軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第109話 〜多数決〜 朝比奈京介目線

佐藤の言葉に全員が納得して頷いた。

「なるほど、だから晶と一緒に行こうって言ったんだな。京介もそうなのか?」

七瀬がそう言って俺を見た。

あの時、晶と共に行くことに賛成していたのは俺と佐藤だけだったから、俺が聞かれるのも当然だろう。

「いや、俺はそんな理由はない。ただ、少しでも晶の力になりたかっただけだ。今の俺では足手纏いになるが」

晶は俺の想像を超えて強くなっていた。

今の俺では守られるだけ。

とても隣で戦えるなんて思えない。

晶の強さをこの目で見たわけではないが、それでもどのくらい修羅場を潜ってきたかは目を見れば分かる。

「……あたしは今でも織田くんのこと信じられへんよ。サランさんの体に刺さっとったんは織田くんの短刀やったし、その前から織田くんフラフラしとってあたしらと全然一緒におらんかったやん」

そう。

推理小説をよく読んでいたクラスメイトによると、死後硬直から朝七時の時点で死後七時間は経っていたらしい。

にわか知識を信用するとして、死んだのは日付が変わる頃。

その頃、俺たちは晶以外全員揃って会議をしていた。

俺たちにはできない。

この世界には魔法があるから死後硬直などどうにでも出来るだろうし、城にいる他の人たちがやったという可能性もあるが、呪いのせいでおかしくなっていた俺たちはそれだけで晶を犯人だと決めつけた。

「それは晶じゃなかったと一番最初に話し合わなかったか?」

城を出た俺たちは正気に戻ったのを確認するためと、これからの方針を決めるために第一回目の作戦会議をした。

そこで、晶の反応や佐藤が聞いたという王女様の言葉から、晶はサランさんを殺していないという結論に達したはずだ。

上野はイライラしたように髪を乱暴にかきあげる。

「ちゃうねん!それは分かってんねんけど、あたしが言いたいのはな、疑われるような行動しとった織田くんも十分怪しいってことや」

俺は首をかしげた。

晶は元々クラスメイトと一緒に行動するような性格ではなかったと思うが。

どこか人を馬鹿にしたような顔でクラスメイトを見ていた記憶しかない。

俺や七瀬くらいしか話さなかったし。

「俺もそう思う。あいつが一人でフラフラしてなかったら誰も疑わねぇよ。 龍介(りゅうすけ) は元々あいつが気に入らなかったみたいだけど」

和木の言う“りゅうすけ”とは、恐らく 岡(おか) 龍介のことだろう。

和木と同じサッカー部で、クラスの盛り上げ役のようなやつだったはずだ。

身長が高く、佐藤ほどではないが顔も整っていた。

だが、何が気に入らなかったのか、岡はそれこそ高校一年の春から晶の悪口ばかりを言っていた。

岡があることないこと言い回ったせいで、晶はますますクラスメイトたちから距離を置かれていたのだ。

一度晶に、岡に何か言ったのかと聞いたことがあるが、晶は首を傾げるだけだった。

しまいには、岡って誰だ?と聞かれる始末。

自分の興味があることしか覚えないという性格のせいか、俺の予想では七瀬の名前すら覚えていないだろう。

そういえば、和木は岡と仲が良かったし、岡と一緒に晶の悪口を言っていた気がする。

「まぁ晶は、良く言えば一匹狼。悪く言えば協調性皆無な面倒なやつだからなぁ」

七瀬がぼやく。

俺はそれに頷きかけて、我慢した。

「津田はどう思うんだ?」

部屋の隅で一人黙っている津田に聞いてみると、毎度のことだが、ビクリと怯えたように震えた。

どうやらこいつは俺のことが苦手らしい。

津田も剣道部だが俺は主将、津田は一般部員。

体格も違うし、津田は高校になってから剣道を始めたのでまだレギュラーにすら入っていない。

見た目は女のように弱っちいし、俺に怯えるのも無理はないか。

「あ、ぼ、僕は織田くんとあまり関わりがないからあまり分からないけど、朝比奈くんがそんなに信頼しているなら信じてもいいと思う……」

俺は目を瞬かせた。

つまり、俺が晶を信頼しているから信じるということだろうか。

つまり、津田は俺を信頼しているということか?

俺のことが苦手なのに?

……やはり、他の人が考えていることはよく分からないな。

「細山さんはどうだい?今のところ三対二なんだけれど」

七瀬にはまだ聞いていないが、恐らく晶派だろうから実質四対二だな。

細山は大人びた笑顔を浮かべた。

「私は織田くんについて行くのに賛成よ。アメリア王女が許すかどうかは別にしてね」

ニッコリと微笑む細山に、鳥肌が立つ。

やはりこいつは苦手だ。

「七瀬くんの結果を待たずに多数決は決まったわけだけど、和木くんと上野さんはどうする?」

別にパーティーで動かなければならない決まりはない。

あの時は道中が安全か分からなかったし、レイティスからの追っ手があるかもしれないから七人で動いていたが、ここからは自ら危険なところに行くのだから抜けても構わないと佐藤は言外に言っているのだろう。

まぁ、晶は何人増えても減っても気にならないと思うが。

二人は顔を見合わせた。