軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

エドモンドは恥ずかしがり屋さん

夜は宴会。いつものクズ真珠が採れる貝やその他海鮮類と、今回は大きなロブスターなんかもあり、焼けたら王妃のためにマーギンが殻を剥いていく。

「豪勢なお食事ですね」

「ロブスターは急遽潜って捕ってきてくれたみたいですね。大きいから食べ応えがありますね」

大隊長、ロブスターの殻を齧って毟るとか貴族とは思えんぞ。エドモンドが目を丸くしてるじゃないか。

「焼きそばできたよー!」

マーイが海鮮焼きビーフンを作ってくれる。マーイはシシリーと話しているので、海の家でアルバイトするようになるかもしれんな。

それにしても王妃は庶民舌なのだろうか? 焼きビーフン気に入って食ってるわ。

「王妃様、美味しい?」

それを見たマーイがニコニコしながら王妃の元へ。マーイ達にとっては王妃というより、カタリーナのお母さんという意識の方が強いのか、何も畏まることはなく、普通に接している。

「えぇ、とっても。これはマーイさんが考えたのかしら?」

「ううん。これとは麺が違うんだけど、マーギンが教えてくれたの。私とマーギンの出会いの料理ね」

「出会いの料理?」

「うん、マーギンがパンジャで焼きそばを作ってたのを見て、無理やり私の分も作ってもらったのがきっかけなの」

「そうでしたの」

「あー、こんな話したら、焼きそば食べたくなっちゃった。マーギンの焼きそば食べたいなぁ」

と、手をうしろで組んで、下から見上げるような仕草で甘えてくるマーイ。普通の男ならイチコロで落ちるな。

「マーイの作ったやつ旨いじゃん」

「でも違うじゃない。あのソースのが食べたいの」

「しょうがないな、まったく。他に食べたい人いる? あとから追加作るの面倒だから、食べる人の分しか作らないよ」

と、希望者を聞くと、みんな手を上げる。本当に食えるんだろうな?

「本当に食うなら作るけど、残した人には次から作らんからな」

いい大人達にカタリーナやアイリスと同じ扱いをするマーギン。

それを聞いて、食べきれる自信のない人は半分だけとか、希望を変えた。

オーソドックスな焼きそばを作っていくと、ソースの焦げた匂いがみんなの食欲を増加させる。

「はい、食べられるだけ自分で取って」

それぞれが取っていくと足りないじゃないか。ったく。

自分の分も含めて追加で作っていく。自分の分にはカレー粉入れちゃお。それをオムソバに。

「自分だけずっるーい」

それを見ていたマーイ。

「お前、普通のって言っただろうが?」

「こんなのあるって知らなかったんだもん。これも一口ちょうだいね」

と、マーギンの隣に座り、勝手に食べていく。

その様子を見ている王妃。

「マーギンさんは、どこでも同じようなことをされていますわね」

「みんな子供なんですよ」

「あっ、これも美味しいー! 王妃様も食べて食べて」

マーイとカタリーナって中身同じなのだろうか? 王妃はもう腹はち切れそうだぞ。

王妃はマーイの食ハラに苦笑いしながら、カレー風味オムソバを食べた。

「はぁー、お腹いっぱい。マーギン、あのお風呂に入るんだよね?」

「そのつもりだけど?」

「じゃ、水着に着替えてこようっと」

「マーギンさん、お風呂と水着とは?」

「いや、小屋を作ったところにお風呂も作ってあるんですよ。女風呂もあるんですけど、男風呂の方が広いので、水着を着て入りに来るんですよね」

「そうですか」

◆◆◆

「お、王妃様……?」

「水着で入れば問題ないのですよね?」

マーイが水着で風呂に入りに来たので、シシリーも王妃もこっちの風呂にきた。飛び出てタオルで隠して小屋に走って行くエドモンド。ロドリゲスはもう気にするのを止めたようだ。

