軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

家臣希望者はあの人の両親

天正五年(1577年)七月三十日

三河国 某所

「火をつける準備は良いか!?」

「準備は完了しております!」

「うむ!ならば、火をつけて離れよ!」

皆さんおはようございます。三河国で財政改善の為の第一段階の土地改良をやっております柴田六三郎です

前月の乙川の上流の村で見せた川岸を爆破して、そこから整地して、堤防作りを開始して、各田畑に水が安定して行き渡る様に水車を作って、

更に堆肥作りを進めて、と。中々の労働時間を過ごしております。堆肥作りに関しては百姓の皆さんのほぼ全員が、

「そんな胡散臭いもので不作になったらどうするんだ?」と言っておりましたが、

そこは流石、徳川家嫡男の三郎様。鶴の一声的な感じの

「来年不作になったら、その年の年貢米を出さずとも良い。だから、この者のやり方に従え!」と思い切った宣言を、出しました。これは責任重大ですが、

川の水が田畑に行き渡る様になったら、多少は土が柔らかくなってきましたので、勝負は来年です。

松平家の方でも、簡易ダイナマイトを作りまして、早速土木工事に使っております。皆さん、流石三河武士ですよ、三河国が良くなるなら、頭も使うし、

体も使う。堤防作りに関しては、松平家家臣の皆さんだけでなく、主君を持たない所謂、地侍ですら参加しております

この人達が、松平家の皆さんと百姓の皆さんとの間に立って、話し合いをまとめてくれるんですが、

中には親父さんが元々徳川家家臣だったり、家康の爺さんの松平清康に仕えていた。とかの人も居たから、その人達のおかげで、

本当に話がスムーズに進む。で、そんな感じで、乙川の中流の半分くらいは整地が完了しました。

このペースで行けば、年内で土地改良は終わりそうです。

天正五年(1577年)八月二十日

三河国 某所

「六三郎殿!あっという間に中流が終わり、下流に来ましたな。やはり、あの爆破が無いと、この速さで治水工事は出来ませんでした。

三郎様も、財政に響かない程度に量産して、今後の開拓などに使おうと、気を良くしております」

「そう言ってもらえると、拙者も気が楽です。ところで石川殿。上流の方の村で、米以外の何かしらが大量に実ったと聞いたのですが」

「そうです。実は、六三郎殿が言っていた、肥や枯葉や野菜の屑などを混ぜて暫く放置したら土の滋養が増えるとの事を実践した百姓家族が幾つか居たらしいのですが、

米以外の麦や蕎麦の畑に、その土を混ぜたら大豊作になったと。それを見た、他の百姓家族も真似しだしたとの事です」

皆さんおはようございます。三河国で働いて3ヶ月目の柴田六三郎です。土地改良をして、川の水が多くの田畑に行き渡る様にしております

そして、先程の石川殿の話の様に、最初に治水工事と土地改良を行なった上流の村では堆肥作りが流行り出した様です

「石川殿。まだまだ財政改善の一歩目です。川の水が各田畑に行き渡る様になれば、農作業がやりやすい柔らかい土になり、そこに滋養が多い土を混ぜて、

作物が豊富に実る様になれば、財政改善の早さもより、早くなるはずです」

「六三郎殿は誠に不思議な若武者ですな。十一歳で元服して戦で見事な武功を挙げたのに、その事を喧伝しないどころか、次の戦の話を全くしないのですから」

「石川殿。2年前の戦に関しては、今回、拙者の護衛としてついてきた飯富源次郎、土屋銀次郎、原新左衛門も含めた家臣達の働きにございます

家臣達の武功だからこそ、拙者は喧伝するつもりはありませぬ」

「元服前から謙虚であると、殿から伝えられておりましたが、誠に謙虚ですな。とても、「柴田の鬼若子」と呼ばれておるとは思えませぬ」

「その渾名も、父上の渾名の1つが「鬼柴田」だから、そう呼ばれているだけです。拙者は特に何もしておりませぬ」

「まあ、六三郎殿がそう仰るのであれば、あまり聞かない様にしましょう」

「忝い。

「改めてですが、六三郎殿。米と麦、それから昔から育てていた蕎麦は今までどおり育てるとして、他に銭になる物として、候補はありますか?」

「一応、綿花が大量に実ったならば、その候補の一番手になると思っております」

「綿花がですか?三郎様や徳姫様が木綿の着物で過ごしていたので、我々も着ておりますが、着物以外に使い道があるのですか?」

「その為にも、木綿の元の綿花を大量に作りたいのです」

「ちなみに、六三郎殿の希望としては、どれくらいの量の木綿が必要でしょうか?」

「そうですな。縦五尺、横三尺くらいかと」

「意外と、どうにか出来そうな感じですな。それくいならば、今日か明日にでも準備しますので是非とも、

三郎様に提案した物を形として見せてくださいませぬか?」

「はい。ですが、石川殿。綿花以外にも、準備して欲しい物と人が」

「どの様な物と人でしょうか?」

「木綿を詰められる大きな布と、その布を縫い合わせる事が出来る手先が器用な人を。あと先程言いました、木綿縦五尺、横三尺を2つ準備していただけますか」

「分かりました。それならば、布は二つ、手先が器用な者は六人程、準備しておきます」

「申し訳ない」

「いえ。これも、岡崎城の、ひいては三河国の財政改善に繋がる事ですから」

「誠に石川殿は忠臣ですな」

「いえいえ。拙者は三郎様の傅役なので、三郎様が将来徳川家を継ぐ時の経験になれば良いと思うからこそです」

俺と石川殿が話していると、

「「あの。すみませぬ」」

後ろから2人分の声が聞こえた。振り向くと、男女が立っていた。ご夫婦かな?とりあえず、

「何かご用でしょうか?」

「お二人の話を少しばかり聞いていたのですが、お若いあなた様は、徳川家家臣の方ではないのですよね?」

「そのとおりじゃが」

「お願いがございます!拙者を召し抱えてくださいませぬか?」

男の人がいきなり土下座してきたんだが?立て続けに

「私からもお願いします。夫と私を召し抱えてくださいませ」

「ちょ、ちょっと?お二人とも?石川殿、これはどうしたら」

「六三郎殿。とりあえず名前と話を聞いてみる事からかと」

「分かりました。とりあえず2人が夫婦である事は分かった。それぞれ名前を教えてくれ」

「 岸三之丞教明(きしさんのじょうのりあき) と申します」

「嫁のかえでと申します」

「岸三之丞とかえでか。今すぐに返答は出来ぬ。家はこの近くなのか?」

「「はい」」

「ならば、明日も此処に来るから、一日考えさせてくれ。ちなみに歳は何歳じゃ?」

「拙者もかえでも三十一歳です」

「まだまだ働けるか。だが、じっくり考えたい。だから一日待てるか?」

「「はい」」

「では、明日」

と、言う事で土木工事も終わったから、岡崎城に戻ってきたんですが、風呂に入って、夕飯食って、

寝る前に思い出しましたよ。岸教明って、加藤嘉明の親父さんじゃねーか!確か、秀吉の家臣の加藤某さんの猶子になって加藤姓を名乗っていたんだよな

でも、両親が仕官希望とか何でだ?まあ、そこら辺は明日聞こう。今日は寝るぞー!