軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

今回の生贄はオルターネン

「先に泥を何とかしてくれよ」

「どうせまた泥だらけになるだろうが」

全員泥だらけになっているので、バネッサが洗い流して欲しいと言う。しかし、また泥だらけになるのが目に見えているので、そのまま採取を続けた。

「そっちの草は噛むぞ。気を付けろ」

ハエトリ草みたいな草を触ろうとするカタリーナ。

「草が噛むの?」

「それは魔草だ。ただの草じゃない」

「マーギンさん、それも薬になるみたいですよ」

と、アイリスが薬草辞典を見ながら教えてくれる。

「じゃ、カタリーナ。それを採取してくれ」

「噛むんでしょ?」

「噛むぞ。気を付けろ」

「ローズ、噛むんだって。気を付けてね」

「え、あ、はい」

スルースキルの高いカタリーナ。ローズは恐る恐る魔草の採取を試みる。

カプ。

「ギャーーっ、噛んだーーっ!」

「きゃー、《シャランランっ!》」

「シャランランを無駄遣いすんな。噛まれてもどうってことない」

「えっ?」

「あ、別に痛くないです」

「もうっ、驚かせないでよねっ!」

「す、すいません」

まだ噛まれているローズ。しかし、別に痛くないことが分かって落ち着いた。

れろんっ。

「いやーーっ! 舐めたっ。舐められたーー」

「食えるかどうか味見してんだよ。食えると判断されたら、次は本気で噛まれるぞ。早く引き抜け」

「こいつめっ、フンッ!」

ローズは魔草を引き抜いた。

「ローズさん、その魔草も希少みたいなので、もっとたくさん採取お願いします」

アイリスにそう言われる。

「マーギン、これの正しい採取方法はどうやればいいのだ?」

「今のが正しい採取のやり方。噛んだやつを引き抜く」

「また舐められるのか……」

「舐められる前に引き抜けばいいんだよ」

こうしてローズは噛む魔草担当に任命され、オルターネン達にはカミツキガメ系の魔物を見付けて狩ってもらっておく。あいつは旨いのだ。

また泥にハマるのを避けるために、湿地帯にプロテクションの道を作っておいた。

夕方近くになったので、採取も狩りも終わり。カメは6匹ゲット。ウミガメぐらいのサイズなので、孤児達全員食えるだろう。

「じゃ、洗うからな」

指先からぬるま湯を出して、皆の泥を洗い流していく。

「洗浄魔法じゃねぇのかよ?」

「これだけ汚れてたら、先に泥を洗い流した方が早いんだよ」

ジャバジャバシャバ。

「こっち向け、顔とかまだ泥付いてるだろ」

と、バネッサをこっち向かせる。

そして、慌てて横を向くマーギン。

「ぶベベベっ。ちゃんと見ながら掛けてくれよ。口の中に入っただろ」

うしろから頭を洗うようにぬるま湯を掛けていたが、こっちを向かせたバネッサの姿は見てはいけない状態になっていた。

「お前が自分で動いて洗え」

「だからこっち向け……あーーっ、このスケベやろうっ!」

自分の服が濡れて透けていることに気付いたバネッサ。それを見ていたカタリーナ。

「ほら、次はローズの番よ。頑張って」

「頑張りません。自分で洗います」

ローズは自分でぬるま湯を出して、自分とカタリーナの泥を洗い流す。

「マーギン」

そしてマーギンを呼んでこっちを向かせるカタリーナ。

「きゃーーっ、見るなっ。見るなっ!」

結局、マーギンは目をつぶり、時間を掛けて洗浄魔法で全員をきれいにしてから、孤児院へと戻ったのであった。

「カメ旨ぇっ!」

カメの魔物は全て唐揚げにした。子供達にも好評だ。

「マーギン、この甲羅は捨てるのか?」

と、マーロックが聞いてくる。

「なんか使い道あるのか?」

「海のカメの甲羅は加工したら櫛とかになるんだ。こいつもなるんじゃねーかと思ってな」

「へぇ、そうなんだ。別にいらないから好きに使ってくれていいぞ」

と、マーロックに渡しておいた。

明日からマーロックの船でパンジャへ移動する。領主のエドモンド達は陸路で来るらしいので、数日はこのメンバーだけで過ごすことになるようだ。

「うわ、人が多いな」

「春先から急に観光客が増えたわよ」

貴族達はエドモンドの爵位が上がった理由を探りにくるという名目で遊びに来ているらしい。奥様連れはいいけど、男達だけで来ているやつらは悪さしないだろうな?

