軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第120話 〜結果発表〜

「アキラ!」

「アメリア」

三百人近い女性がいるステージ裏の控え会場でも、アメリアはすぐに見つかった。

振り返る様だけでも、キラキラとした効果が一人だけついているように見える。

隣にはラティスネイルがいて、二人で仲良く話していたようだ。

近くには勇者パーティーの女子二人もいた。

「おニーサン、僕の顔どう?君、フードの中が気になってたでしょ?感想は?」

人懐っこい笑顔を浮かべたラティスネイルが俺に駆け寄ってそう言った。

ラティスネイルの背後にはパタパタと左右に振れる犬の尻尾が見えた気がした。

……幻覚か?

「ああ、意外だった。まぁ、アメリアには負けるが」

同じく寄ってきたアメリアの頭を撫でてやりながら言う。

アメリアはゴロゴロと喉を鳴らしそうな雰囲気で、嬉しそうに目を閉じる。

ラティスネイルが犬なら、こっちは猫だな。

俺は断然猫派だ。

ラティスネイルは綺麗にくびれた腰に手を当てて頬を膨らませる。

「そりゃあアメリアは規格外だよ!アメリア以上の顔なんて誰もいないよ!でも、自分で言うのもなんだけど、僕は男受けするからね!」

「ラスティは口を開きさえしなければ十分可愛い」

「え、それは僕がいわゆる“残念な美人”ってやつってことかい!?」

いつの間に仲良くなったのやら、二人は名前で呼び合っていた。

そして、ラティスネイルが“残念な美人”だということには激しく同意する。

「そういえば、僕おニーサンの名前知らないから未だにおニーサン呼びなんだけど」

ふと思い出したようにラティスネイルに言われて、言われてみればと考える。

そういえばしっかりと挨拶してなかったな。

こっちは『世界眼』でしっかりと見たし、夜が言っていたからラティスネイルの名を知っていたが、俺の名を言った覚えはない。

「だいぶ遅くなったが、俺は織田晶。こっちではアキラ・オダって言った方が正しいのか?……まあともかくよろしくな」

「ん!アキラだね!覚えたよおニーサン!」

「名前言っても呼び方は変わらないのな」

掴みきれない性格に思わず苦笑を漏らした。

結果発表までまだもう少し時間がかかるだろう。

まだ喋っていてもいいはずだ。

「ラティスネイルが本名だよな?ラスティってのは愛称か?」

「そだよ!ラティスネイルって長いから、僕が自分で考えたのさ!そのままラティスにしても良かったんだけど、ラスティの方が愛嬌があって可愛いでしょ?」

まぁ確かに、ラティスだけではラティスネイルの性格に合ってない、お堅い感じが出ているように感じる。

「ラスティの方がいい。アキラ、ラスティは喋っていてとても面白い」

アメリアの表情が和らいでいる。

ラティスネイルの緩い喋り方と性格が、いい感じにリラックス効果を生じさせているのだろうか。

ラティスネイルはどこか人を引き寄せるようなカリスマ的才能がある気がした。

『投票及び集計が完了しました!それでは、待ちに待った結果発表に移りたいと思います!!』

どこからか聞こえてくる司会の声にハッとする。

ラティスネイルとの会話が思いの外盛り上がって、今がコンテストの真っ最中であることを忘れてしまっていた。

アメリアとラティスネイルは目を合わせて笑う。

「……どちらが勝っても言いっこなし」

「うん!もちろんだよ!」

上位五名が表彰され、再びステージの上に登場することができる。

控え会場内のほとんどの人が手を合わせ、祈る中で何をすることもなく、ただ結果を待っているアメリアとラティスネイルはやはり他とは明らかに違う空気をまとっていた。

他の人が、上位五名に入ることを望んでいるのに対して、この二人が望むのはただ一位の称号のみ。

まあ、アメリアが望むのは一位にもれなく付いてくる賞品の方だろうが。

『それでは、結果を発表いたします!第五位!!……エントリーナンバー108番、ナタリア!!』

橙色のドレスに身を包んだ一人の女性がわっと泣きだしたかと思うと、ステージの方へ進んでいった。

余程嬉しかったのか、信じられないとかブツブツ呟いていた。

『続いて第四位!!……エントリーナンバー25番、アルディラ!!』

今度は青いドレスを来た烏の獣人族の女性がフンと鼻を鳴らしてステージに出ていった。

その表情は酷く不満げで、アメリアとラティスネイルを憎々しげに睨みつけている。

まぁ、この二人がいなければ確かに優勝のチャンスはあったかもな。

プライドが高そうな性格はともかく、顔はいい。

顔だけは。

『第三位!!………エントリーナンバー2番!ソノラ!!』

白いドレスの女性がオドオドしながら出て行く。

ドジっ子属性が良かったのだろうか。

ここでもう諦めたように俯く女性が増えた。

アメリアとラティスネイルが上位二位であることはライバルである彼女たちも分かっているのだろう。

『では、第一位を発表します!!!』

「「え???」」

「……ああ、そういうことか」

二位を飛ばしたことに疑問の声が上がる中、俺は一人納得して二人を見た。

二人も分かっているのか、顔を見合わせている。

『第一位は!!!………エントリーナンバー291番、292番、アメリア王女、ラスティ!!!!』

どうやら勝敗は決まらなかったらしい。

『史上初の同率一位です!!』

興奮気味に司会が叫ぶ中、アメリアとラティスネイルは手を取り合ってステージの方に進んでいった。