軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

バネッサを心配

ーグラマン工房ー

「あ、ロッカさん、お帰りなさい」

「あぁ、店番お疲れ様。親父は作業中か?」

「今は工房に行かない方がいいですよ。そうとうご機嫌が宜しくないようでして」

「なんかあったのか?」

「ロックぼっちゃんが怒鳴られまくっておりまして」

「あぁ、親父の手伝いが上手く行ってないのか」

「おそらく」

「マーギン、どうする?親父は機嫌が悪いらしい」

「って、言われてもなぁ。こいつらのサイズを合わせに何回も来るの面倒だし、取り合えず声だけでも掛けてみようよ」

「ならマーギンが直接声を掛けろ。私だと喧嘩になるかもしれん」

機嫌の悪い自分の親を人に任せるとかどうよ?

店の中を通って工房に向かうと親父さんの怒鳴り声がかすかに聞こえる。防音をしてある工房から声が聞こえるとか相当だな。

「こんなに怒鳴ってちゃ、親父さんの頭の血管切れそうだよね」

「全くだ。母さんに工房の鍵を借りてくるから待っててくれ」

と、しばらく待ってると鍵を持ってきたロッカに渡される。

「じゃ、頼んだぞ。私達は家で待ってる」

嘘だろ。俺一人で対応すんのかよ?

さっさとロッカ達は3スタンまで連れて家に入ってしまった。

マーギンは鍵を開けて扉を…

「休むなと言っただろうがっ 炉の温度を維持せんかっ」

キーーンっ

少し開けた時に親父さんの怒鳴り声が耳を刺激する。もうこれは攻撃魔法と変わらんぞ。

「おやじさーーんっ 親父さんってばっ」

ガミガミ怒鳴る親父さんの声でかき消されてマーギンの声が届かない。今日は他の職人さんもいるからそちらに声を掛けよう。

「ちょっと入っていい?」

「誰だお前はっ?勝手に工房に入って来んなっ。誰だ鍵を締め忘れたやつはっ」

大声でやり取りするマーギンとゴツい職人。

「鍵はロッカのお母さんから借りたんだよ。親父さんに用があるから声かけて。俺はマーギン」

「声を掛ける?俺がか」

「そう」

「バカ言えっ。自分で声を掛けろっ」

こんなにゴツいのに怒ってる親父さんに声を掛けるのが怖いのかよ?

ゴツンっ

あ、ロックが槌で殴られやがった。死ぬぞあんなので殴られたら…

しょうがないので親父さんの所に行って肩をトントンしたら槌を振り回そうとしやがるのでパラライズっ!

「うっ…」

しびれて動けなくなる親父。

「親父さん、落ち着いて。殴られそうだったから麻痺魔法を掛けた。正気に戻ったら解除するから」

というと、目の動きで頷いた。

「解除。親父さん、防具とか作ってもらうガキ共を連れて来たんだけど」

「おぉ、そうか。おいお前らっ。ロックの目が覚めたら炭を足すように言っとけ」

「へ、へい」

「ったく、ロックのやろう炉の温度管理をやらせてくれって言うからやらしてるが使いもんにならねぇ」

「温度が上がらないの?」

「すぐにへばりやがるから魔鉄を打つのに死ぬほど時間がかかる。これではいつになったら出来上がるかわからんっ」

あのフイゴで魔鉄を打てる温度でキープするのかなり大変だろうな。回転式のフイゴなら初めに動かすのが大変だけど、動き始めたら一定のスピードで空気を送れるんだけどな。他の職人が作れるだろうか?回転式フイゴの事を後で進言することにしよう、今言えばその作業が始まってしまいそうだ。

