軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

舐めたマネしやがって3

パンパンっ。

《ストーンウォール!》

魔導銃で狙い撃たれる衛兵達をオルターネンが土壁で守った。

「あ、貴方達は?」

「特務隊の者だ。お前達は住民の避難を優先しろ。ここは俺達がやる」

「か、かしこまりました」

「ロッカ、直線的に突っ込むなよ。狙い撃ちされるぞ」

「承知!」

先日のマジャコ戦の感覚が蘇ってきたロッカはオルターネンの忠告を理解したのか、していないのか分からない返事をして、土壁から飛び出していった。

「推して参る!」

口元に笑みを浮かべたロッカは敵に向かって突進していく。

「ちっ、なんにも理解していないではないかっ!」

そのあとを追うオルターネン。自分に注意を向けるために大声をあげて斜め前に走る。

「うぉぉぉぉっ!」

魔導銃の狙いが二手に分かれて放たれた。

パンパンパンパンっ!

オルターネンはそれを躱して、敵に向かった。

ビシュっ、ビシュっ。

対して、ロッカは肩や足に数発被弾する。

「ロッカっ!」

「当たらなければどうってことはありません」

「当たってるではないかーーっ!」

こんなときに夫婦漫才をする2人。

「当たってもどうってことはありません。うはははははっ!」

律儀に言い直したロッカは笑いながら敵に襲い掛かった。

「ひっ、ヒィィ。化け物だーーっ!」

魔導銃を食らっても笑いながら襲ってくるロッカに逃げ出す兵士達。

「敵に背を向けるとはおろかなり。成敗っ!」

ブシャッ。

「うぎゃぁぁっ」

「背中の傷は恥と知れ」

鎧の上から背中を斬ったロッカは次々と兵士を薙ぎ倒していく。

「ロッカ、戦闘不能にするだけでいい。次に向かうぞ」

この場を鎮圧した2人は次の戦闘場所に向かった。

◆◆◆

「マーギン、見えたぞっ!」

「どこに着ければいい?」

「大型船がくっついているところだ。恐らく船上で戦闘になっている。敵船に貨物船が突っ込んだんだ。クック達は戦闘能力がほとんどねぇ」

マーロックの言う通りあの船は貨物船だ。クックのやつ、特攻をかましやがったのか。

それを理解したマーギンはさらにスピードを上げた。もう一隻の敵船が、クック達の方に向かって進んでいるのだ。

「マーロック、荒い着水になるぞ。吹き飛ばされんように掴まっとけ。俺はうしろの敵船をやるから、クックの方は任せたぞ」

「おうっ!」

マーギンはアニカディア号を飛行艇が着水するかのごとく、スリップを解除した。

ザッパーっ、ザパッ、ザパッ、ザーー。

水切り石のように海面を跳ねてから着水したアニカディア号。

「全速前進っ!」

「ヨーソローっ!」

マーギンはアニカディア号から飛び降り、海面をホバー移動して大型敵船に向かった。

キリキリキリキリ。

大型敵船はすでに貨物船に狙いを定め、砲身が動いている。

「撃てーーっ!」

ドーーン、ドンドンドン。

《プロテクション!》

発射された魔導砲の弾がプロテクションに弾かれる。

「なんだっ?」

マーギンはアイテムボックスからマチョウマントを出して羽織り、顔を隠した。

《フェニックス!》

プロテクション階段で大型船の前に移動し、フェニックスを頭上に旋回させる。

それを見た敵船の兵士達。

「あれは誰だ?」

「誰だ?」

「誰だ?」

「あれは魔王……魔王だーーっ!」

パニックになる敵船上。兵士の中には魔王の噂を聞いたことがあるやつもいたのだ。

マーギンはコツコツとプロテクション階段を降りて甲板に降り立った。兵士達には空中を歩いて来たかのように見える。

「ひっ、ヒィィィ」

マーギンは無言でパラライズを掛けていく。

「うっ、撃てっ。撃てぇぇぇ!」

パパパパパパバっ。

キンキンキンキンキンっ。

腰を抜かさなかった者が魔導銃で一斉に撃ってくる。マーギンはプロテクションで防御しているので全ての弾が弾かれていた。

そして、ツカツカと近付かれるだけで、兵士達はパラライズの餌食となる。

「ヒッ」

そして、マーギンに銃口を掴まれた上官。

グニャ。

マーギンは銃身を錬金魔法でグニャりと曲げてからパラライズを掛け、無言で魔導砲がある場所に向かうのであった。

◆◆◆

「乗り込めっ!」

マーロック達は貨物船に鈎縄を掛けて乗り込んでいくと、船上ではすでに戦闘中で仲間が何人も倒れていた。

「頭っ!」

「やられたやつを連れて下がれっ!」

そう叫んだ刹那。

パンパンっ。

「ぐっ、痛ってぇな、この野郎……」

撃たれたマーロックの肩から血が流れる。

「頭っ!」

バシュバシュバシュっ。

手持ちバリスタで応戦するアニカディア号の船員達。

「うぉぉぉぉっ!」

敵がバリスタの攻撃に怯んだ隙を付いてマーロックは敵に突進する。そして、撃たれた肩でショルダータックルを食らわせた。

