軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

みんなの成長に感心

ポニーがミスティに見えた夜、ポニーはテントに戻り、マーギンは眠れずに、そのまま外でキンとギンにもたれていた。

「くぅん、くぅん」

いつもと違うマーギンの様子に、キンが鼻先をくっつけてきて、慰めるような仕草をする。

「お前は優しいな」

そう言いながら、キンの頭を撫でてやる。

マーギンはラーの神殿にあったミスティの石像が偽物だと確信してから、焦りが減っていた。本物の石像がどこかに安置されているか、とっくに復活して、こっそりとこっちを見ているような気になっていたのだ。

しかし、ポニーの能力で本物と間違うほどのミスティを見て、マーギンの心が大きく揺れた。

ーミスティに会いたいー

マーギンの心はその一心に染められていく。そして、まだ見つけられないムーの遺跡に、ミスティに繋がる何かがあるのではないかと思うのだった。

「もう出発するの?」

マーイが食べ終わった朝食の後片付けをしながら、マーギンを見た。

「あぁ」

マーギンは小さく返事をする。

「マーギン、またちゃんと会いにきてね」

ポニーはマーギンの服の裾を持って、少し淋しそうな顔をした。キンとギンもマーギンの周りをグルグルと回っている。

「ポニー、ちゃんと会いにくるから、そんな顔をするな」

「うん……」

マーギンはポニーと山犬の頭を撫でてから、ガインの亡骸が安置されていた遺跡前に転移したのだった。

「ここ前に来たところだよね?」

カタリーナがキョロキョロと周りを見渡している。

「そうだ。ここから隠された遺跡を探しに行こう」

「ここが遺跡か」

他のみんなは珍しそうに遺跡を見ている。

「ここにはもう何もないと思う。下手に中に入ると、まだ仕掛けがあるかもしれないから、入らないでね」

「そうか、残念だな。少し中を見てみたかったんだが」

と、オルターネンが残念そうに腕を組んだ。

「マーギン、ちょっとぐらいいいじゃねーかよ。俺たちも見てみたいぜ」

「うん、僕も見てみたいなー」

カザフたちも中を見たいようだ。

「しょうがないな」

これもカザフたちの勉強になるか、と少しだけ中の見学をすることにした。

「カビ臭ぇぞ」

「カビが生えてるからな」

バネッサとカザフが斥候に出ると言ったが、下手にバラけるのはよくないと、固まって中に進んだ。

蔦だらけの遺跡の中を進み、落とし穴があったところに到着。

「ほら、何もなかっただろ?」

「マーギン、仕掛けはどこにあるんだ?」

カザフたちが興味津々で聞いてくる。

「お前が今立ってる祭壇の前の床だよ」

「ここかよ? なんにもねーじゃんかよ」

「強く踏むと、床が抜けて地下に落ちるようになってんだよ。やるなよ……」

と、言い切る前に、バンッと床を蹴ったカザフ。

ガタンっ

「うわぁぁっ!」

落ちるときにカザフがタジキの服を掴み、タジキがトルクの服を掴み、それを助けようと手を出したカタリーナも巻き添えで落ちた。

ドサドサドサ。

「あーあ、言わんこっちゃない。おーい、大丈夫か?」

と、マーギンが下を覗いて声をかける。

「痛ってぇぇっ」

一番先に落ちたカザフの上にタジキ、トルクが降ってきたのだ。一番痛い目に遭ったのがカザフ。

「私は大丈夫。カザフが怪我したかもしれない。シャランランしておくね」

「マーギン、ついでだ。我々も中を見ておこう」

大隊長とオルターネンも墓のあった場所を見たいようで、下に飛び降りていく。マーギンはプロテクション階段を出して、残りの人と降りた。

「ここが墓か。亡骸はもうないが、祈りを捧げておこう」

大隊長がガインの墓に祈ると、他のみんなも目を閉じて祈りを捧げたのであった。

プロテクション階段で、床が閉まらないようにしておいたので、全員で登ってから遺跡調査を再開。

森の中に入ると当然魔物が襲ってくる。この辺りは虫系とパワータイプのコング系だ。

「カタリーナ、ローズ、アイリスは俺のそばにいろ。コング系の魔物討伐はみんなに任せておけ。こっちは虫系の魔物を討伐する」

大隊長とオルターネンがいるので、向こうは大丈夫だ。コング系の魔物の方が虫系より圧倒的に強いが、厄介なのは種類も数も多い虫系の方だ。

「くはははっ、かかってこい」

コングと対峙するロッカの手にはレーキを葬った棒。強烈なパワーで剣を折られる心配をせずにぶっ叩ける棒はロッカのお気に入りだ。

ダカダカダカとドラミングをしてから、ロッカに襲いかかってくる。ロッカは体重を乗せた一撃を食らわせる。

ロッカの攻撃を腕でガードしたコング。

ボクっ。

鈍い音がしたあと、ロッカの攻撃を受けたコングの腕が嫌な曲がり方をして、ダランとなった。

「骨が折れたとはいえ、よくぞ私の攻撃に耐えたな」

片腕が折れても、強い威圧を放ってくるコング。

「ふふふ、お前みたいなやつは嫌いではない。私は、相手が手負いでも手加減はせんからな。葬らんっ!」

