軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

悩みは会議で解決せず

元亀四年(1573年)六月五日

美濃国 柴田家屋敷内にて

「若様。織田家と徳川家の双方から銭の返却があったものの、いまだに柴田家の懐事情は苦しいのですぞ。分かっておりますか?」

「分かっておる。だからこそ、殿を通じて京や堺で売れる物を考えておる。のだがなあ」

皆さんおはようございます。朝から家のお財布事情に頭を悩ませてあります。柴田吉六郎です

利兵衛が言ってるとおり、集団お見合いにかかった金は戻って来た。於大様一行の滞在にかかった金も貰ったよ。それでも、微々たる額なんだけど、マイナスなんだよねえ

まあ、理由は一月の竹炭製作の支払いだと俺も理解しているけど、あの状況で領民の皆さんに「竹炭が欲しければ金を払え」

なんて言える訳ないじゃないか。まだ物々交換がメインで、貨幣経済なんて一部の大都市でしかやってないんだから、こんな田舎で「貨幣で買い物」出来る様になるのは、何年後になると思ってんだ

すいません。話がそれてしまいましたね。で、改めてですよ。この美濃国の東の端っこで、売れる物。もしくは売れる物の原材料になる物は無い訳じゃないけど、そもそも米と野菜と麦以外の作物は知らないからな。作物以外の物はもっと知らないし

よし決めた!分からないなら、現場に行って聞き取りだ!

「利兵衛!今から村へ行くぞ!領民の皆に、育てている作物以外の事を聞いたら、解決の糸口が見つかるかもしれないからな」

「分かりました。ただし源太郎殿を護衛につけてください」

で、村に来ましたよ。田んぼは青々とした稲が風に靡いて、野菜を植えている畑では根菜や葉野菜の種類を問わず立派に育ってます

で、そんな中、利兵衛の次に村で年長だった源蔵さんに会いました

「源蔵爺。久しぶりじゃな」

「これはこれは若様。お久しぶりにございます。本日はどの様な用向きでしょうか?」

「実はな、この美濃加茂村やその周辺で、京や堺で売れるかもしれぬ物、もしくはその原材料になる物は無いものかと思ってな」

「それでしたら、若様が我々に配ってくださいました竹炭が、その材料の竹を伐採して売っても良いのでは?」

「それも考えたが、あまりに大量の竹を伐採したら、山が崩れやすくなる。そうなっては皆に迷惑がかかるからな」

「それでは、若様が我々に食べさせてくれた猪や鹿の肉の様な珍しい料理などは?その原材料を売れば、儲かる事もありえるかと」

「成程。それも可能な事か」

「あとは、利兵衛の爺様みたいな酒の味を楽しむ人に試飲させて新しい酒を作るのも良いと思いますが」

「うむ。色々な意見を聞けて助かった。感謝する」

こうして俺は屋敷に戻った。そして翌日

「利兵衛!山に行くぞ!」

「若様。何の目的があって行くのかご説明をいただいてもよろしいですか?」

「珍しい食材が有るか探しに行く!山の土を掘って掘ってを繰り返す」

「流石に若様一人では行かせられません。赤備えのうち、五十人は連れていってください」

「分かった」

で、今回は源次郎率いる五十人が付き添いなんだけど、

「若様!こちらの山菜は甲斐国で食べた事が有りますが、美味ですぞ」

「若様!この木の実も酸味と甘味が良い塩梅で美味です」

うん。みんな、生きる知恵が俺より圧倒的に凄い。やっぱり食べる物が少ない土地だと、食える物は何でも食え!になるんだな

で、俺が皆に感心してると

「若様!こちらに自然薯がありますぞ!」

「誠か?よし、掘るぞ!」

で、頑張って折らない様にじっくり掘って回収した自然薯の長さ、推定1メートル。現代日本でも中々見ない長さに育ってました

俺としては勿論、とろろ飯で食べるのが定番だと思うし、皆に振る舞ってみるか。あと他にも数本回収しておこう

「よし!本日はとりあえずここまで。屋敷に戻って色々な料理として出すので、皆の意見を聞かせてくれ」

「「「ははっ!!!」」」

で、つるさん達と一緒に料理開始です。つるさんの娘達、光と花の肉食系姉妹も当然参加です。源太郎と源次郎の分は自分達が作ると気合いが入っております

「先ずは自然薯じゃが、これをこう食べた方が美味いという食べ方はなんじゃと思う?」

「若様、やはり自然薯はすりおろして麦飯の上にかけるのが良いかと」

「うむ。それが一番分かりやすいし、料理もしやすいか。ならば、それは決定じゃ。他には?」

「若様。すりおろせない長さになった自然薯は焼いて食べるのはどうでしょうか?」

「それも良いな。無駄なく最期まで食せるし。それも頼む」

で、試行錯誤して完成しました。簡単ではあるけど「自然薯定食」になりました

茶碗2杯分の麦飯ととろろに、切れ端とはいえ自然薯のステーキ、そして山菜のおひたしに、木の実として回収していた野苺をデザートとして定食を出したところ

「う、美味い。甲斐国ではこれほど多くの自然薯など食った事などなかったから、とても豪勢じゃ」

「自然薯の切れ端でもしっかり焼けば、見事な味になるとは」

「山菜も味噌汁に入れて茹でるだけでないのか。何と美味な」

「食後に食う木の実がなんと更に甘く感じる。空腹の時は酸味が強いのに」

「若様。これは大変美味しいのですが、これをどうやって織田家から京や堺に流行らせるのでしょうか?」

利兵衛の指摘が刺さる。全部の食材が畿内で取れるから、別に美濃産の物じゃなくても良いしな。

美濃は豪雪地帯だから水は豊富だし、農業や輸送は心配ないけど

ん?水が豊富?という事は、水の力、つまり水力で物を動かす事が可能なんだよな!

で、水力を安定して使うなら水車だ!その水車なら重い物を動かす事も出来るし

それで粉をひく事も出来る。それで小麦粉が出来るじゃねーか!

小麦粉が出来るなら、色々作れる!

「若様?如何なさいましたか?」

「ああ、済まぬ。今日はもう遅いから、明日の朝、伝える」

よし!これをきっかけに儲かる物が出来るはずだ!