軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

弱肉強食

「止まれっ! 止まらんかっ!!」

パンパンパンっ。

ノウブシルク城に乗り込んだマーギン。衛兵に魔導銃を撃たれまくるが、プロテクションで弾いていく。そして無言でパラライズを掛けて倒していった。

「フンッ」

騎士達が斬り掛かってくる。

キンッ。

「なっ……剣が……」

騎士の剣を妖刀バンパイアで斬ったマーギン。

「玉座はどこだ」

「貴様、まさか王を……」

「早く答えろ。玉座はどこだ」

「そのようなことをさせるかっ。死ねぇぇっ!」

騎士は答えようとせず、斬られた剣で再び斬り掛かる。

《火炎放射》

ごうぅぅぅぅ。

次々に斬り掛かってきた騎士達を鎧の上から焼き払う。

「早く言え。死にたいのかお前ら」

軽く焼いた騎士達に威圧を込めて脅す。

チラっ。

焼かれても口を割らなかったが、うしろの階段を見た。

「あっちか」

騎士達の火傷は死ぬほどではない。マーギンはそのまま階段を上がって行った。

「陛下、お逃げください。賊が、賊がやってきます」

「賊だと? 早く始末せんかっ!」

「そっ、それが我々ではまったく歯が立たず」

そして、衛兵や騎士達の叫び声が段々と玉座の間に近付いてきた。

「陛下、早くっ!」

ドガーーン。

そのとき、扉を守っていた騎士ごと玉座の間に吹き飛んできた。

「殺せっ、さっさと始末しろっ!!」

あれが王で間違いなさそうだな。

ズドドド。

「うっ、くっ、貴様……」

マーギンは無言で王の肩と足をストーンバレットで撃ち抜き、ツカツカと王に歩み寄った。

「どけ」

そして玉座で血塗れになった王の首根っこを引っ掴んで投げ飛ばした。

ドサ。

そして、玉座に座るとドヤドヤと騎士達が剣や槍を持ってなだれ込んできた。

「今日から俺がこの国の王だ。跪け」

「なんだと貴様っ!」

《ストーンバレット》

ズドドドドド。

跪かなかった騎士達に遠慮なくストーンバレットを撃ち込んでいく。

「跪け」

マーギンは足を組んでそれだけを命令する。しかし、跪く者はいない。

「そうか、そいつが生きているから跪けないのだな」

そう言ったマーギンは治癒師に治療されている王に向かって、無数のファイアバレットを浮かべた。

「死ね」

「おっ、お待ちくださいっ」

ファイアバレットを撃とうとしたときに、豪奢な鎧を着た騎士がマーギンの前で立ちはかだる。

「邪魔だ」

「ぐわっ」

バチィっと電撃を食らわせる。

「団長っ!」

「ぐっ、だ、大丈夫だ……お前ら跪け」

このままでは王が殺されると思った騎士団長は全員に命令した。

「し、しかし……」

「早くしろっ」

「はっ」

こうしてその場にいた全員が玉座に座るマーギンに跪いた。

「従えば痛い思いをせずにすむ。この国の意思決定に関わるものを全て連れてこい」

「い、今すぐにでしょうか」

「聞こえなかったのか?」

騎士団長と呼ばれた男は、この男には絶対逆らってはいけないと確信した。やろうと思えばこの場の全員を消し去ることも造作ないのだと。

1時間ほど待たされたあと、数名の男達が軍人を引き連れてやってきた。

「不届き者とは貴様のこ……」

バシュッ。

何かを言いかけた貴族らしき男はいきなりマーギンのストーンバレットを食らった。

「ヒッ……」

「誰が話していいと言った。立ったままならそのまま殺す」

この国の中枢の立場の者達は屈辱にまみれた顔でマーギンに跪いた。

「さて、お前らに聞きたいことがある。魔導兵器はどうやって開発した?」

「そ、それは……」

「自分達で考えたのか?」

これで、そうだと答えたら、過去の設計図は関係なかったことになる。

「こ、古文書の魔法陣を元に開発したのです」

やはり元凶は俺か……

「なぜ兵器を魔物ではなく、人に向けた? ノウブシルクには広大な土地があるだろう」

「強大な魔物には魔導兵器でも敵いません」

