軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

解決

みんなと別行動にして、王妃の所にきたマーギン。

「お久しぶりね、マーギンさん」

「ご無沙汰しておりました。お話があると伺いましたが」

「えぇ、明日のパートナーはお決まりですか?」

やはりそのことか。

「いえ、パートナーが必要と知らなかったものですから、未だ決まらずです」

「カタリーナではダメですの?」

「パートナーって、婚約者となるような人なんですよね? シュベタインの貴族達に誤解されますよ」

「マーギンさんにその気があればかまいませんわよ」

「ないです」

食い気味に答えるマーギン。

「もう少ししたら、落ち着きも出てきて淑女になるかもしれませんわよ」

「いや、カタリーナに不足があるとかではないのですよ。可愛らしいし、いい娘だとも思ってます。けど、結婚相手とかの目では見てません。王妃様に似て、きっと素敵なレディになるでしょうけど」

「あら」

と、マーギンにカタリーナを通して、素敵だと言われた王妃は嬉しそうな顔をした。

「そうですか。ではローズはダメなのかしら?」

「ローズは……そうですね。私が誰とも結婚できるような状態ではないので、迷惑を掛けます。娘役としてアイリスをとも思ったんですけど、本当の父親がパーティーに参加されるのでそれもおかしいですし、どうにもお手上げです。やはり一人で参加するのはまずいですか?」

「そうですわねぇ。どうしても体裁というものが必要なときもございますのよ。でもマーギンさんの状況も理解しましたわ」

王妃の反応を見ると、一人でも仕方がないといった感触だ。良かった。

「では、私がパートナーになりましょう」

「えっ? 王妃様が?」

「えぇ。お嫌かしら?」

「嫌とかではなく、王様はどうするんですか?」

「カタリーナにパートナーをさせますわ」

「それで問題ないんですか? ないのであれば助かりますけど」

「私であれば恋人や婚約者といった誤解もされませんし、ノウブシルクとはこれほど親密な関係になったのだと、皆も安心するでしょう」

「問題ないのであればお願いします。助かりました」

「いいえ。こちらこそ」

こうして、王妃がパートナー役をしてくれることになり、頭の痛かった問題が解決した。

夕食は王も交えて、式典とパーティーの打ち合わせを兼ねた。

「ノウブシルクに王代理を置くらしいの」

「はい。元第二王子です。毒殺されかけていたところを、カタリーナに助けてもらいました。反戦派でもありますし、大丈夫だと思います」

「どこかで会える機会を作れそうか?」

「シュベタインからゴルドバーンへの街道の中間地点に宿場町を作る予定になってますよね? そこで大国4カ国会談をできるようになればと思っています」

「宿場街ではあるが、重要な街になりそうじゃの」

「そうですね。各国の名産が集まる街ですから、発展していくでしょう。だからこそ、各国が共同で作りあげていく必要があるのです」

「我が国からは資金と人材を出す予定にしておる。他の国は何を出資する? バランスよく出資せんと共同とは呼べんのではないか?」

「街道が整備されて、一番利益を受けるのがシュベタインとゴルドバーン。ゴルドバーンは現在復興中ですので、国が立ち直りしだい出資比率を上げてもらうのがいいかと思います。ウエサンプトンはノウブシルクとゴルドバーンへ食料の供給。それと自国から宿場街までの新たな街道整備及び資金提供をしてもらいます」

「なるほど。ノウブシルクはどうするのじゃ?」

「街道から一番離れているノウブシルクはメリットが薄いと思いますので、資金提供はなしです」

「では何を提供するのじゃ?」

「魔道具ですよ。街道に水場がないことはご存じかと思います。それを解決するための魔道具。それに大規模工事をするための大型魔道具を提供します。これで開発スピードが大幅に上がります」

「マーギンが開発したのか?」

「そうですね。基本は私がやりました。ノウブシルクは魔物対策のために王都の防衛強化工事に必要だったんです。実際にその魔道具を作りあげたのはノウブシルクの研究員や職人達。特に研究員は兵器を開発していた者達なのでかなり優秀です」

