軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

確認

「なんだここは?」

ラーの神殿内に入ると、中を見渡す大隊長とロドリゲス。

「ここはラーの神殿。ミャウ族が祀る太陽の神ラーを祀る場所だね」

「まるで黄金郷ではないか」

「元々は違ったみたいなんだけど、この辺で金が採れることが分かって改装か改築したみたいです。まぁ、それが厄災を呼び込んだみたいなんですけどね」

と、マーギンはここの歴史を話した。

「なるほどな。人の業は深いからな」

「それと、この亡骸がガインガルフ。大隊長の持つヴィコーレの持ち主だった人です」

「この方が……」

大隊長はガルフの亡骸の前で跪き、祈りを捧げる。それは結構長い時間であった。

「で、こっちがミスティ、魔法の師匠の石像。本物かと思ってたんだけど、偽物の可能性が出てきた。その鍵がこの神殿に残されているかもしれないんだよ」

「で、俺にその鍵を読んでくれということだな」

と、ロドリゲスがマーギンを見た。

「そう。これがその鍵になるかもしれないもの。今から設置してみるから頼む」

マーギンは祭壇の魔法陣をロドリゲスに見せると、ロドリゲスは眼帯を外す。

「その目は……」

ロドリゲスの隠されていた目を見た大隊長は思わず声をあげる。

「大隊長、これは俺の秘密だから内密に頼みます」

「そんなことは言われなくても分かっている。そうか、お前は与えられし者だったか」

「与えられし者かどうかは分かりませんけどね。便利でもあり、面倒でもありますよ」

と、笑って答えたあと、ロドリゲスは魔法陣をじーっと見る。

「マーギン、こいつは多分鍵だな。金庫のダイアルみたいなものだと思う。開け方は分からんが、ダイアルを正しく動かせば解除されるのだろう」

「やっぱりそうなんだな。じゃ、これがそのダイアルかどうか試すか」

と、金の女神像を中心に置いてみる。女神像は煙で燻しても何も浮かび上がってこなかったので、まだこれに合うかどうかは不明。

「豪勢な鍵だな」

「まだ鍵かどうか分からんけどな」

しかし、祭壇の台に置くとしっくりくる。

「ロド、ダイアルみたいに回すのでいいな?」

「多分な」

マーギンはぐるぐると回してみるが、何も起こらない。

「金庫と同じ仕組なら、時計周り、反時計周り、時計周りとかに動かすんじゃねーか?」

「なるほど。なら、やり直すわ」

女神像を正面に向けて動かしていく。とりあえず、1回転させて正面に向けたあと、反対回し、そしてまた反対回し。これを角度を変えて試していく。

「解除できる気がしないなこれ」

マーギンは早くもギブ。

「数字が書いてないから何桁あるかも分からんが、開ける人のことを考えたら、そんなに細かく分かれてるとは思えんぞ」

と、大隊長がアドバイスしてくれる。おそらく、4分割か、8分割程度じゃないかと推測してくれた。

「なるほど」

そして、明け方まで女神像を動かし続けるのであった。

◆◆◆

王妃はミャウタンに儀式で使う歌を全部教えてもらっていた。

「なるほど。表現の違いはあれど、全て使徒様にマナを押せ、という内容なのですね? なぜ使徒様の部分をマーギンさんの名前に変えたのかしら?」

「はい、マーギン様は否定されておられますが、私は使徒様で間違いがないと思います」

ミャウタンは使徒の言い伝えを話した。

「マーギンさんはラーの使徒ではなく、ムーの使徒だとすると、ラーの儀式にムーの使徒の名前が使われるのはおかしくなくて?」

「ムー様の使徒様は世界をお救いになられる方なのです。ラーの使徒様を守り、世界も救うのです。ミャウ族に残された儀式はムーの使徒様が未来を開くためのものだと私は思っております」

王妃はその言葉を聞いて、ムーの使徒とはやはりマーギンのことなのだと理解した。

「ラーの使徒様のことも詳しく教えてくださる?」

ミャウタンはラーの使徒が各地に起こした奇跡を王妃に話していくのであった。

◆◆◆

「これ、開くのかよ?」

ロドリゲスも確実に魔法陣の文字を読んだわけではない。そう感じ取れただけなのだ。自分ではこうだと感じても、確かめようがない。唯一、マーギンが過去の英雄譚を読んでくれたときに、自分の感じたものが正解だったと分かっただけなのである。