「で、人間の方が簡単だと判断して、他国に侵攻したのだな」

「こ、この世は弱肉強食……です」

「弱肉強食か。そうだな。時代が変わっても世界が変わってもそれは同じだな」

と、マーギンが同意したことでホッとした表情になる男達。

「つまり、強いものが弱いものを従える。そういう認識だな?」

「は、はい」

「なら、お前らは俺を王と認めたと判断する」

「なっ……」

「一番強いのは俺だ。だからお前らは俺の命令に従え」

「何を勝手なことを」

ゴウッ。

と、歯向かった男を火炎放射で焼く。

「ぐわあぁぁっ」

「逆らうやつはいらん。ただ従え。お前はどっちだ?」

「し、従いま……す」

「他のものは?」

「し、従います」

「次に歯向かったやつはこの世から消えると思っておけ」

「は、はい」

◆◆◆

「マーギン帰って来ないねー」

「そうだな」

騎士隊宿舎の食堂で1人で飯を食っているバネッサにトルクが話しかける。

「もうすぐ今年も終わるのに、正月にも帰って来ないつもりかなー?」

「知らねぇよ。なんでわざわざうちにそんなことを言いに来るんだよ」

「んー、だってなんか寂しそうだから」

「なんだとてめぇっ。いつうちが寂しがったってんだよっ!」

「落ち着け。トルクもいらぬことを言うな」

と、ロッカが割って入ってきた。

「バネッサ、お前に元気がないからトルクが心配してんだよ」

「ロッカまでそんなことを言うのかよ。マーギンがいなくなるなんて毎度のことだろうが」

「そうだ。毎度のことだ。それなのになぜそんな顔をしている?」

バネッサは親が帰って来ない子供のような顔をしていた。

「そんな顔って、どんな顔だよ。うちはなんともねぇから構うな」

ロッカは昔のバネッサを思い出していた。時々、行方不明になった父親を探している姿を見掛けたときにこんな顔をしていたのだ。

「まさか……マーギンは戻って来ないのか?」

バンッ。

「だから知らねぇって言ってんだろうがっ!」

バネッサはテーブルを思いっ切り叩き、そのまま外に出ていってしまった。

「ローズは何か知らないか?」

「私も何も聞いていない。姫様もな。アイリスやバネッサが知らぬのだ。私が知るわけがなかろう」

と、ローズは淡々と答えた。

「そうか……」

◆◆◆

「大隊長、進軍は春を待ってからに決まったそうですね」

「俺は止めたのだがな。マルクも反対したかったようだが、宣戦布告もなしに攻められたのが2回目だから北西領のヨーゼフに押し切られたのだ。あのときに反撃していれば、タイベが攻められることはなかったのだと」

「そんな暇ないと思うんですが」

「魔物被害を最小限に抑えているのが裏目に出たな」

「北の領地もそうですからね。実際に大きな被害が出てみないと、理解してもらえないのかもしれません」

「マーギンがいたら、陛下もヨーゼフに押し切られることはなかったのだろうな」

「王妃様がマーギン側に付きますからね。しかし、マーギンがいなくとも反対しそうなものですけど」

「何かお考えがあるのかもしれん」

「話をされたりしてないのですか?」

「ご機嫌がよろしくないのだ。それに今の俺は特務隊の現場だからな。直接意見できる立場でもない」

「マーギンは王妃様にも何も言わずにいなくなったわけですか」

「そのようだ」

「まさか魔王が復活しそうなんですかね?」

「いや、恐らくノウブシルクかゴルドバーンに行ってるのではないかと思う」

もし魔王絡みなら何も言わずにいなくなることはないと大隊長は思っていた。何も言わずにいなくなったと言うことは、何も言いたくなかったということだ。すなわち、マーギンが忌み嫌う戦争絡み。タイベでの出来事をオルターネン達に聞いたところ、マーギンは怒るでもなく、淡々と敵を排除したようだ。

「ノウブシルクに?」

「恐らく春の侵攻は中止になる」

「マーギンが何かをしているってことでしょうか」

「俺の勝手な推測だ。他のやつには言うなよ」

大隊長はギロッとオルターネンをにらみ付け、そう釘を刺したのだった。