軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

発見

「大隊長、昨日のアイリスがやった爆発は、マーギンをこっちに戻すつもりでやったみてぇだ」

「そうか」

魔木の森を見張っている大隊長にバネッサが話しかけた。

「なんだよ、分かってたのか?」

「ああ見えて、アイリスは色々と気を利かせているぞ」

「そんな玉かよ」

大隊長がアイリスのことを褒めると、バネッサが鼻で笑う。

「そうやって、誰も気付かないぐらい上手くやっているということだ」

「うちが言うのもなんだけどよ、あいつは考えなしに動くじゃねーか」

「まぁ、そうだな」

と、大隊長が笑って例え話を始める。

「例えば、前にマーギンのハンバーグと、タジキのハンバーグの食べ比べをやっただろ。アイリスがマーギンのハンバーグを当てられるかどうかのやつだ」

「あぁ。間違えやがったやつだな」

「アイリスが本当にマーギンのハンバーグを間違えると思うか?」

「えっ?」

バネッサは大隊長の言葉に眉をひそめる。

「あのとき、タジキは気分を悪くしていただろう? だからアイリスは間違えたふりをして、タジキの顔を立ててやったのだ。あいつは人の気持ちをくみ取るのが上手いのかもしれんな」

「わざとか……」

「それに、マーギンが1人で行こうとしたことをオルターネンから聞いた。アイリスはそれも見抜いたのだな」

バネッサは今までのアイリスの言動を思い返すと、いくつか心当たりがあった。マーギンに対する自分の思いを見抜いてたのもそうだった。マーギンの気持ちを見抜いてるのも本当だったのかと思った。

「マーギン、出るか? 巨大なラプトゥルも魔木の森に戻ったみたいだ」

昨日とは打って変わって妙に静かな森になっている。

「ちい兄様、みんなを連れて行くのは危険だと思うんだよね。大隊長とちい兄様だけ一緒に行きたいんだけど」

その静けさに、マーギンは嫌な予感がする。

「……確かにその方がいいのかもしれんが」

安全第一なのはオルターネンも分かっている。しかし、何となく全員で行く方がいいのではないかと感じていた。

「みんなで協力してここまで来たのだ。はい、ここで、お前らの役目は終わりだ、みたいな扱いをするのか?」

足手まといがいた方がマーギンのブレーキとして働くのではなかろうか、と、心の中で呟く。

「多分、魔木の森には巨大ラプトゥルもたくさんいる。それに人を襲う魔木もいるんだよね。だから、アイリスやカタリーナが魔木に襲われると思う」

「マーギン、全員で行くぞ」

オルターネンの提案に渋ったマーギン。しかし、大隊長が全員で行くと言う。

「大隊長、本当に危ないんですよ」

「そうだろうな」

「だったら……」

「それでもだ。ここにいるものたちはお前の特訓に耐え、その後も研鑽を積んできた。過保護にするより、その成果を生かしてやるのが師匠としての役目ではないのか?」

「大隊長の言いたいことは分かります。でも危険の度合いが違うんですよ」

「後ろを見てみろ」

すでに全員が行く気満々で立っていた。

「一緒に行くからな」

ムニュ。

と、バネッサがマーギンの腕をギュッと握った。当たってるぞ、と言いかけると、反対の手をカタリーナが同じようにしがみつく。

「一緒に行くのっ!」

「お前なぁ……」

「さ、マーギン。俺たちの勇姿を見せてやるぜ」

カザフたちもここが頑張りどころだと言わんばかりに準備運動をする。

「妻を置いてっちゃダメですよ」

アイリスよ、お前はまだそんなことを言ってるのか、マーギンは呆れた。

ここまで言われちゃしょうがない、とマーギンは全員を連れて行くことにした。

魔木の森まではスムーズに進み、中に入ると案の定、ワンサカと巨大ラプトゥルがいる。

マーギン、大隊長、オルターネンがトライアングルになり、なかにほかのみんなを入れる。倒すことを優先せず、奥へ奥へと進む。

昔と違って、大きくひらけた場所がないため、魔木が邪魔になって巨大ラプトゥルは動きにくそうだ。

「隙間、隙間をすり抜けるぞ。ラプトゥルに構うな、このまま奥へ進めっ!」

マーギンが先頭になり、後ろをからみんながついてくる。中衛はオルターネン、殿は大隊長。

1列になったマーギンたちは、ヘビのように魔木の間を縫って走る。

そして、

「ここは……」

ようやく辿り着いた遺跡に見覚えがあるマーギンは目を見開いた。

「これが遺跡か?」

オルターネンがマーギンの横にくる。

「いや、これは魔王城だ」

そう答えたマーギンであった。