軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

発展の兆しとてへっ

最終的にこれから魔物が増えて強い奴も出て来るとして取り組むべきだなと二人は結論付けた。

「マーギンの話は大隊長には話して良いか?」

「部隊拡大を急務でやらないとダメだろうからいいよ。まぁ、そうなると王様にも伝わるだろうけど」

「まぁ、そうなるだろうな。それでもいいのか?」

「仕方がないよ。でも大々的に広めるのはまだ先かな。用意も何も出来ていない間から国民に噂が広まるとパニックになるから」

「それは大隊長も陛下もご理解されるだろう。戦力を高めるためには攻撃魔法を使える者を増やす必要があると思うがそれはどうする?」

「そこが悩み所なんだよね。今の平和って各国の戦力が均衡しているから保たれていると思うんだよ。そこに攻撃魔法を使える人が増えると他国との緊張が高まると思う」

「そうかもしれんが、陛下は戦争など望んでおられんぞ」

「こちらが望まなくても、脅威に感じた他国は戦力を増強しようとするだろ?そうなれば国家予算を軍備に回すことに繋がり、税が高くなって国民たちの生活が疲弊していく。税の高さに不満が高まると国家への不満が貯まる。その不満をよそに向けようとしてこうなったのはこの国のせいだとかになるんだよ」

「お前が居た国はそうだったのか?」

「俺が居た国は魔国に一番近かった。だからそこがやられると次は自分たちの国がヤバいとなるから比較的協力的だったね。魔物と戦っている間に後ろから攻められたりすることもなかったよ」

「今とは状況が違うわけか」

「魔王が共通の敵だったからってのがあるからね。まだ魔王が復活していない現状とは異なるよ」

「なるほどな…」

「特務隊を軍じゃなしに騎士隊で設立したのは他国を刺激しない為でしょ?王様もその辺の事は考えていると思うよ」

「今回の特務隊設立は軍がやりたいというのを陛下が却下したようだからマーギンの言う通りかもしれん。人員は軍から引き抜いても構わんとも言われているが」

「軍も平和だと活躍する場所がないからね。存在意義を知らしめるために出番が欲しいとは思うよ。だから、騎士隊が主であっても軍も活躍してますよという体裁も必要なんだと思う」

「お前、政治も理解しているのか?」

「いや、剣の師匠の受け売りだよ。こんな話も酒飲みながらよくしてたよ。部隊の配置や人選って難しいんだってね」

「お前は良い師匠に巡り会えたのだな」

「俺はそんなもん知るかよって思ってたけどね。今ならなんとなく意味が分かる。当時は一人で何でも出来ると勘違いしてたから」

「俺はまだそういうのが残ってるぞ」

「うん、ちい兄様は特務隊の隊長になることで次のステップに進んだんだと思う。目の前で部下が死ぬような事もあるだろうし、自分だけでなく仲間を死戦に巻き込む時も出てくると思うからね」

そう言うとオルターネンは黙った。

「やっぱりちい兄様は盾役が良いと思うよ。魔物と対戦した時に勝てずとも皆を死なせないようにする役目。敗北も次の糧になる。死ねばその糧もなくなるから。初代の人選は次の指揮役になるだろ?目の前の魔物を倒すより、負けても経験を増やすのが重要だと思う。強いだけで選ぶより、次のこと、その次の次のことを考えて選べば?」

「そうか、俺は少し勘違いしていたかもしれん」

「何が?」

「どんな強い魔物が出てきてもバンバン倒す事が部隊拡大に繋がると考えていた。より多くの実績がそれに繋がると」

「敗北も実績だよ。魔物の特性とか知っていることは教えてあげられるけど、体験したほうが身に付くだろ?体験した人が指揮を取るようにしていくのがいいと思うよ。まぁ、強い人が必要ってのは正しいけど」

「分かった。マーギン、相談に乗ってくれて助かった。魔法の事はまた相談させてくれ」

「了解。候補者を連れてくるなら鑑定は無料でしてあげる。魔法書は売るけどね」

「うむ、大隊長に予算を確保しておいてもらうわ」

「宜しく〜」

オルターネンとの話はこれで終わり、早速人を探すと帰って行ったのであった。

ー3月初旬ー

王妃私室

「金貨の出所は判明したのかしら?」

「この大陸にある国の金貨ではないというところまでは確認出来ました」

「やはり他大陸から来たという話は本当のようね」

「はい、それを証拠に金の純度は我国の金貨より高いです。この大陸にある国は金の含有量を取り決めておりますので。その取り決めを違反して低くすることはあっても高くするメリットはございません」

