軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

活躍とやらかすアイリス

「随分とカビ臭くて生臭い坑道だな」

バネッサが鼻をスンスンさせながら、嫌な顔をする。

「下も濡れてるから、滑りやすいな。気をつけて歩けよ」

ところどころ苔むしているので、気をつけていてもズルッといく。ロッカがカザフ達にそう注意したが、カタリーナとアイリスがやらかしそうだ。

「マーギン、先を見てきてやろうか?」

と、バネッサとカザフが斥候に出ようかと聞いてきた。

「危ないからいい。ここに出るサラマンダーは俺も知らない魔物なんだ。どんな攻撃をしてくるか分からん」

「知ってるサラマンダーってのはどんなんだ?」

「俺の知ってるのは火吹きトカゲだ。アイリスのバーナーみたいな炎を口から出す。口を開けてからタメがあるから、プロテクションで防ぎやすい。ここのは水生だろうから、水攻撃かもしれんな」

と、マーギンは歩きながら身ぶり手ぶりで説明をする。

「あの子供らも、ここを通って来たのかな?」

「そうだと思うけど、詳しくは分からんな」

ときどき、コウモリ系の魔物が襲ってくる坑道を通るのは結構大変だ。このパーティーだと苦戦することもないのだが。

奥へ奥へと進むと、坑道が狭くなってくる。

「マーギン、ここからは俺と大隊長、ロッカの攻撃は期待しないでくれ」

ジェニクス、ヴィコーレ、ロッカのロングソードを振り回すには坑道が狭い。

「なら、うちとカザフが先頭で行くか。露払いをしてやんよ」

バネッサのオスクリタ、カザフのナイフはこの場所なら適任だ。

2人が先頭を進んでいるが、カタリーナがマーギンの服を掴んで離さない。

「歩きにくいぞ」

「どっか持ってないとこけそうなの」

そう言いながら、反対の手で山伏のようにエクレールを地面について歩く。

やめたれ。確かに杖ではあるが、そんな使い方をするものじゃないぞ。と、突っ込もうとすると、アイリスも服を掴んできやがった。

「お前らなぁ……」

「うわっ!」

と、足を滑らせたローズがマーギンの肩を掴んだ。

「大丈夫?」

「あぁ、すまない。気をつけているのだが」

と、ローズは地面をガッガッと踏んで、これ以上滑らないように確認をしている。

「ズルい」

と、カタリーナがむくれる。

「何がだよ?」

「ローズにだけ優しい」

「当たり前だろ。本当は城で休んでてほしかったぐらいなのに。まだ体力が完全に復活してないんだから」

マーギンは水生のサラマンダーが毒持ちだったときのことを想定してカタリーナを連れてこざるをえなかった。狭い坑道での毒攻撃は最悪のパターンなのだ。

「うわっ」

先頭を歩いていたカザフが声を上げた。

「マーギンっ、ヤベェ!」

先頭の2人を見ると、デカいクモがカザフに糸を吐きかけたようで、身動きができなくなっている。

「バネッサ、その場を離れろ」

バネッサはそう言われて、離れ際にカザフに向かってオスクリタを投げる。

シュッ、シュー。

「ゲッ、絡め取られた」

投げたオスクリタがクモの糸でグルグル巻にされてしまった。

「だから、離れろと言ったんだ」

「アイリス、一緒に来い」

と、マーギンはアイリスを連れて先頭に行く。

「ちい兄様、刀貸して」

と、オルターネンに渡した刀を受け取り、炎を纏わせる。

「アイリス、俺がカザフを救出したら、先に向かってバーナーを出せ」

「はい」

炎をまとった刀はクモの糸を焼き切り、グルグル巻きのカザフを救出して後ろに投げる。

「行け!」

《バーナー!》

ゴウゥゥゥ。

行く手を遮るように張られていた糸ごとクモを焼き切るアイリスのバーナー。

「もういい、もういい!」

ハイテンションでバーナーを出し続けるアイリス。

「もういいって、言ってんだろうが」

マーギンが怒鳴ったところで、しゅぼぼぼとバーナーを止めた。

「上手に焼けましたぁ!」

「遊ぶな。こういうところで、炎はあまりよくないんだよっ!」

「クモの糸って、よく燃えるんですねぇ」

と、怒鳴られたのに、あっけらかんとしているアイリス。

「こいつの糸は斬りにくいが、火には弱い。今度は俺とお前で先頭になるからな」

バネッサは、オスクリタを回収して、熱っちいぃと叫んでいた。

「フンフフンフン♪」

マーギンと先頭を歩くのが嬉しいのか、ご機嫌のアイリス。マーギンは岩陰に潜むクモを警戒しようと思っていたら、アイリスがファイアスライムを出して、坑道の壁や天井に這わせていく。

「あっ……」

マーギンが思わず声を出す。警戒もへったくれもなく、隠れていたクモがコゲて、ドサっ、ドサっと落ちてくるのだ。

「クモ退治は楽でいいですねぇ」

と、手をつないできた。まるでお散歩気取りだ。

こうしてクモの縄張りをあっさりと抜けると、坑道から洞窟のような場所に出た。

「マーギン、道は合ってるのか?」

大隊長達と坑道図を確認する。

「ここをこう進んできたから、今はここらへんだと思うんですよね」

「坑道図だけだと、これが坑道なのか、洞窟なのか分からんな」

「採掘場所なのかもしれませんね。もう少し進んで確認しましょう」

そう言って先に進むと、広間のような場所に出た。

「やっぱり、ここは採掘場だったみたいですね」

掘り広げたような感じで、下は地下水が溜まって池のようになっていた。

「ここに何か潜んでいそう」

そう言って、カタリーナが覗きこもうとした瞬間、ゾクっと、嫌な感じがしたマーギンはカタリーナの服を掴んで、自分の所に引き寄せた。

ザパッ。

ヤバいっ!

《プロテクション!》

咄嗟にプロテクションで攻撃を防いだマーギン。

「きゃーっ。気持ち悪いっ!」

イボイボをまとった黒紫色のデカいトカゲ……というかサンショウウオ系の魔物かこれ?

ビチャビチャビチャビチャ。

プロテクションにぶつかったサラマンダーは黒紫の身体を震わせて粘液を撒き散らす。その粘液がプロテクションにまとわりつき、前が見えなくなった。

「一時撤退」

と、マーギンが指示を出して坑道の方へ退避する。

ぬっちゃぬっちゃぬっちゃぬっちゃ。

嫌な足音を立てながら追ってくるサラマンダー。

《バーナー!》

追ってくるサラマンダーにバーナーをお見舞いしたアイリス。

ジュワワワワっ。

「ゲッホ、ゲホゲホ。やめろアイリス。あの粘液は毒だ。毒が揮発して坑道に蔓延する」

酷い臭いを発した粘液が気化して、マーギン達を襲った。

《プロテクション!》

マーギンは狭くなった坑道にプロテクションを張り、これ以上毒がこっちにこないように蓋をしたのであった。