「ぐっはぁぁっ」

強烈なタックルを食らった敵兵は海へと落ちて行く。

「フンッ!」

次々と敵兵を吹き飛ばすマーロック。

バシュバシュバシュ。

それを援護する船員達。

すでに勝ったと思っていた敵兵達はマーロック達に形勢逆転され、その場を逃げ出そうとした。

「逃がすか」

「ヒッ……」

逃げ出そうとした敵兵の首を掴み海へと投げ飛ばす。

「あっちに乗り込むぞ!」

「頭、若頭が、若頭がっ!」

勝機と見たマーロックが敵船に乗り込もうとしたとき、船員から若頭が大怪我をしていると伝えられる。

「大丈夫かっ!」

「か、頭。すまねぇ、すまねぇ。若頭は俺を庇ったばっかりに……」

若頭は子供のいる船員が撃たれそうになったのを庇って腹を撃たれたのだ。

「頭、ざまぁなくて申し訳ねぇ」

「しゃべるな。おいっ、若頭を港へ運べ。港には聖女様がいる。絶対に助かるから急げ」

他の怪我をしている者達も港に運べと命令する。

「頭……俺達のことはいいから、貨物船のやつらを優先してくれ……ゴフッ」

「バカ野郎っ、全員助けるに決まってるだろうが」

「む、無茶言うなって……まだ敵も残ってんだからよ……」

「うるさい。俺に逆らうな」

マーロックはクイーンエルラ号の船員達で怪我人を運ばせた。

「頭、引き上げますか?」

「貨物船に人が残ってるからダメだ。ここで俺達は防衛戦だ。そのうちマーギンが来てくれるだろ」

「頭、その肩……」

防衛戦をすると言ったマーロックの肩から血がダラダラと流れている。

「当たらなければどうと言うとこはねぇ」

「当たってやすよっ!!」

ここでもまた、漫才がおこなわれていたのだった。

◆◆◆

「通さないわよ」

「そこをどけ女っ!」

シシリーに向かっていった兵士は2人、残りの3人はエドモンド達を追う。

「避けねば斬るっ!」

2人の兵士はシシリーに向かって剣を振り下ろした。

ドシュッ。

ぶっしゃぁぁぁ。

「ダニエラ、エアリスを頼む」

兵士が自分達を追ってきたのに気付いたエドモンドはエアリスをダニエラに託し、剣を抜いた。

「あなた……」

「私がプリメラのことが好きだったのは事実だ。そのことでお前に辛い思いをさせてすまなかった。だか、お前とエアリスのことも愛している。生き延びてくれ。エアリスを頼んだぞ」

「あ、あなた……」

「男は殺せっ。女と子供を拐えっ!」

兵士達の声が聞こえたエドモンドは、逃げようとしないダニエラの背中を押した。

「早く」

「死ねぇぇっ」

《カエンホウシャ!》

ゴゥゥゥッゥッ。

「うぎゃぁぁぁっ!」

《ブリザードっ!》

アイリスのカエンホウシャが敵兵を炎に包み、それをローズがブリザードで鎮火。焦げて凍らされた敵兵は一命を取り留める。

「ア、アイリス。なぜここに来たのだっ!」

「間に合って良かったです。大丈夫ですか?」

「なぜ来たのだと言っているのだ。危ないではないかっ!」

「問題ありませんよ。エアリス、大丈夫?」

「お、お姉ちゃん……」

怪我をしているエアリスを見たアイリスはカタリーナに治癒をお願いする。

「シャランランをお願いします」

「領主様、シシリーは? シシリーはどこに?」

シシリーの姿が見えないことに不安を覚えたシスコ。

「す、すまない。シシリーくんは私達を逃がすために……」

エドモンドの言葉に顔の血の気が引いていく。

「許せません……エアリス、お父様とお母様と早く逃げてください」

「お姉ちゃんは……?」

「お姉ちゃんは強いのですよ。私がちゃんと皆を守ってみせますからね。だから早く逃げてください」

「お姉ちゃんも一緒に逃げて……」

「エアリス、お姉ちゃんはお姉ちゃんである前にマーギンさんの一番弟子なのですよ。だから、逃げるわけにはいかないのです」

と、アイリスはエアリスに微笑んだ。

「ローズさん、私は言いつけを破ります。姫様をお願いします」

「アイリス、ここは全員で避難をするのだ」

「シシリーさんを亡き者にした敵を許せません。それにこのことをマーギンさんが知ったら、港街ごとなくなります。その前に私が敵を殲滅します」

「アイリス、お前……」

「シシリーさんは……シシリーさんはマーギンさんの大切な人だったのですよ」

アイリスはギリッと唇を噛み締めて、手から血が出るほど握りしめた。

「勝手に殺さないでくれるかしら?」

「えっ?」

「「シシリー」」

その場に現れたのは血まみれのシシリー。

「きゃーっ、《シャランランっ! シャランラン!》」

「大丈夫よ。これは返り血だから」

「シシリーくんっ、大丈夫だったのかね」

「ご心配掛けました領主様」

「ま、まさか、君が兵士を倒したのかね?」

「そうみたいですわ……」

「し、信じられん……」

早くこの場を逃げましょうと、血まみれのシシリーはエドモンドに微笑んだのだった。