「男性は水着を着てらっしゃらないのですね?」

「ま、まぁ。男同士で入る風呂なので……」

「ではボルティアは恥ずかしがり屋なのですね」

大隊長はどうしていいか分からず、マーギンになんとかしろと言う。

「もう気にしないでおきましょう。今更です」

「お前と言うやつは……陛下の耳に入ったらどうなるか分からんぞ」

「スターム、気にしなくていいですわ。いい歳した私が水着で他の人と風呂に入ろうが、陛下は気にしませんわよ」

と、まだ引きずってる王妃。

「か、かしこまりました」

もう何も気にしないでいきましょうと、大隊長に言ってから、薄めのレモンサワーを飲む。至福のときだ。

そして、それぞれ好きなものを飲みながら、お風呂タイムを愉しむのであった。

翌日、ミャウ族の集落に向けて出発。ハナコが大きな荷台をひいてくれる。結局ゴイルも来たので、本当に大所帯だ。サーカスの一団みたいだな。

「王妃様もハナコに乗ってみる?」

「乗れますの?」

「私が支えるから大丈夫よ」

ハナコの上にマーイと王妃が乗る。初めは怖がっていた王妃も慣れてくると、目線の高さとかが新鮮で喜んでいた。

「マーギン、あのマーイって娘、物怖じしないいい娘だな」

と、ロドリゲスが言ってくる。

「マーイはナムの集落の踊り子なんだよ。雨乞いの儀式で踊る役目だね。神様に愛されてるんじゃないかな」

「へぇ、そうなのか。王都で踊りゃ人気出るだろうな」

「ショー用の踊りもできるからな。化粧して衣装を着けて踊ってたら、もっと大人っぽく見えるぞ。パンジャの店で一番人気だったんだぞ」

マーギンはマーイが出稼ぎしてたことを話す。

「で、お前と知り合って、あの集落が潤ったから出稼ぎの必要なくなったのか」

「みたいだね。客船で踊るようになるかもしれないけどね」

荷台にはエドモンドとシシリーが乗っている。マーギンとロドリゲスはハナコの前。大隊長は荷台のうしろ、マーロックとゴイルは荷台の横だ。

「ハナコ、尻を嗅ぐな」

ハナコは歩きながら、マーギンのお尻を鼻でちょいちょいと、ちょっかいをかけながら歩く。とてもご機嫌である。

「キャッ、ハナコ。どうしたの? 急に立ち止まったら危ないじゃない」

マーギンにちょっかいを掛けていたハナコが急に立ち止まり、大きな耳をパタパタさせている。

「ロド、なんか来るぞ」

「魔物か? 気配がねぇぞ」

マーギンは念の為、マーベリックの剣を抜く。

「ゴイル、マーロック。荷台の守りを頼む。敵は俺とロドリゲスでなんとかする」

大隊長は言うまでもなく、王妃の護衛だ。

その時、ざっと音がして、茂みからラプトゥルが現れた。

「キュルルルー」

「ロド、前の敵だけ倒してくれ。ハナコに近づけさせると暴れて危ないかもしれん。他は俺が殲滅する」

「了解」

目の前に出てきたラプトゥルはロドリゲスに任せて、マーギンは茂みの中に突っ込んで行く。

「王妃様、マーイ。ハナコから降りて下さい」

大隊長に降りろと言われたマーイがハナコにしゃがむように指示する。

「さ、降りて荷台に移りますよ」

ロドリゲスがラプトゥルを牽制している間に王妃とマーイも荷台に乗せ、ハナコを繋いでいる金具を外す。

「ロドリゲス、大丈夫か?」

「大隊長はこっちを気にせず、護衛に専念しといてくれ。マーギンが俺に任せたってことは、勝てるんだろうよ」

ラプトゥルが首を伸ばしてカッと噛みつきに来るのを剣で牽制しながら、任せておけと返事をした。

「パォーーン」

いきなりズドドトドとハナコがマーギンがダッシュした方向に突進する。

ドーンっ。

そして、木に頭から体当たりすると、小型のラプトゥルが落ちてきた。

ドスドスドス。

それを情け容赦なしに踏みつけ、鼻で掴んで、地面に滅多打ちする。そして動かなくなったラプトゥル。

「おっ、木の上にもいたのか。良くやったハナコ」

マーギンは3匹仕留めて戻ってくるときに、ハナコの活躍を見ていたのだ。

褒められて喜ぶハナコはマーギンを鼻でくるんと抱く。

「おーよしよし。お前は本当に賢いなぁ」

鼻をさすって褒め続けると、ハナコは鼻先でマーギンをハムハムする。

「ロド、まだやってんの?」

「うるさい。黙って見てろ」

ラプトゥルと対峙しているロドリゲス。

「早く倒さんと逃げるぞ」

と、言った瞬間に、噛みつくふりをして、パッと横跳びをしようとしたラプトゥル。

シュンッ。

ロドリゲスはしゃがんで水平斬りをお見舞いした。

ブバッと足の付け根から血を噴くラプトゥルはドサっと倒れた。その隙を逃さないロドリゲスは喉をスパッと斬って仕留めたのだった。

「ふぃー、なんとかなったぜ」

「何遊んでんだよ。王妃様がいるんだぞ」

「バカヤロぅ。初見の魔物はどういう動きをするか、見とかねぇとダメだろうが」

「前に教えたじゃん」

「聞くのと見るのじゃ違うんだよっ」

そりゃそうだけどね。

「大隊長、ラプトゥルの動き見てた?」

「あぁ。ロドリゲスの意図も理解した。次に出たら、マーギンが護衛に回れ」

あー、自分も倒したいんですね。

しかし、ミャウ族の集落に到着するまで、もうラプトゥルは出てこなかったのであった。