「他の大陸では金の含有量が違うのかもしれないわね」

「あと可能性があるとすれば…」

「可能性?」

「この大陸でも大昔は金の含有量が高かったのではないかと思われます」

「過去の金貨ですって?」

「はい、宝物庫にある遺物の書籍をお調べ頂くと何かがわかるかもしれません」

王妃直轄の諜報部といえど宝物庫に入ることは出来ない。

「分かったわ」

ー星の導き達の家の近所ー

「おーい、早くしろっ。ぼさっとすんな」

トンテンカントンテンカンと慌ただしく大工達が家を建設している。

「大急ぎだってんだろうがっ、さっさとやりやがれっ」

ー職人街ー

「マーギン、試作品が出来たぞ」

刃物で切れない繊維を使ったシャツが出来たようだ。

「随分と目の粗いシャツだね」

見た目は網タイツみたいなシャツだ。

「防具として使うなら夏でも冬でも身に着けられる方がいいだろ?」

「なるほどね。これをシャツとして着るわけじゃないからこれでいいのか。試し斬りしてみた?」

「おお、バッチリだぜ。マーギンもやってみるか?」

「うん、剣を貸して」

と、剣を借りて丸太に着せたシャツに斬りつけてみる。

「おっ、確かに丸太には傷が入るけどシャツは斬れてないね」

「防具の下に着りゃ大幅に怪我が防げるだろ。は、早く売り込みに行ってくれ」

開発に協力していたリヒトの鼻息が荒い。

「了解。これも特許取れそうだから申請ちゃんとしろよ。パクられたら大損だ」

「もう準備してるっての」

「わかったよ。ゼーミン、この植物の栽培に適してるのはこの辺りか?それとも北か南かどこでもいいのか?」

「温暖な地域の方が育成が早いです」

「生で必要?」

「いえ、乾燥させてから加工します」

「なら、遠地でも大丈夫か… もう少ししたら南の領地タイベに行くんだけどさ、そこで量産してもらえるか調べてくるよ」

「タイベですか。それはいいかもしれません」

生産してもらうのにだいたいどれぐらいの金額が払えるかシシリーにも加わってもらって試算する。1着あたりの販売額とか計算を任せた。

「マーギン」

「なにシシリー?まだ決めとくことある?」

「ほらっ」

シシリーは服をバッと広げてマーギンに見せる。

ブッ

シシリーは素肌にこのシャツを着てやがった。なんか生身を見せられるよりエロい。

「なっ、なっ、何してんだっ」

「あー、赤くなった。やっぱりこれは使えるわね。違う糸で同じものを作って夜のシャングリラで導入しようっと」

マーギンの近くにいた職人達も見てしまったのでお金を貯めて夜のシャングリラに行くことになるだろう。なるほど、シシリーはここで職人に稼がせて、それを娼館で巻き上げる算段か。ババアは初めからそのつもりでシシリーを貸してくれたんだな。全く抜け目のないババアだ。

シシリーにもっと見たい?とか揶揄われたのを振り切り、紙の繊維を混ぜた樹脂の実験に加わったのであった。どうやらこちらも上手くいきそうだ。モーターの磁石も磁力が強く出来たそうなのでパワーが上がっていくだろう。

「マーギン、そろそろ俺もガラス工房に戻らなきゃなんねぇんだけどよ、何か新しい物は作れんのか?」

「まだ手を広げんの?」

「そうだ。このままだと、うちだけ発展せんだろうが」

「これ以上手を広げたらミキサーとか発注増えた時に対応できんの?」

「まぁ、そう言うなって。そん時はそん時だ」

もう板ガラスの大量生産方法を伝えておくか。特許制度があるなら儲かるだろ。

と、マーギンは錫を溶かした所にガラスを流し込んで板ガラスを作る方法を教えたのだった。これで窓ガラスとか大量生産出来て潤うだろう。やり方は詳しく知らんから色々と試してみてくれ。

昼のシャングリラとなる職人街の店もだいぶ出来つつある。

この食堂もすっかりと実験とかの打ち合わせする場所になっていたが、魔道具の店が出来たら通常営業に戻る。今までの見返りとして何か新商品を教えろと言われた。

「安い早い旨いが絶対だぞ」

もうそのフレーズを聞いたら牛丼しか思い浮かばない。

「ここの人達は米食うかな?」

「あんなもん旨くねぇだろ?」

「試しに作るから食ってみてくれよ。明日用意して持ってくる」

「おう」

そして、夜に家で牛丼の準備をしていた時にはたと気付く。

「醤油どうすんだよ?」

自分で自分に突っ込むマーギン。しまったな、明日持って行くけど商売で使えないじゃん。自分で商売に使う量の醤油作りとかしたくない。これは醤油も職人街で作ってもらう方がいいな。

そうブツブツ言いながら作り掛けていた大量の牛丼の味付けをしていた。

翌日

「旨いじゃねーかよ。具を作り置きすれば客が来た時に乗せるだけってのも簡単でいい」

「でさ、この調味料は売ってないから誰か大量生産してくんないかな?」

「は?調味料から作んのか?」

「うん、それがあれば焼き肉のタレとかも作れるんだよね」

「タレ?」

「そう。ちょっと焼き場を借りるよ」

と、焼き肉を作って食べさせる。

「よし、誰が作れそうだ?」

気に入ったようだ。生産への決断が早い、

「んー、酒作ってる人とかなら理解が早いかもしれない」

「分かった。話は付けておく。どれぐらいで作れるんだ?」

「まともに作ったら1年ぐらい」

「は?そんなに掛かんのかよ」

「うん」

「ならそれまでに使える物を出せ」

「そうだな… お好み焼きにする?」

ウスターソースみたいな物が売っているからそれをトマトソースとかと混ぜればお好み焼ソースみたいな物は作れるのだ。

刻みキャベツと小麦粉と豚肉で作る。出汁を使うかどうかは手間暇と売り値でどうするか考えてもらおう。

「おっ、これもいいな。材料も安くてすむ」

「これは簡単だから家でも作れる。店で金払って食べて貰おうと思えば味が真似できないようにしないとダメだよ。後は大将しだいだね」

「おう、そりゃわかってる。色々と試してみるわ」

ということで魔道具関係者だけではなく、職人街全体で儲ける仕組みが徐々に出来ていく。店作りとか新商品開発も様々な人が関わっていくので正式に組合を作って皆を登録するのであった。

翌日

「えへっ、来ちゃった♪」

とマーギンの家にローズとテヘペロをしたカタリーナ姫がやって来た。

「すまないマーギン…」

ローズの第一声はそれなのであった。