軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

相変わらず

「なぁ、ロドなんか分かったか?」

森の中をくまなく歩いて、マギュウポイント近くまで戻ってきていた。しかし、遺跡らしきものは見つけられなかったマーギンはロドリゲスに尋ねた。

「おかしいっちゃ、おかしいな」

「何か変なことがあったのか?」

ロドリゲスは簡単な地図を地面に描き、今まで進んできた道を指でなぞっていく。

「ここをこう進んだはずだろ?」

「そうだな」

「で、今いるのはここだ。本来なら、王都とライオネルの街道の中心あたりに出ないとおかしいと思わねぇか?」

「途中で方角を間違えてたのかな?」

ロドリゲスの言うとおり、以前手に入れた地図に印が付いていた付近を念入りに捜索していたはず。しかし、今はマギュウポイント近くにいるのだ。

「いくらグルグルと歩き回ったとはいえ、このメンバー全員が方向を見誤るとも思えねぇ」

「ということは?」

「方向を見失う原因があるはずだ。例えば下り坂に見えて、上り坂だったりするような場所がある。森の中にもそういう個所がいくつかあれば方向を見失うかもしれん」

なるほどと、マーギンは頷いた。森の中を歩いていたときは、太陽が分厚い雪雲に覆われていることが多く、時折吹雪にも見舞われたこともあった。その影響もあったのかもしれない。

「しょうがない。もう一度戻るか」

「寒さの影響で虫系の魔物はほとんど出なかったが、春を待った方がいいんじゃねーか? 今戻っても同じような結果になると思うがな」

「しかし……」

マーギンはロドリゲスの再捜索を止めるような言葉に渋った。

「みんなのこともよく見ろ」

と、ロドリゲスは顎をクイッと動かし、他の者たちの方を指した。

マーギンがみんなを見ると、寒さの中、雪で足元の悪い森を進んできた疲れが出ているようで、全員相当疲れている顔をしていた。

「そうか。仕切り直しってことだな」

「あぁ。そうしてやれ。この状態で何かあったらやべぇからな」

ロドリゲスは全員の状態を見て、街道の方角へ進んだつもりだったのだ。

こうして、マーギン一行は遺跡捜索を一旦おえて、王都に戻ったのだった。

◆◆◆

「葬らん! 葬らん!」

北の魔物討伐をしているロッカはショベルカーで大型レーキをタジキが乗るブルドーザーの方へ打っていた。

「見よ、このパワー。大型レーキであろうともびくともせんわ」

と、ガハハハハと笑うロッカ。

そして、ブルドーザー近くに落ちたレーキを掘ってある穴に落としていくタジキ。

《ファイアボール!》

穴に落ちたレーキの上にアイリスがファイアボールを放ち、レーキを焼いていく。通常なら苦戦するはずの大型レーキ討伐はロッカの楽しみ兼、作業と化していた。

「はぁ、今頃マーギンさん達はどうしてるんでしょうねぇ。もしかしたら、ハンバーグを食べてるかもしれません。ズルいです」

レーキが蠢く穴の方を見ずに、はるか南にある森の方角を眺めて、ズルいですと言い続けているアイリス。

「おい、アイリス。ブツブツ言ってないで、ちゃんと焼けよ。デカいのが穴から出ようとしてるだろうが」

「出れませんよ」

「え?」

大型レーキが炎に耐えて、穴から出ようとしたら、ファイアスライムがそれを捕まえるように飲み込んでいく。

「なんだよその魔法……」

「ファイア地獄です」

足掻くレーキが次々とファイアスライムに掴まれていく様をブルッと震えながら見るタジキに、しれっと答えるアイリス。

「あーあー、早く帰ってこないかな、ハンバーグさん」

タジキの青ざめる顔を気にすることもなく、焼けるレーキを見つめながらアイリスはマーギンをハンバーグ呼ばわりしていた。

◆◆◆

「次はいつ出るのだ?」

王都に戻ってきた大隊長とオルターネンは予定をマーギンに尋ねる。

「1週間後ぐらいにしましょうか?」

「タイベには行くのか?」

マーロックが顔を出して欲しいと伝えられていたのを覚えていたオルターネンは、それをどうする? と聞く。

「そうだな……」

「何か大切な用事があるかもしれん。どちらを優先するかはお前に任せるが」

「じゃあ、タイベに行って、そこから森に向かえばいいじゃない」

釣りをしたいカタリーナがニコニコ顔で、先にタイベに行こうと言う。転移魔法でタイベに行って、マーギンの石像が安置されていた遺跡から森に行けばいいと言う。

「そうだな。違うルートから進む方がいいかもしれんな」

そう答えたマーギンは1週間後に訓練所に向かう約束をしてみんなと分かれた。

しかし、当然のように付いてくるバネッサとカザフ、トルク。私もと暴れたカタリーナはローズに連行されて行った。

「宿舎で寝ろよ」

「ケチケチすんなよ」

「ケチケチとかじゃなく、お前まで来たら、俺がベッドを使えなくなるだろうが」

「一緒に寝てやってもいいぜ」

同じテントで寝ることが多かったが、家のベッドで一緒に寝るのは違うだろと思うマーギン。

「あーっ、もうっ!」

何を言ってもきかないことを察したマーギンは3人を家に連れて帰った。

「へへっ、やっぱここで食う飯は旨ぇよな」

唐揚げの甘辛を旨そうに食べるバネッサ。カザフとトルクもうまうまと食べている。大量に作ったから、取り合うこともないだろう。

マーギンは、自分の分は甘辛にせずに、カリカリの衣をまとった唐揚げをレモンチューハイで食べ、先に風呂に入った。

『ハンバーグ!!!』

湯船に浸かって、ふぅーっと疲れを湯に溶かしていると、どこからかそんな声が聞こえてきた気がした。

「やっぱ、俺も疲れてんだな」

そう呟いたマーギンが風呂から出ると、バネッサとカザフが石の自慢合戦をしていた。

「「なぁ、どっちの石が綺麗だ?」」

遺跡散策中に拾ったであろう石を同時に見せてくる2人。

「また拾ってたのかよ。どっちもただの石だ」

呆れた顔で答えるマーギン。

「そんなことねぇだろうがよ。ちゃんと見ろよ」

「あー、はいはい。お前らもさっさと風呂に入って寝ろ」

と、素っ気なく答えたマーギンはソファにゴロンと寝転んだ。

「マーギン、僕たちと一緒にベッドで寝る?」

ソファで寝転がるマーギンの顔を覗きこんだトルクが微笑んだ。

「お前らもデカくなったから、狭いだろ。いいから俺のことは気にせずに風呂に入って寝ろ」

「はーい」

トルクとカザフが風呂に入りにいき、その後、バネッサがカラスの行水で出てきた。

「もう寝てんのかよ? ガキどもが寝たあとにゆっくり飲もうと思ってたのによ」

爆睡するマーギンを見たバネッサはそう呟いたあと、ベッドから毛布を持ってきて、ソファの横で寝たのであった。