軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第149話 ~リアの恋~

「それでは、昨日できなかった分のウルクのご案内をさせていただきますね!」

完全に日が昇り、アメリアが起きてもそもそと朝ご飯を食べているときにリアがやってきた。

アメリアは部屋に当たり前のようにいるラティスネイルと夜に目を見開いたが、二人に頼んでいたことを説明すると、すぐに納得して久しぶりの再会に顔をほころばせた。

なんだかんだ言って、アメリアも夜がいなくて寂しかったのだろう。

それより、リアには宿を教えていないはずなんだが、迷わずここに来たということはクロウが教えたのだろうか。

仲良さげに会話をしているリアとクロウを見て首を傾げる。

この二人の関係も謎だよな。

俺は久しぶりに肩に夜の体重を感じながら外に出た。

一応ラティスネイルも一緒だが、フードをかぶってもらっている。

獣人族の中には鼻がよく利くものもいるという。

いくら『魔力隠蔽』で魔力を偽っていても匂いだけはどうにもできない。

魔族のにおいなんて分かるのだろうかとは思うが、念には念をだ。

バレてしまったときに面倒なことを考えればまだましだろうと、フードを被ることを渋るラティスネイルを説得した。

マヒロが作った例のフードらしく、気配を遮断する効果があるらしい。

「今日はクロウ様もご一緒なんですね!」

「ああ」

嬉しそうに一行の前を歩いていたリアが言う。

クロウの隣を歩いているリアはどこか昨日よりもご機嫌だ。

その証拠に尻尾が引きちぎれそうなくらいの激しさで振られている。

確か、犬って気分がいいときにそうなるんじゃなかっただろうか。

……あれ、相手に好意を持っていたときだっただろうか。

とりあえず、今日のリアはルンルンと楽しそうだ。

「リア、嬉しそう」

「よっぽどクロウに会いたかったんだねぇ」

アメリアとラティスネイルがそんなリアを見てそう言った。

俺と夜は何のことかと顔を見合わせる。

そのしぐさに女性陣が呆れたような視線を向けてきた。

「気づいてないの?リア、クロウのことが好きみたい。もちろん恋愛感情の意味でね。結構分かりやすいと思っていたのだけど」

え、と俺は足を止めた。

夜も目を見開いている。

「男って、そういうの鈍いよねぇ。僕なんか今日会ったばっかなのに気づいたよ?」

俺も、リアとクロウが一緒にいるところを見たのは今日が初めてなんだが。

でも、少し納得した。

アメリアがクロウに『反転』を教えてもらっていると聞いて変な反応をしたのはこの為か。

「気づかなかったが、あいつら年齢差すごいんじゃないのか?」

軽く百は超えている気がするのは気のせいか?

「獣人族の恋愛に年齢は関係ないんだよ~。獣人族って年齢が顔とか体に出ないでしょ?だから若者と老化間近の爺さん相手でも一応は認められているの」

ラティスネイルの言葉にへえと反応しつつ、赤く頬を染めたリアの横顔を眺める。

これは恋をしている顔なんだろうか。

唯が京介を見る顔があんな感じだった気がするんだが。

「二人きりにしてあげましょうか」

「そうだね~」

アメリアとラティスネイルがそう言って脇道に入る。

おそらくクロウは気配で他の道に入ったことを分かっていると思うので大丈夫かと思い、俺もそちらに向かった。

『む……この道は』

夜が入った脇道を見てきょろきょろとあたりを見渡す。

同じくラティスネイルも目立つ看板を目にして藤色の目を細めた。

「ああ、ここ通ったね。だとすると、冒険者ギルドに続く道だ」

大通りからそれた道であるにもかかわらず人通りは多く、冒険者らしき人がウルよりもたくさん歩いている。

「……アキラ、冒険者ギルドに顔を出しておく?」

そういえば、ウルを出てから冒険者ギルドに行っていない。

行く用事もないし、クロウのおかげで宿代が浮くため金銭的にもまだ余裕があったので行かなかったが、獣人国最大国の冒険者ギルドというのは興味がある。

それに、グラムがギルドマスターをしているところだ。

「……そうだな。興味はある」

「じゃあ行こっか~」

ラティスネイルを先頭に、冒険者ギルドに歩き出す。

場所が分かるのかと聞くと、一度通った道は覚えているらしい。

俺も一応は覚えるようにしているが、ウルクのようにどの道も同じだと分からなくなる。

「たしかここだったよね?従魔君」

『はい。そうです』

少し小汚い感じの、どこにでもあるような店の看板にはウルで見たのと同じ、交差した二本の剣の紋章が描かれていた。

これはおそらく冒険者ギルドの紋章なのだろう。

「僕は外にいるよ。用が終わったら呼んでよ。この建物の裏にいるから」

「ああ、分かった。……さて、お邪魔するか」

冒険者ギルドの裏に行くラティスネイルを見送り、俺は冒険者ギルドの扉に手をかけて中に入った。