軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑話:至福の時間

出発前に王と王妃にノウブシルクのことを報告しておく。

「不思議なことがあるもんじゃの。ノウブシルクの王族の血を引くものがシュベタインで孤児になっとるとは」

「えぇ、なぜシュベタインに来れたのか謎は残りますが、調べようがないです。トルクが王になるかどうかも分かりませんが、可能性があるということはお伝えしておきます」

「うむ、これからも敵対せぬような関係が続くことになればいいの」

と、王はトルクが王になるのを望んでいるようだった。王妃の表情も柔らかいので、きっと同じような気持ちなのだろう。

報告が終わったマーギンは食材を買い込み、料理を仕込んでおくことに。

家でせっせと料理をしていると、ドヤドヤとみんなが集まってきて、あれを作れ、これを作れと言ういつもの流れになり、帰らない。もう好きにしてくれと、マーギンは文句も言わなかった。

そして、ライオネルに向けて出発した。

「あの爺さんの村に寄るのか?」

「しばらく顔を出してなかったからな。冬の食料でも差し入れしておくわ」

日持ちのする干物や塩漬け肉をたくさん作っておいたマーギンは、じゃがいも農家のケンパ爺さんの村に寄った。

「おー、おー、おー。随分と久しぶりじゃのう」

「ご無沙汰しててごめんね。元気そうで何よりだよ」

お土産の食料を渡すと、拝まれるように感謝される。

「今年は豆を植えたの?」

「同じ場所でじゃがいもを植え続けるのも良くないのでの。何年かごとに豆を植えるんじゃよ。そうするとまたいいじゃがいもができるようになるんじゃ」

へぇ、そうなのか。

全員で泊まるのは無理なので、カザフとトルクを泊めてもらい、マーギン達はテントで野営をした。

寝る前にロドリゲスを交えて男同士で酒を飲む。

「いい酒を持ってきてやったぜ」

と、ロドリゲスがウィスキーの瓶を出す。

「おぉ、よく手に入ったな」

ロドリゲスの酒を見て、大隊長が褒める。

「かなり高い酒?」

「値段はそこまで高くはないが、数が少なくて手に入りにくい酒だ。転売するとかなりの値段になるだろうがな」

「へぇ、転売する人がいないってこと?」

「転売したのがバレたら二度と売ってもらえなくなるから、誰も転売せんぞ」

気に入った人にしか売らない酒のようで、年間に売られる本数も少ないらしい。

「ロドリゲスは伝手があるのか?」

「まぁ、そんなところです」

大隊長とロドリゲスはストレートで。マーギンとオルターネンはロックで飲むことに。

「あー、けっこうクセのある味だね。なんて言うんだろ。飲む人を選ぶっていうか、好き嫌いのある味というか……」

かなりスモーキーでスパイシーな風味のウィスキー。

大隊長とロドリゲスは実に満足そうに飲んでいる。マーギンとオルターネンは渋い顔。まるで酒が飲む人を選んでいるかのようだ。

「ちい兄様、炭酸水で割る?」

「あぁ、頼む」

ハイボールにすると、少し爽やかな感じがする。

「こっちの方が合うな」

「だね。なんかツマミがあった方がいいね」

マーギンはベーコンを出して、炭火で炙る際に、スモークチップを足す。

「凄い煙だな」

「この酒、風味が強いから、それに負けないようなツマミの方が合うかなと思って」

スモークマシマシの炙りベーコンを齧り、ハイボールを飲む。

「おっ、旨い」

酒のスモーキーさよりベーコンのスモーキーさが勝ったことで、ハイボールはスパイシーさだけが残ったような感じだ。

「どれどれ。おっ、本当だな。これを食いながら飲む方が旨い」

「マーギン。こっちにもくれ」

と、ロドリゲスに言われたので、2人にも渡すと、スモーク風味が強すぎて酒の味を邪魔すると言われたので、普通に炙ったベーコンを渡した。

「自分らだけ何食ってんだよ? ズルぃぞ」

と、バネッサとシスコがテントから出てきた。スモークの匂いに誘われたようだ。そしてカタリーナとローズも出てくる。

ロドリゲスは持ってきた酒を振る舞おうとしなかったので、サングリアを作っておいた。

「なんかツマミも作ってくれよ」

ベーコンはあまり合わなそうだし、飯も食ったあとだからな。何がいいか……甘い物のほうがいいか。そう思ったマーギンはリンゴを4等分に切って串に刺して焼く。火が通ったら、砂糖をかけてキャラメリゼに。

「おっ、旨ぇ」

「本当ね。こんなに簡単にできるのに美味しいわ」

そう思うなら、自分でやりたまへ。

「マーギン、これ美味しい! お代わりも焼いて」

カタリーナがお代わりを希望すると、みんなまだ食べると言うのでせっせと焼いていく。その間にオルターネンも大隊長達の方へと行ってしまった。マーギンは生贄にされたのだ。

ついでに自分の分も焼き、シナモンをかける。

「おー、シナモンをかけると、このウィスキーも合うな」

リンゴ、キャラメリゼ、シナモンの甘味がクセのある苦味とマッチしている。

「その酒は旨いのか?」

「クセが強いから、バネッサは苦手だと思うぞ」

と言ってるのに味見をしやがった。

「まじぃ」

「だから言っただろうが」

そして、カタリーナも味見をして、まずいと大きな声で言う。それを聞いたロドリゲスは両手を広げて、お手上げみたいなポーズをしていた。

酒を飲み終わったあと、バネッサはシスコと、カタリーナはローズとテントで寝ているし、アイリスもいない。なんて気楽に眠れる日だ。

1人だと広いテント。それに気温が下がってきて寒い。毛布を重ねるか、それとも……

「コタツ出しちゃお」

1人コタツムリになってご機嫌になったマーギンはテンションが上がってきて眠れない。

「飲みなおすか」

と、1人で3次会に突入。

アイテムボックスの中にすぐに食べられるものを探した。

「これだな」

と、出してきたのは数の子。そして酒は日本酒。

ポリポリ。クイッ。

「かーっ、旨ぇ」

と、自分のデコを叩く姿はすっかりおっさんだ。

コタツに入り、鼻歌を歌いながら数の子で日本酒を楽しみ、そのままコタツで寝る。

翌日のトナーレでは、ソーセージを仕入れ、寝る前に1人でトロッコ風呂に入りながら酒を飲み、コタツムリで寝るという至福の時間を過ごしたのであった。