軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

殿一行の到着

天正四年(1576年)十二月十五日

美濃国 柴田家屋敷にて

「六三郎!しばらく世話になるぞ!」

「出来る限り殿や帰蝶様が快適にお過ごし出来る様、務めます」

皆さんおはようございます。屋敷の大広間の上座はな殿と帰蝶様が居りまして、会話しております柴田六三郎です

「いつも通り過ごせば良い。のう、帰蝶」

「そうですよ六三郎。殿や十兵衛と違って私は、道乃や三吉がどれだけ大人になっているかを見に来ただけなのですから」

「そう言ってもらえると、此方も気が楽になりますが、流石に父上から何を言われるか分からないので」

「ほほほ。権六の事は気にしないでもよろしいですよ。それでは、道乃と三吉の顔を見たいので、六三郎、二人を呼んでくれますか」

「六三郎。市と姪達も呼んでくれ」

「かしこまりました」

で、全員呼んで来まして、先ず帰蝶様が

「道乃、三吉。久しぶりに会いましたが、大きくなって。とても嬉しいです。道乃、聞いているでしょうが、

貴女は六三郎の側室になる事が決まっております。今すぐでなくても、武将の嫁として家臣の嫁や娘は勿論、同輩の嫁や娘ともお話し合いをしたり、

六三郎が表の事に集中出来る様に、家の中の事をまとめなければなりません。その為に色々と学ばないといけません。

そのお手本として、市が居るのですから、じっくりと教えてもらいなさい」

「はい」

「そして三吉。藤四郎から色々教えてもらっているでしょう。いつかあなたが斎藤家を再興させて、当主の姿を見る事を楽しみにしております。

なので、今以上に学び、そして身体に気をつけて元服の晴れ姿を、母の紫乃、祖父の利兵衛は勿論ですが、

私にも見せてくださいね。お願いです」

「はい!」

「ふふっ。良いお返事です。それでは、三吉は藤四郎の元に戻って学んできなさい。道乃は六三郎と一緒に居なさい」

「「はい」」

で、利兵衛が三吉を水野様の所へ戻して、大広間に戻って来てから

「では儂の番じゃな。市も姪達も、すっかり柴田家の暮らしに馴染んでおる様じゃな」

「ふふふ。兄上、娘達は六三郎やつる殿の作る美味しい料理を毎日食べているのですけど、屋敷内にある鍛錬場で身体を動かしたり、

赤備えの皆と一緒に走っておりますので、とても健やかに育っております。私も、鍛錬場で毎日長刀を振っておりますから、

三十郎兄上の元に居た頃よりも、肌艶が良くなっております」

「そうか。それ程馴染んでおるならば、儂も安心じゃ。して、その寝ておる子が末の娘か。名は何と付けた?」

「はい。文月に産まれた子なので、文と名づけました」

「文か。良い名ではあるが、もう少し捻りを加えた名でも」

「兄上。娘は男児と違って元服しないのですよ?元服しないと言う事は名が変わらないと言う事です。

兄上が付けた一癖も二癖もある名では、嫁入りに苦労するのが目に見えております」

「そ、その様な事は」

「無いと言い切れますか?そもそも、兄上の名付けもそうですが、権六様も最初、娘の名を市美と名付けようとしたのですよ。思わず私も権六様を叱りましたよ

権六様も文化的な事は多少は嗜みがあるはずなのに、娘の名付けに関しては」

「分かった分かった。市、そこまでにしよう」

「分かっていただけたのならば、私も止めます」

「うむ。話は変わるが市よ。茶々と初の将来的な嫁入りの話を少しだけしておくが、

今すぐというわけではない。早くても八年後くらいだと思っておいて欲しい」

「もう、その様な事を考えないといけないのですね」

「うむ。だが、儂もやはり姪達には嫁ぎ先で幸せに暮らして欲しい。だからこそ、今の時点で茶々と初に嫁ぎ先の希望を聞いておきたい」

「子供の頃の希望なんて、忘れてしまうかもしれませんが、聞いてみましょうか。茶々、初」

「「何でしょうか母上?」」

「貴女達が将来、お嫁に行く時、どの様な殿方が良いか希望はありますか?」

「茶々は兄上の様に美味しい料理を作ってくれる殿方が良いです。それと、城でも屋敷でも長刀を振る場所を作ってくれたら、もっと嬉しいです」

「初は兄上の様に美味しい料理を作ってくれる殿方で、長刀を振る場所を作ってくれて、赤備えの源次郎の様に、身の丈が高い殿方が良いです」

「との事です兄上」

「これは、茶々と初を嫁に欲しいと言ってくる家の倅共に料理が作れる様になれと言わぬといけぬか。

しかも長刀を振る場所も必要とあれば、それが出来るだけの財力の有る家は大分しぼられてくるな。

しかし、身の丈の高いとは。六三郎、話に出た源次郎を連れて来い」

「ははっ」

で、源次郎を連れて来まして、源次郎を見た殿が、

「ほう。確かに身の丈が高いのう。源次郎!」

「は、はい」

「お主の身の丈は如何程じゃ?」

「拙者の身の丈でございますか?およそ六尺ですが」

「そうか。源次郎よ、お主は甲斐国に居た頃から身の丈は高かったのか?」

「いえ。甲斐国に居た頃は低くもなく高くもなかったのですが、若様に仕えて以降、若様が推奨する、

「しっかり食べて、食べた以上に動き、長く眠る」を毎日繰り返したら四年で、六尺ほどの身の丈になりました」

「そうか。教えてくれた事、感謝する。訓練に戻って良い」

「ははっ」

で、源次郎が戻った後、

「ううむ。やはり、茶々や初が嫁入りする頃は身の丈が高い男子が嫁ぎ先の条件に出てくるか。今から六三郎達の様な暮らしをさせたら、

源次郎の様な身の丈になる男児も出てくる事も充分有り得るか。しかし」

殿は色々考えている様ですが、帰蝶様とお袋が

「殿。早くとも八年後の話ですよ。考えても仕方ないではありませんか」

「そうですよ兄上。子供の頃の条件は変わるものですから、数年後に考えても良いではありませぬか」

「むう。それもそうじゃな。その件は、まだまだ先の話として置いておくとしよう。市、此処からは子供に聞かせたくない。

六三郎、茶々と初と道乃を別の部屋に行かせてから、山県源四郎を連れてまいれ」

「ははっ」

3人を移動させた後に源四郎を大広間に連れて来てからが本番か。殿の覇気にビビると思うけど、源四郎、正直に全部答えてくれよ。