じるが、砂糖を使っておるのか?」
「いえ。茶の葉を乾煎りして、程良い温かさになった茶の葉を手で揉んだだけです」
「何も加えておらぬのに、この旨さ!三七、お主の自信の理由か理解出来た!それで、これをどの様に売りたいのじゃ?」
「売り込む形は六三郎殿か妙案を持っているので、六三郎殿。説明を頼む」
「ははっ。殿、此度、茶の葉及び茶の売り込みの形として、京と堺と熱田で、一年限定で店を構えて、
店の中で此度の様に茶の葉に手を加えました物を、売り込む形、いわば「店前販売」とでも言います形を取りたいのです」
「ほう。作っている様子を見せながら売るのか。斬新な形じゃな。それで、儂にどの様な許可をもらいたいのじゃ?」
「一年限定といえど、殿からの許可が無いと、無許可で商売をしていると京と堺と熱田の商人から睨まれてしまいます
なので、店を構える許可と商人達へ通達をお願い出来ますでしょうか?」
「父上!拙者も、このままでは三介兄上の北畠家に物量で負けてしまいます。知恵を使わねば此度の争いに勝てませぬ!なので、どうか!」
三七様が俺より早く頭を下げて平伏した。俺も同じく平伏する。
それを見た殿は、
「良かろう!商人達へ通達しておく!どうせならば、商人達が「うちでも取り扱いたい」と言う程の店にしてみせよ」
「「ははっ」」
で、話は終わりじゃないんですよ。
「殿。あとひとつ、三七様と話し合いまして」
「何じゃ?まだ、あるのか?話してみよ」
さあ、緊張して来たけど、これを了承してもらわないと、少しの差でアホボンに負ける可能性が有るから、絶対了承してくれよ