軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

バネッサが見た夢

朝食のとき、何事もなかったように、バネッサが目玉焼きを焼いてくれたのを食べ、訓練所に向かった。

「バネッサを連れていくのか?」

と、オルターネンに聞かれる。

「森の中を探索するには、斥候役がいた方がいいかと思いましてね」

「それはそうだな。アイリスはどうするのだ?」

と、大隊長がバネッサの隣にいるアイリスに確認をした。

「私は討伐遠征があるのでお留守番です」

「そうか。では4人で行くことになるか。飯の準備は大丈夫か?」

「色々と仕入れてありますよ」

「よし、では出発しよう」

と、遺跡捜索に向かいがてら、マギュウ討伐をする。毎回狩り尽くしても、ちゃんと復活しているマギュウは、もはや資源と言ってもおかしくない。魔王を倒すと、マギュウ肉は手に入らなくなるかもしれないと思うと複雑な心境だ。

バネッサがオスクリタで動きを止め、オルターネンと大隊長が狩っていく。マーギンはカタリーナのお土産として、魔木の実をせっせと収穫した。

マギュウ狩りのあと、プロテクションステップで森の上に移動し、上空から遺跡らしきものがないか確認するも、それらしきものは見当たらない。

「やっぱり、下に降りて探さないと無理みたいですね」

「そもそも本当にあるかどうかも分からんものだからな」

確かに。

もちろん晩飯は焼き肉。酒は控えめにして、白飯をがっつくことに。

「ネギを刻んで何をするつもりだ?」

大隊長がソースに感謝している横で、ネギを細かく刻んでいるマーギン。

「ネギ飯でも作ろうかと思いまして」

「ネギ飯?」

マーギンは刻んだネギに塩とごま油を混ぜてご飯にのせる。それを焼き肉で巻いて食べた。

「うむ、旨い!」

「俺にもくれ」

「こっちもだ」

大隊長とオルターネンもネギ飯を希望したので、またネギを刻んでいく。

「それ、旨ぇのかよ?」

「俺は好きだな。バネッサはこっちの方がいいんじゃないか?」

と、照り焼きのタレを作って、ご飯の上に卵の黄身をのせてかけてやる。

「旨ぇ!」

「腹パンになるぐらい食うと、動けなくなるぞ」

「分かってるって」

と言いながらも腹パンになるまで食いやがった。

テントを張り、大隊長とオルターネン、マーギンとバネッサの組み合わせで寝る。プロテクションでテントを包むので見張りも不要だ。

「夜になると寒ぃな」

バネッサはテントの中で寒いと言う。季節は春だが、夜は冷える。

「毛布をもう一枚かけるか?」

「こうすりゃ暖かいぜ」

と、こっちの毛布に潜り込んできた。昨日の今日で恥ずかしくないのだろうか? まぁ、俺も暖かいからいいけど。

しばらくすると、後ろを向いていたバネッサがこっちを向いた。

「どうした?」

「お前、うちがこうして一緒に寝てても何とも思わねぇのか?」

「暖かいぞ」

「そういうことじゃねぇよ」

そう言ってじーっとマーギンを見つめる。

「な、なんだよ?」

いつもと変わらないマーギン。

「ネギ臭ぇ」

そう言ってバネッサはまた後ろを向いたのであった。

◆◆◆

その夜、バネッサは不思議な夢を見る。今より、少し若い感じのするマーギンが、自分の知らない人達と何かを言い合っていた。

「ベローチェ、オスクリタを投げてくんなよっ!」

ミスティと飯を食ってると、ピッとオスクリタを投げてくるベローチェ。

「それ、よこせよ」

「だから、食料は自前って約束だろ? 自分のを食え自分のを」

マーギンは焚き火で炙ったソーセージをホットドッグにし、隣にいるミスティに渡している。自分の分は刻んだタマネギをのせて食べていた。

「旨そうな匂いをさせてるのが悪いんだろ。ひとつよこせ」

「やなこった」

そう答えると、ピッピッピッとオスクリタを投げてくる。

「あーっ、もうっ。鬱陶しい。食いたきゃ、自分で焼いて食え」

マーギンは根負けして、パンとソーセージを渡すと、ベローチェは隣に座ってソーセージを炙り出した。

その横で、マーギンはお代わりと言ったミスティの分を炙ってやる。

「パンも炙ってやろうか?」

「断面だけ焼いてくれ」

マーギンはパンを切って開いたところを炙っていく。トマトソースを塗って、炙ったソーセージを挟んでミスティに渡した。

その様子を見ていたベローチェはフンっとつまらなさそうに鼻を鳴らし、トマトソースだけを塗って食べた。

「なんで一緒のテントで寝るつもりなんだよ?」

「テントを持ってきてないから仕方がないだろ」

拡張してあるテントは3人でも寝られるが、かなり狭くなった。

ミスティ、マーギン、ベローチェの並びで寝る。夜になると冷えてきたので、毛布の取り合いだ。

「お前、毛布ぐらい持ってこいよ」

「うるせぇ」

そう言ったベローチェにミスティが自分の分の毛布を差し出した。

「私は、寒いのは平気だから、これを使ってくれ」

「いいのか?」

「このテントに3人いるとそこまで寒くないから大丈夫じゃ」

と、言うと、寝転がったミスティは小さく丸まった。

本当は寒いくせに。と、マーギンは自分の毛布をミスティにかけた。すると、ベローチェがぽふっとマーギンに毛布をかける。

「お前、寒いんだろ?」

「しょうがねぇからうちの毛布に入れてやる」

ミスティから毛布を奪ったくせに何を言ってるんだこいつは?

「いいよ、別に。毛布と毛布に挟まれてるから、そこまで寒くない」

ベローチェと同じ毛布に入ってるなんて照れくさ過ぎる。それにいつまでも恩に着せられそうだ。

「この方が暖かいだろうが」

「だからいいって。俺が気になるならミスティと一緒に使うから」

そう答えたマーギン。

「けっ、タマネギ臭ぇからこっち向くな」

と、ベローチェはマーギンにかけていた毛布を自分の方に引き寄せ、反対側を向いてしまった。

「寒っ……」

毛布がなくなったマーギンがブルッと震えると、ミスティがマーギンに毛布をかけ、そこに潜りこむ。

「変なところを触るなよ」

「お前に変なところなんてないだろ?」

ペシペシペシ。

いらぬことを言ったマーギンはミスティにペシペシされたので、タマネギ臭い息をかけて応戦する。

「やめんかっ! なんというデリカシーのないことをするのじゃ」

「狭いんだから、暴れんなよ」

「ぐぬぬぬぬ」

フンと後ろを向いたミスティとくっついて寝るマーギン。

なんだよこれ? それにミスティだと……?

バネッサは夢の中で不思議なものを見て、頭が混乱しそうになっていたのだった。

◆◆◆

「バネッサ、起きろ」

「ん……もう朝かよ?」

「お前、疲れてんじゃないのか? いつもならすぐに起きるだろうが」

バネッサは何度もマーギンに起こされていたのに、なかなか起きなかったのだ。

「なんか寝た気がしねぇ」

「ガッツリ寝てただろうが。もうスープができてるから早く食え」

「うちの分も作ってくれたのか?」

「いつも作ってやってるだろうが。まだ寝ぼけてんのか?」

「そういやそうだな。そうか、いつも作ってくれてたよな。へへっ」

と、嬉しそうな顔をしたバネッサは温かいスープを飲んだのであった。