軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第3話 〜違い〜

最初に爺さんに促されて水晶に触ったのはクラスのマスコット的な存在の佐野ミコ(さのみこ)さんだった。

佐野さんがおずおずとお爺さんの持っている水晶に手を当てると、水晶から光が溢れ出て、頭上に先程自分のもので見たステータスと同じものが大きく表示された。

これでは、壁際に立っていてもハッキリと細部まで見えるな。

「「「おおおお……」」」

ステータスの公開にはリスクがあることなど一ミリも考えていないクラスメイト達は、水晶から光が出て文字を表示する、その現実離れした光景に釘付けだ。

日本にはない技術に夢見るクラスメイト達が歓声を上げる中、ふと俺はそのステータスを見て、呆然とする。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ミコ・サノ

種族:人間 職業:結界師Lv.1

生命力180/180 攻撃力150 防御力130

魔力130/130

スキル:算術Lv.5 裁縫Lv.7 料理Lv.5 結界魔法Lv.1 回復結界Lv.1

エクストラスキル:言語理解

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「よっわ……。どういう事だ?」

異世界に召喚されただけでもかなり混乱している脳にさらに負担がかかったのが分かった。

俺の読んでいた小説では、勇者以外のモブたちのスキルの数、攻撃力は大体同じだった。そして勇者で桁違いに上がって、だからみんなが勇者をもてはやすのだが、なぜかモブであるはずの俺と同じくモブであるはずの佐野さんで同じ現象が起きていた。スキルレベルは佐野さんの方が高いものが多いが、いくら何でも基本ステータスの差がひどすぎるだろう。攻撃系の役職ではないからだろうか。

「はいはい! 次は俺な!」

佐野さんに続いてクラスのお調子者、 渡部克己(わたべかつみ) が得意げに手を当てた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カツミーワタべ

種族:人間 職業:闘拳士Lv.1

生命力180/180 攻撃力200 防御力200

魔力300/300

スキル:算術Lv.3 拳術Lv.3 体術Lv.2

エクストラスキル:言語理解

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

再び歓声が上がった。

「……どうなっているんだ、これは」

「本当にどうなってるんだろなぁ、この水晶」

隣のクラスメイトと微妙に会話が成り立っていない。が、そんなことは気にしていられなかった。

「……よし、気配を消していよう。」

ステータス開示が数名進んで、全員が俺よりもステータスの数値が下だったため、俺は得意の『気配隠蔽』で姿を隠した。向こうの世界でやっていた感覚でいいのなら、これで気配が消えて見えなくなっているはずだ。このスキル、自分がちゃんと見えていないのか分からないのが不便だな。だがこれで俺のステータスも同じように晒されたら大変なことになる。

とりあえず勇者である佐藤のステータスをみて、俺より強かったらスキルを解除して水晶に触ればいい、とそう思っていた。

だが、それは悪い方向で裏切られる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ツカサーサトウ

種族:人間 職業:勇者Lv.1

生命力200/200 攻撃力800 防御力500

魔力350/350

スキル:算術Lv.7 魅了Lv.5 体術Lv.2 剣技Lv.2 四属性魔法Lv.1

エクストラスキル:言語理解 聖剣術Lv.1

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

確かにスキルレベルは高いし、『四属性魔法』は魅力的だが、ステータス値が俺より低い。女子がキャーキャー言っているが、俺のステータス値を見た後だとそれ程凄くはないように思える。

本当にどうなってるんだ? 普通は勇者が最強じゃないのか。やはり、俺のステータス値だけ異様に高すぎる。

「流石は勇者様。素晴らしい数値とスキルでございます。この世界の一般の数値は攻撃力100、戦闘向き職業でも500が限界です。勇者様は初期ステータスからそれ以上。これなら無事魔王もお倒しになられることでしょう」

と、胡散臭い笑顔で微笑む爺さんに、俺は少しぞっとした。出会ったばかりではっきりとは分からないが、確かにそう思った。少し違和感を覚える。

それは先程見た国王の姿と、その背後に控える、恐らく王女であろう綺麗な少女――この少女は多分俺達が召喚された時に騎士と共にこちらを見ていた少女だ――その笑顔が、今の爺さんに重なった気がした。貼り付けたような、笑顔が。

俺は姿を消したままふと上を見上げ、顔を顰める。

遥か上の天井にキラリと光るものが見えた。恐らくカメラ的な、記録用の魔法具か何かだろう。本当にカメラかどうかはよく見えないが、それを見ているとやけにイライラする。向こうの世界でも監視カメラを見ると感じる感情によく似ていた。

俺は悪い方向に状況が傾いているのを察した。嫌な方向に予感が当たったかもしれない。