「もしかしたら、前後左右に動かすとかではないか?」

大隊長は動かし方が違う可能性を指摘する。ムーの遺跡では前後左右に加えて上下もあったからな。

「そうかもしれないけど、まだ試してない組み合わせがあるから、先に全部試してみるよ」

ムーの遺跡の仕掛けは恐らくガインが指示したもの。しかし、ここで使われているのはシャーラムの古代文字。古代のミャウ族の祖先が作ったものだろう。なのでガインが来るより前にあったのではないかと思われる。

ゴゴゴゴ。

そんなことを考えながら動かしていると、突如としてそのときが訪れた。

「開いたな」

「みたいだね」

辺りをキョロキョロしても何も変化がない。

「マーギン、そこをどけ」

と、大隊長が言うので避けると、

「ふんっ」

と、祭壇を押した。

「あっ……こんなところに階段が……」

「うむ、やはり下か」

「やはりって?」

「この神殿内部に入る前に階段を上っただろ?」

そう言われればそうだ。こんなことに気付けない自分はやっぱりバカなんだなと思う。ガインによくお前はバカかと言われていたが間違いではなかったようだ。

「では下りるか」

階段を下りると、時間が止まったかのような空気が漂っている。カビ臭いとかではないが、なぜか時間が止まっていたのだなと感じる。

《ライト!》

マーギンは灯りの魔法を使い、よく見えるようにした。

「なるほど……壁画か」

階段を下りた空間にミスティの石像があることを期待していたが、空間にあったのは古い石壁に描かれた壁画だった。

「ロド、何が書かれているか分かるか?」

壁画といってもほとんどが文字らしきもの。魔法陣に書かれていた文字とも違い、形象文字のようなものだ。

「かなり古いな。ここまで古いと残ってる想いも薄くて分からんかもしれんぞ」

「それでも頼む。ここが何かの鍵になっている気がするんだ」

マーギンはゲームでよくあるシナリオなんじゃないかと思った。これを解読しないと先に進めないのだ。

ロドリゲスが解読してくれている間にマーギンもじっくりと見ていく。ここに描かれている女性は女神なのだろうか? なんとなく見たことがあるような、ないような……

天井には星座のようなものが描かれ、床に文字はないものの、線で囲ってある。

「大隊長、床の線に何か見覚えない?」

「ん、見覚えだと?」

大隊長はマーギンに言われて下を見る。

「うむ、この形は大陸の形と似ているな」

「大陸かぁ。そう言われたら、そんな感じにも見えるけどね」

この世界の地図は航空写真や衛星画像を元にして作ったものではないはず。正確かどうかすら分からないものだ。

ロドリゲスは全ての文字を見たあと、恐らくだがと切り出した。

「この世界の成り立ちに付いて書いてあるようだ」

「どんな内容?」

「ザックリ言うと、神がこの世界の人々に農産物の育て方や動物の狩り方を教え、作物の種を人々に与えてくれた、こんな感じだな」

「神の名前は書いてある?」

「名前かどうか分からんが、同じ文字が複数出てくる」

と、ロドリゲスが特定の文字を示していく。

「恐らくこれが神の名前だ」

「先住民の神は、太陽神ラー、月の神ムー、あとは風、火、土、水なんだよね。神の名前らしきものは一つだけか?」

「そうだな。一つだけだ」

「なら、太陽神ラーのことかもしれないね」

「そうかもしれんし、違うかもしれん」

「どうしてそう思うんだ?」

「太陽神って、男神じゃなかったけか?」

「まぁ、言い伝えではそうだけど、長い年月の間に男神、女神が入れ替わってたりすることもあるだろ?」

使徒は男女が入れ替わってたからな。

「なるほどな。しかし、ここに書かれているのは女神だと思われる。そこの女性の絵がその神だろ」

「なるほど。だとすればラーは女神だったんだろうね」

「んー、気になるのはここなんだよな」

と、ロドリゲスが言う。

「なんて書いてあるんだ?」

「この地が神によく見えるように、明るく照らされるように願うと書いてあるような感じだ」

「だから、太陽の神を祀るようになったのかな?」

「祀るなら、ここに書いてある神そのものを祀るだろ」

「それもそうか」

こうして、神殿に隠されていたのは、壁画だったことは分かったが、内容はイマイチ分からなかった。そして、ミスティの石像もなかった。

「ロド、ありがとうな」

「その顔は何も解決しなかったってことだな?」

「いや、ここに石像がなかったことが分かったよ」

マーギンがそう答えたあと階段を上り、隠されていた空間に洗浄魔法を掛けておく。壁画がカビてしまわないようにするためだ。

そして、祭壇を元に戻し、女神像を回すと、ガチャと音が鳴り、祭壇は再び動かせなくなったのであった。