軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

成人したけど

「マーギン、魔法で岸まで戻る? シャランランするから」

カタリーナが一旦戻る? と聞いてきた。

「大隊長、ちい兄様、どうする? この状況だと、マンモーが来ても戦えないと思う」

「そうだな。一度戻って仕切り直すか。大隊長、それでいいですか?」

「隊長はお前なのだ。オルターネンが決めればいい」

と言うことで、オルターネンが戻ろうと決めたことで、岸まで転移魔法で戻った。

「少し風はマシだが、ここでもかなり吹雪いてるな」

オルターネンはここも雪と風が強いので、街まで戻ることも検討したが、こういうときに限って魔物が出そうだな、とマーギンが言ったことで、戻らずに湖の近くで野営することに。

《マッドウォール!》

オルターネンが土壁を出し、簡易的な風よけを作ってくれた。

「ちい兄様、寒いから、晩飯は鍋にする?」

「何鍋にするんだ?」

「何でもできるけど、大隊長はマギュウの方がいいだろうから、すき焼きとかかな? カニはこの前食ったから他のがいいでしょ?」

「お前は他のを食うのか?」

「そうですね、すき焼きは重いので、俺は寄せ鍋にしようかと」

「マーギンさん、それならプクにしましょう、プク鍋!」

アイリスからてっちりのリクエスト。

「そうか、てっちりでもいいな」

希望を聞くと、すき焼き組は大隊長、オルターネン、ロッカ、バネッサ、カザフ達。てっちり組はマーギン、アイリス、カタリーナ、ローズになった。すき焼き組はタジキにお任せ。