「どんな魔道具じゃ?」

「それは式典のときのお楽しみです。デモンストレーションをしますので」

「デモンストレーション?」

「はい。ノウブシルクはこれから工事用魔道具など、産業用魔道具を輸出する国を目指します。これからの世界がどう変わっていくかを皆さんにお見せするつもりです」

「うむ、それは楽しみにしていよう」

こうして、式典で何を話すかをだいたい決めたのであった。

式典当日、マーギンは盛大に歓迎されてシュベタイン城へ入城した。

そして、王同士の対談を貴族達の前で行い、不可侵条約、友好条約を正式に結んだ。

休憩を挟んでパーティーが始まる。

「では、マーギンさん。宜しくお願いいたします」

「こちらこそお願いします」

会場にはシュベタイン王とカタリーナが先に入場した。それを見た貴族達はざわざわする。王妃ではなく、第三姫をパートナーとしていたからだ。そしてさらなるどよめきが会場を埋め尽くす。

「なんだと……?」

ノウブシルク王がシュベタイン王妃をパートナーとして入場してきたからだ

(あの……王妃様。なんかみんなどよめいていますけど、本当に問題なかったんですか?)

王妃は赤い派手なドレスに身を包み、マーギンに腕を組んでいる。

(大丈夫ですわよ。インパクトは上々ですわね)

と、クスクスと笑う。

(もしかして楽しんでます?)

(えぇ、とっても)

と、微笑みながら、よりマーギンに近付いて腕にぎゅっとしがみついた。

うわぁ……王様睨んでんじゃん。

王も了承していたとはいえ、マーギンの腕に軽く手をのせる程度だと思っていた。それが小娘のように楽しげな顔でマーギンの腕にしがみついているのだ。

「ぐぬぬぬ」

歯ぎしりする王。

「お母様、ずっるーい!」

カタリーナはその様子を見て、王の横から飛び出てマーギンのところに走った。

「姫様っ!」

それを追うローズ。

「お母様、ズルいじゃない!」

「あら、そう? では代わりましょうか?」

「うん♪」

あ、やられた……

王妃はカタリーナと交代し、マーギンにウインクしてから王の元へと向かった。

代わりにぎゅっとマーギンの腕にしがみつくカタリーナ。

「ローズも早く!」

「えっ? 私は護衛でその……」

「いいから早く!」

「あの、マーギン……その……」

カタリーナに命令されてもじもじするローズ。

ここまできて、ローズをスルーするのはもっと良くない。と思ったマーギン。

「あの、よろしければどうぞ」

と、マーギンが反対の腕を出すと、ローズは顔を赤くして、そっと手を添えたのであった。

両手に花のマーギンはそのままシュベタイン王と並んで座る。両脇にはカタリーナとローズ。

クスクス。

呆然としているマーギンを見て笑う王妃。これは予定調和らしい。

「皆さん。この度、国賓としてお迎えしたノウブシルク王は、このようにシュベタイン王国ととても親交が厚い方なのです。この国で魔法書店を営み、日々強くなる魔物討伐のための体制を作り、戦争を止めるためにノウブシルク王となられました。マーギンさんのことをご存じの方もおられますわね?」

王妃がこう切り出すと、大隊長、軍のマルク、タイベ領主のエドモンド、ライオネル領主のアースカ、バアム家のゼートレア、特務隊などの面々が立ち上がり、大きな拍手をした。

「では改めて紹介しよう。ノウブシルク王国、マーギン王である」

ここからは王が仕切るようだ。

「では、マーギン。皆に挨拶を」

「え? 挨拶ですか」

昨日の打ち合わせでは挨拶のことは何も言われてなかった。

「当たり前じゃろう。早くせよ」

突然、挨拶を振られたマーギン。

「えー……ども。マーギンです」

シーン。

次の言葉を待つ貴族達。

しかし、マーギンはそのまま頭を下げて座ってしまったのだった。

目を丸くしながらマーギンを睨むシュベタイン王。

「で、では乾杯を……」

宰相が慌てて乾杯をさせて、パーティーが始まったのだった。