「子供達は家にいるからそこで測って」

と、家に入ると飯を食わして貰ってやがる。

「マーギン、おばちゃんの飯旨ぇ」

「お母さん、すいませんね」

ガキ共の親のように謝るマーギン。

「いいのよぉ。子供はたくさん食べないとだめだもの。お代わりいくらでもしなさいね」

「うんっ、お代わりーーっ」

パンと簡単なスープだけどこいつらにとってはご馳走だからな。

食べ終わるまで待ってからサイズを測る。

「あとはこいつらがどこまでデカくなるかだな」

3人共この歳としては痩せていて小さい。恐らくまともな食い物がなかったからだろう。これからちゃんと食ったら成長期と重なって、どんどんデカくなるかもしれない。

「そうだね。これからのサイズは読めないね。まぁ、デカくなったら何回でも作り直してやるつもりだから、そこまで気にしないで」

「そうだな。鉢金、胸当て、肩当て、篭手、すね当てぐらいでいいか?」

「うん、それでお願い」

「素材は馬を使おうと思っている。柔らかい方が動きやすいだろ?」

「じゃあそれでお願い。料金はいくらぐらい?」

「いらん」

「ダメだよ。ちゃんとお金取らないと」

「こっちはもっと高価な素材をもらってるんだから気にするな。こっちの気が引けてるのが少しマシになる。後はナイフを作っておいてやる」

「そう?なんか悪いね。じゃあ代わりに回転式のフイゴを提案しておくよ」

「回転式?」

「ロックが炉の温度を上げ続けるの大変だろ?もう少し楽になると思うよ。職人さんに頼めば作れるんじゃないかと思うけど」

と、紙にこんな奴と説明していく。

「このハンドルを回してればいいのか?」

「軸を重くしておけば初めに回す時に力が必要だけど、回し始めたら楽になるよ」

「温度が保てるなら作った方がいいな」

「うん」

親父さんは早速作らせると言って工房にいってしまった。

ロッカが親父さんが工房に行ったのを見て話しかけてくる。

「マーギン、アイリスには防具は必要ないのか?」

「アイリスは補助要員として考えてるけど防具いるかな?」

「うちは盾役がおらんからな。後方にいてもあった方がいいと思うぞ。紐で調節出来るから見繕ってやろうか?」

「じゃあお願いするよ」

ということで店に置いてある防具を見に行く。そして、どれが良いかなと選んでいる時に前から不思議に思っていた事を尋ねた。

「なぁロッカ、前から不思議に思ってたんだけどさ、たまにビキニアーマー着てる人がいるだろ?」

「いるな」

「あれ、防御力なくね?」

「腹を狙われたら終わりだ。私もなぜあれを選ぶのか理解出来んが護衛依頼は指名が結構入る。見目が良くないとダメだがな」

「エロ目的か?」

「だろうな。依頼主は退屈な移動が楽しくなるらしい」

見て楽しむ訳か。

「ビキニアーマーの奴は戦えんのか?」

「パーティーメンバーもいるからなんとかなってるみたいだ。バネッサタイプなら動きやすくていいのかもしれん」

なるほど。

「バネッサ、ビキニアーマー買ってやろうか?」

「あんなもん着るかっ」

「そっかぁ、バネッサのビキニアーマー姿とかオルターネン様とか見惚れるかもしれんけどなぁ」

「ほんとかっ?」

「嘘だ」

「てんめぇぇっ」

「ちい兄様がお前の事をそんなエロい目で見るか」

多分だけど。

「そんなの着てみなくちゃわかんないだろうがっ」

「なら判定してやるから試着してみろよ。ロッカ、ここにもあるんだよな?」

「無くはないが…」

「ロッカ、出せっ。着てみてやるっ」

と、バネッサはロッカに無理矢理ビキニアーマーを用意させて着替に行った。

しばらく経ってビキニアーマーを着てきたバネッサ。

「どうだっ」

ゲッ

「見るなっ。お前らにはまだ早いっ」

ガキ共の目を慌てて隠すマーギン。

「なっ、なんだよっ」

「バネッサ、刺激が強すぎる。こぼれそうだぞ」

マーギンも赤くなって横を向く。

「何がだよ?」

「ここよ、ここ」

シスコが胸を指さした。

「あなた痴女にでもなるつもり?そんなの着て街を歩いてたら衛兵に連れていかれるわよ」

「誰が痴女だっ」

ズリっ