コングの顔目掛けてフルスイングをするロッカ。

ブンッ。

コングは仰け反って、その攻撃を躱したと思った瞬間、

ドゴンっ。

ロッカは空振りをした勢いのまま回転した。そして、反撃しようと顔を上げたコングの側頭部に、勢いが増した棒がめり込んだ。

ドサッとその場に崩れ落ちるコング。

「うむ、タフなやつだった。見事だ」

前のめりになって死んだコングにそう言ったロッカは次のコングに突進していった。

ヒュンヒュンヒュン。

森の中の木々を縫うように飛ぶオスクリタ。木の上にいる猿系の魔物を狩っていく。

「ロッカ、上はあまり気にしなくていいぞー」

「おー、そんな所にいたのかバネッサ。では前だけを気にしておく」

木の上からバネッサに声をかけられたロッカは、前だけ見ると答えた。

「バッカ、気にしなくていいのは上だけだ。前後左右気にしやがれ」

バネッサが呆れてそう言うと、ロッカは笑いながら次のコングに向かった。

大隊長とオルターネンはいつものごとくサクサクと討伐。カザフたちも三位一体となり、なんとかコングを討伐していた。

「あいつら本当に成長したな。コングは相当強い魔物なんだけどな」

「そうですねぇ。みんなマーギンさんの教えが土台になってますから」

マーギンがカザフたちの戦いに感心していると、アイリスがそう言ってマーギンを見上げた。

「お前も出会ったころと比べると、別人になったな」

世間知らずのバカモノだったアイリス。それが今や【炎の悪魔】と呼ばれるような魔法使いだ。こうやって話している間も、襲ってこようとする虫の魔物を高熱で蒸発させるような焼き方をしている。焼けた臭いで仲間が寄ってくることもない。見事な手法だ。

こうして、人々が恐れる強い魔物をものともせず、森の中を進んでいった。

そして、出発する前にプロテクションステップで空に上がり、方角を間違えてないか確認をする。

「どうだ、まっすぐ進めているか?」

「ええ。問題ありません。このまま進みましょう」

未開の森は魔物以外にも倒れた木々やぬかるみ、小刻みなアップダウンの連続で進むのに時間がかかる。

「はぁ、疲れたな」

森の中を進んで1週間が経ったころ、さすがにみんな疲れてきたようだ。魔物の数が多くて中々進めないのだ。

「マーギン、風呂に入りてぇ。それと甘辛が食いてぇ」

「私はハンバーグです」

「焼肉にするか?」

みんな希望がバラバラだ。タジキと分かれて作ることにして、マーギンは甘辛の唐揚げ、ハンバーグ担当をする。

疲れているので、甘辛は鶏もも肉1枚丸ごと唐揚げに。ハンバーグもデカくする。

「カタリーナとローズは甘辛と唐揚げのどっちを食べるんだ?」

「私は両方!」

どちらかを選べと言ったのに、両方を選ぶカタリーナ。さすが、欲望に忠実だ。

「私はハンバーグをいただこうかな」

ローズはハンバーグを選んだ。

ご飯はアイリスが炊き、ハンバーグと甘辛にのせる目玉焼きはバネッサが焼き、鶏ガラスープはカタリーナとローズが作ってくれる。

甘辛とハンバーグを作るのも久しぶりだ。森に入ってからの飯は簡単なものばかりだったのだ。

「あれ? マーギンは食べないのか?」

ローズがハンバーグを頬張りながら、マーギンに聞いてくる。

マーギンはスープと薄めのレモンサワーを飲んでいるだけだ。

「カタリーナが絶対に残すだろ?」

甘辛もハンバーグも2人前分ぐらいの量だ。カタリーナが合計4人前も食べ切れるわけがない。「残さず食え」と言ったら食うだろうが、あとで吐かれても困る。そう思ったマーギンは、カタリーナが食べ切れなかった分を食べるつもりなのだ。

「それなら、私が姫様が残したものを食べるから、これを先に……すまん、これも私の食べ残しと同じだな」

自分の食べかけのハンバーグを差し出そうとしたローズは、すぐに意味のない行為だと気づいた。

「気にせずに食べて。俺はスープとレモンサワーを飲んでるから」

「な、なんか申し訳ない」

ズボッ。

「うぐっ……」

そんな話をしていると、バネッサがマーギンの口に食べかけの甘辛を突っ込んだ。

「一緒に食いやがれ。一緒に食わねぇとみんな気を遣うだろうが」

「そうですねぇ。ではハンバーグも」

「えーっ、じゃあ私も」

アイリスからハンバーグを口に突っ込まれ、カタリーナからは両方だ。

「もういい、もういい。自分で食うから」

みんながマーギンの口に自分が食べていたものを突っ込んだのを見ていて、自分だけが一人で食べているのが気まずかったローズ。次は自分の番かと、ハンバーグを一口サイズに切って、持ち上げたときに、「もういい」と言われてしまった。

「あ……」

一口サイズのハンバーグが刺さったフォークを右手に持ち、左手は汁がこぼれないように手で受けて、止まったときにマーギンと目があった。

「あ、いや、その……」

お互いに気まずそうな2人。

「い、いただきます」

マーギンはそう言って口を開けると、ローズは照れくさそうに、ハンバーグをマーギンの口に入れたのだった。