「アイリス、テッサも食うか?」

「食べます」

「唐揚げは?」

「食べます」

アイリスはなんでも食べると答える。これなら焼きフグも食うだろうな、と、フグのフルコースにするマーギン。

「タジキ、鍋だけじゃなしに、他になんか作れよ」

それを見ていたバネッサが、タジキにすき焼き以外の料理も作れと言う。

「えーっ、すき焼きの他の料理ってなんだよ? 焼肉でもすんのかよ?」

「それもなんかちげぇーよな。マギュウの唐揚げってのもなぁ……」

「だろ? すき焼きいっぱい食えばいいじゃんか」

結局、他の料理は思いつかず、すき焼きだけに。

「タジキ、私の肉はもっと分厚くしてくれ」

ロッカは薄切り肉が物足りないのか、分厚い肉をリクエストした。

「じゃあ、自分で好きな厚さに切って」

とタジキが肉の塊を渡すと、ロッカはそのまま鍋に投入した。

「そんな入れ方したら、他の具材が入んないじゃないか」

「もう一つ鍋を出せばいいじゃないか。この人数で鍋一つは無理がある」

タジキはそう言われて、もう一つ鍋をセットした。

「タジキ、俺にも肉を出せ。自分で切る」

大隊長は焼き肉の厚さに切って、どちゃっと鍋に入れた。それを見たタジキはもう一つ鍋を出して、普通のすき焼きを作ったのであった。

「なんか、あっちはすき焼きでなさそうなもん食ってるな」

マーギンはすき焼き組の方を見て、鉄板焼きとすき焼きにすりゃ良かったんじゃないか? と思う。

「それはうちの肉だろうが!」

「そんなの知るかよ。早いもん勝ちだ」

「なんだとてめぇ!」

ベチ。

「熱っちぃぃ。何すんだよっ!」

ベチベチ。

「熱っつぅ。やりやがったな、この野郎!」

肉の取り合いをした挙句、アチアチネギで叩き合いするバネッサとカザフ。

「あいつらは変わらんな」

と、呆れるマーギン。

「お前ら、食べ物で遊ぶな」

「「食うよっ!」」

ソウデスカ。

「マーギン、こっちで食べていいー?」

と、トルクがバネッサとカザフの争いを避けてこっちに来た。

「いいぞ。好きなもんを好きなだけ食え」

「うん」

マーギンの隣に座って、焼きフグと唐揚げを美味しそうに食べるトルク。なんか食べ方も綺麗になってきたなと、マーギンは思う。孤児だった頃のがっつき具合を見せないのだ。

「そろそろ鍋も食べごろだ。好きに食え」

そうマーギンが言うと、わぁーっと、みんながフグを取っていくので追加を投入していく。

「マーギンは食べないのー?」

「食うぞ。俺のことは気にせず先にどんどん食え」

ローズも少しだけ食べて、みんなの様子を見ているような感じだ。

マーギンはテッサ用のフグをしゃぶしゃぶにして、ローズの器に入れていく。

「お、おい。自分でできるから大丈夫だぞ」

慌てて、遠慮するローズ。

「テッサが余ったんだよ。早く食べて」

「あ、うん。ありがとう」

直箸でも気にしないこの世界の人達。マーギンはテッサをヒョイパクしながら、ローズのためにしゃぶしゃぶして器へ入れていく。

「マーギン、私にもそれちょうだい」

「ほらよ」

と、口に入れかけたテッサをしゃぶしゃぶしてカタリーナの器へ。

「私にもください」

ピーチク、パーチクとマーギンにしゃぶしゃぶをねだるカタリーナとアイリス。

俺は親鳥か?

「まだあるから自分でやれ、自分で」

「えーっ、ローズにはしてあげてたじゃない」

「お前ら、自分で食ってただろうが?」

「ローズも自分でできるよね?」

「えっ、あっはい姫様。マーギン、自分でできるから、私にかまわなくていいぞ」

「そう? じゃ、ちゃんと食べてね」

と、マーギンはてっちりから離脱して、すき焼き組を覗きにいく。

「ロッカ、まだ何も食ってないのか?」

「うむ、なかなか火が通らんのだ」

そりゃ、そんな縦か横か分からんような肉の塊に簡単に火が通るかよ。

「焼けた部分を切って、そこから食えばいい。そのままだと周りだけガチガチに焼けて、中は冷たいままだと旨くないぞ」

「切ってみて、中が生だったら嫌ではないか」

「生だったら、こうやって焼けばいいだろ?」

と、マーギンが一口大に切って、焼けてない部分をじゅっと焼いてやる。

「おぉ、この方がいいな」

その様子を見ていたオルターネンがやれやれといった顔だ。いや、君が面倒を見なさいよと、マーギンは心の中で突っ込む。

「マーギン、うち用になんか作ってくれよ」

次はバネッサだ。

「すき焼きを食え、すき焼きを。お前の好きな甘辛だろうが」

「カザフがいるから、落ち着いて食えねぇんだよ」

「俺のせいにすんなよ」

「お前のせいだろうが」

また喧嘩を始めようとする二人。

「もう、やめろ。他の人に迷惑だ。バネッサ、こっちはもうすぐ雑炊にするけど、すき焼きに比べると味が薄いぞ」

「えー、甘辛にしてくれよ」

「なら、タジキに、すき焼きのおじやにしてもらえ。てっちりの雑炊は甘辛にせんぞ」

そう答えると、ブツブツと不服そうにすき焼きの方へ戻る。

「はぁぁあっ?」

そして、プリプリと怒って戻ってきた。

「どうした?」

「もう汁もなんも残ってねぇんだよっ!」

まったく……

「こっちに来て食え」

「甘か……」

「しません」

またブツブツ言うバネッサだが、せっかくのてっちり雑炊を甘辛にするわけがない。

「アイリス、そろそろ食べ終わったか?」

「はい。雑炊待ちです」

アイリスが卵を溶いて待っていた。

洗ったご飯を投入して、少し煮込んでから卵を投入。すぐに火を止めて混ぜて蒸らして完成。

「うむ、美味しいなこれ」

ローズもお気に入りのようだ。てっちりの神髄は雑炊にあるからな。

「マーギン、味が薄いぞ」

「これはこういう食べ物だ」

甘辛の口になっていたバネッサは不服のようで、ずっとブツブツ言っている。

あーもうっ、鬱陶しい。

そう思ったマーギンは油を温め直す。

「何作んだよ?」

「唐揚げだ」

そして、バネッサが出来た唐揚げの甘辛をものすごく嬉しそうな顔で食べる。

「カザフ」

「何、大隊長?」

「好きな女に意地悪ばかりしててもダメだぞ」

「なっ、なっ、なっ、なんだよそれ!」

「ほら、今のバネッサを見てみろ」

と、大隊長に言われてバネッサの方を見ると、凄く幸せそうな顔をしてマーギンに、旨いよなこれ、と言いながら食べていた。

「べっ、べっ、別に関係ねぇし」

「お前も成人したのだ。少しは大人にならんと、年上の女は振り向きもせんぞ」

「べっ、別にバネッサに好かれなくてもせいせいするだけだし。あー、あー、マーギンもあんな面倒臭ぇやつをよく構うよな」

「ふふっ、そうか。ま、頑張れ」

そう言われてムスッとしたカザフをオルターネンとロッカは微笑ましく見ていたのだった。