「バネッサ、胸もこぼれそうだけど、下も落ち掛けてるわよっ」

「やべえっ」

慌ててビキニパンツを押さえるバネッサ。下を向いた時に胸も出そうになる。

「あわわわわわっ」

「早く試着室に入りなさいっ」

シスコもヤバいと思ったのかバネッサを連れて試着室に連れて行ったのであった。

「みっ、見たのかよ?」

真っ赤な顔をしてマーギンを見るバネッサ。

「そのへんに胸を落っことしてないか確認しとけ」

「落とすかバカッ」

バネッサは羞恥心があるのか無いのかよく分からんマーギンであった。

帰りますと挨拶しに行くと親父さんは仕事モードだったのでお母さんだけに挨拶をして出た。

「バネッサ、お前は小柄で童顔だけど、自分がエロい身体していると自覚しろ」

「だっ、誰がエロい身体してんだよっ」

「お前だよ、お前。そのうち誰かに襲われても知らんからな」

「バッキャロー、誰かに襲われるようなヘマするかよっ」

「確かにお前の動きは素早いが上には上がいる。それに魔法を使われたら防ぐ事ができんだろうが」

「そんなやつホイホイ居てたまるかってんだよ」

「それはわからんぞ。俺の居た国には魔法使いが多かったからな。この国にも能力を隠している野良魔法使いが居てもおかしくない」

「生活魔法を使ってるやつしか見たことねぇって」

「俺とかどうなんだよ?」

「そっ、そりゃあマーギンは色々使えんの知ったけどよ」

「もし俺がお前を襲ったら抵抗出来んだろ?」

「お前がうちを襲う?へっへーん、面白ぇ、そんな度胸ないくせしやがってよ。やれるもんならやってみろよ」

「パラライズっ」

挑発してきたバネッサに容赦なく麻痺魔法を掛けるマーギン。

「げっ、なんだよこれっ。か、身体がしびれて動かねぇ」

「どっこいしょっと」

マーギンはしびれて動けないバネッサをおんぶする。

「なっ、何しやがるっ」

「ほーれ、ほれほれ」

マーギンはバネッサをおんぶしてゆさゆさと揺らす。

「ばっ、バカッやめろっ」

「解除! な、お前なんか簡単に襲えるんだ。気を付けとけ」

「てんめぇぇっ」

まだおんぶされているバネッサは後ろからマーギンの首を絞める。

「パラライズっ」

「ウギギギギッ」

パラライズを強めに掛けるとしゃべる事も出来なくなる。

「ロッカ、バネッサにもう少し女として気を付けろと教育しろよ。本当に危ないぞ」

「そうだな。バネッサの事が心配ならいっその事マーギンも星の導きに入るか?」

「俺がハンターになるのか?嫌だよ面倒臭い」

バネッサをしびれさせたままおぶって移動していく。

「何が面倒なんだ?」

「なんかあったら無理矢理依頼を受けさせられるんだろ?店とかあんのにどうすんだよ?」

「店って… いつ店を開けているのだ?」

確かに。アイリスを拾ってから店開けてないや。周りからは潰れたと思われてんだろうな。

「ま、まぁ、俺はハンターになるつもりはないからちゃんと教育してやれ」

そしてロッカ達の家の前に到着したのでパラライズを解除してバネッサを降ろした。

「てんめぇっ 覚えてろよ」

しばらくしびれ続けたバネッサは解除したあともまだしびれが残っているので立ち上がれない。

「そんな事を俺に言っていいのか?」

「うるせえっ。絶対仕返ししてやるっ」

「ほれ」

「んがぁぁっ やめろっ 足を突付くなっ し、しびれがっ」

「ほれほれほれっ」

「んぎゃぁぁぁっ」

強めに掛けたパラライズは正座の後のようなしびれが残るので、足とかを突付くとこうなるのだ。

「やめろっ やめてくれっ」

「やめろ?やめて下さいだろ?」

「くっ、や、やめ…」

「ほれほれほれっ」

「んぎゃぁぁぁっ。や、止めて下さ…い」

「よーし、今日の所は勘弁しておいてやろう」

「覚えてろよっ」

グリっ

「んぎゃぁぁぁっ」

これだけ家の前で変な行動をさせたら、ヤバい奴だと思われてバネッサになんかしようとするやつはいなくなるだろ。こいつと一緒に歩いているとチラチラ見ている男が多かったからな。

マーギンはバネッサが普通に生活していたらモテるだろうなと思っていたのであった。