泳ぐのは明日にして、女性陣はまた水着を買いに行くらしい。当然マーギンは買い物に付き合わない。マーロックも嫌そうな顔をしているので話を合わせてやろう。

「行ってらっしゃい」

「ん? マーギンは行かないのか?」

「船を少し改良しないとダメだから隊長が付き合ってあげて。水着も持ってないでしょ」

と、上手く買い物の付き合いを押し付けた。

「マーギン、助かったぜ」

「女の服の買い物に付き合うの嫌なんだよ。待たされるし、理不尽に怒られるし」

「全くだ」

と、海の家でタイベ焼きそばをツマミにビールを飲み、マーロックとまったりする。

「今日、どこに泊まるか知ってる?」

「多分、海沿いの家に泊まると思うぞ」

「海沿いの家?」

「あぁ、上客が来たときに、宿が取れなかったら問題になるだろ? ハンナリー商会の家と領主様の家を建てたんだ」

別荘的な家か。そういうのも必要になってくるんだな。

焼きそばを食べ終えて、魚介類の浜焼きを食べる。タイベに来ると定番の飯だが、海に来たという雰囲気は出る。

食べるものを食べ、飲むものを飲み終わっても戻ってこないので、海の家で寝てしまった。

「何を呑気に寝ているのだ」

オルターネンに起こされるマーギン

「やっと終わった?」

「貴様、船の改造はどうした? 随分と飲み食いしていたようだが」

ギロリンと睨むオルターネン。

「お、思ってたより早く終わってね……」

「貴様、分かっていたな?」

「な、何を?」

心なしかげっそりしている顔付きで睨んでくる。

「船の改良とか適当なことを言って、買い物から逃げたのだな?」

「お、俺達は水着を持ってるし……」

マーギンの様子を見て、ハメられたことを確信したオルターネンは、チッと舌打ちした。

「ビールだ」

マーギンは不機嫌そうに言ったオルターネンにビールをご馳走しておいた。

「あら、こんなに食べちゃダメじゃない。今からショーを見に行くのに」

シシリーに散々飲み食いしていたことを怒られる。

「前に見たからいいよ。初めての人だけで行ってきて」

「ダメよ。もう予約もしてあるんだから」

と、またディナーショーに連れて行かれてしまった。

ドンコドンコドンコドンコ。

ファイアーディナーショーも盛況だ。

「えー、ではお客様にもチャレンジして頂きましょう」

今日はイベントの一つとして、客をステージに上げるようだ。

「では、そちらの方とそちらの方どうぞ」

「え?」

「ほら、マーギン。ご指名よ」

こいつ、仕組んだな……

シシリーに肘をツンツンされるマーギン。もう1人はカタリーナか……

「ではマーギンさん、一緒に行きましょう」

カタリーナかと思ったらアイリスがマーギンを引っ張る。誰も何も言わないから、もう言い含められてるのだろう。オルターネンもニヤニヤしてやがるし。

「えー、では、この火のついた棒を回してみてください。熱いですから気を付けてくださいね」

マーギンはクルクルと難なく回していく。

「おー!」

観客から歓声が上がる。

「ではこちらのお嬢さんも」

「私は棒がなくても大丈夫です」

「え?」

棒を持たずに、火の玉をグルグルと回すアイリス。

「うわぁぁっ!」

アイリスの芸に大きな歓声と拍手が起きる。それを見たダンサー達のスイッチが入った。

ドンドコドコドコ、ドンドコドコドコ。

太鼓のリズムが早くなり、マーギンとアイリスの上に燃え盛る棒が飛び交う。

「負けてられません」

「お、おいやめろ……」

ゴウッ、ゴウッ、ゴウウッ。

まるで噴水のように炎を操ると、より歓声が大きくなる。マーギンは1人で棒をクルクル回しているだけので、あいつショボくね? みたいな声が聞こえてきた。

「よーし、やってやろうじゃないか」

急に厨二病がぶり返したマーギン。

「ファイアーーっ!」

毒霧を吐くポーズをとりながら、口から火を吐くようにして、バーナーを出すマーギン。

「うぉぉぉおっ、こいつもすげえっ!」

褒められてだんだん調子に乗ってきたマーギン。

火を吐きながら、ファイヤバレットの弾を魔法陣を描くように浮かべていく。それを海の方へ向かって打ち出した。

「爆ぜろ!」

バーン!

まるで花火のように爆発したのを見たアイリス。

「私もやってみましょう」

「やめろっ!」

マーギンは大きな事故になる前に慌ててアイリスを止めた。そして、急に舞台を降りる。

「どうした?」

舞台を降りてマーロックのところにいく。

「マーロック、この沖は大型船が通るか?」

「客船みたいなデカい船は通らねぇけど、漁の大型船なら通るぞ」

「そうか。ならいいわ」

「なんか見えたのか?」

「あぁ、沖合に大きめの船が見えた」

「観光客が増えて、漁師も稼ぎどきだと頑張ってるからな。帰るのが遅くなったんじゃねぇか?」

「遅くまで大変だな」

「喜んでるからいいんじゃねぇか。仕事にあぶれて悪さするやつもいなくなったからよ」

と、元海賊のマーロックは笑うのだった。