軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ヘタレーギン

「ローズ……?」

突然のことに、どうしていいか分からないヘタレーギン。

マーギンが驚いて目を見開き固まっているのに気づいたローズは唇を離した。

「マーギン……私はまだ痛いのだ」

と、ローズに少し困ったような顔で見つめられたマーギンは、傷ついた内臓がまだ痛むから唇を離さなかったのだと思った。

「じゃ、じゃあしょうがないね」

と、少し照れた顔でローズに口を付けて治癒魔法の息を吹き込もうとしたら、そのままローズに抱きつかれた。もう治癒と言うよりチューだ。

「ちょっ、ちょっとローズ……その……これだと治癒じゃなくな……」

マーギンが離れようとすると、

「マーギン……私が痛いのは心だ」

そう呟いてローズは目を閉じた。

「ローズ……」

もう、ここまでされて応えないのはどうかと、さすがのヘタレーギンでも分かる。

そして、マーギンはローズを抱きしめ、それは男女のキスとなっていった。

◆◆◆

ざわっ。

「ん? なんだ今のは」

森を見張っていた大隊長が一瞬だけ森がざわついたように見えた。

「今のは歪みがあった場所か……」

他の誰も今の違和感には気づいていない。見間違いか? と思いつつ。すくっと立ち上がった。

「どうしました?」

座って休憩していたみんなは、いきなり大隊長が立ち上がったことで警戒をする。

すると、アイリスがこちらに向かって歩いてきた。

「アイリス、他の者はどうした?」

「もうすぐしたら来ると思います。マーギンさんが迎えにいきましたので」

「そうか、ならばもう少し待つとしよう」

それからしばらく待つと、ロッカがカタリーナの持つ聖杖エクレールを引っ張って 走ってきた。

「ローズが落ちた。マーギンが森に飛びこんだ」

ロッカは最小限の説明をする。

「なんだと? 俺たちも戻るぞっ!」

それだけで理解したオルターネンは、元来たプロテクションステップを走ろうとする。

グラっ。

そのときに、プロテクションステップ全体が消えかける。

「ここもか。全員思いっきり身体強化をして、落下に備えろっ!!」

「ロッカ、どういう意味……」

と、バネッサが確認しようとすると、スッと、プロテクションステップが消えた。

「うわぁぁぁぁっ」

全員が森へと落ちる。

バキバキバキバキっ。

みんなが木の枝を折って落ちていくなか、バネッサとカザフは飛び乗れそうな枝を見つけて掴まる。

「ふぅぅんっ!」

びゅぅぉぉぉお。

大隊長は全員に下からの突風を吹かせて、落下スピードを落とした。

「みんな大丈夫か?」

ドスンと着地した大隊長、軽やかに着地したオルターネンはロッカをドスンと受け止め、トルクがカタリーナを見えない手で包んでゆっくりと着地をさせる。アイリスとタジキは着地した瞬間にコロンコロンと転がり、着地の衝撃を最小限に抑えた。

「マーギンになんかあったのか」

オルターネンはまだお姫様抱っこをしたロッカに状況を確認する。

「マーギンからあまり離れるとプロテクションステップが消えるのではないかと思っていたらその通りになって」

と、ローズが落ちた状況を説明する。

「そうか。マーギンがここから離れたからプロテクションステップが消えたのか。あいつらしからぬミス……ではないか。プロテクションスライダーでもやらかしているからな」

と、呆れ顔をする。みんなはいつまでもロッカを降ろさないオルターネンに呆れた顔をしていた。

「ではここでマーギンを待つとしようか。オルターネン、いちゃついている暇はもうないぞ」

大隊長がそう言って魔斧ヴィゴーレを構えると、すでに魔物に取り囲まれていた。

「トルクは姫様、タジキはアイリスを守れ。ロッカはみんなを頼む」

オルターネンがそれぞれに役割を指示する。バネッサとカザフはすでに木の上から、魔物の注意を逸らしていた。

◆◆◆

「ローズ、立てる?」

マーギンとローズは唇を離した。これ以上ここにいては、みんなが心配するだろうと思ったのだ。

ローズは身体強化魔法を思いっきり使ったせいで、かなり魔力を使っている。

「すまない、まだ力が入らない」

と、ローズが手を伸ばして立たせてもらおうとすると、マーギンはローズを抱き上げた。

マーギンに抱き上げられ、2人の顔が近くて真っ赤になるローズ。

それを見たマーギンは、チュッとした。

「ふふふっ」

2人はおでこをくっつけて笑い合い、もう一度キスをした。

「さ、みんなのところに……げっ。プロテクションステップがなくなってる」

「そうだ。だから私は落ちたのだぞ」

「い、いや、ここだけじゃなく全部……」

マーギンの顔がサーッと青ざめていくのであった。