軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

確信

賊の尋問にはエドモンドも付いてきた。

「領主様、尋問に立ち会うのはお勧めしませんので、カタリーナ達と外で待っててもらえます?」

「拷問をするのかね?」

「尋問ですよ、尋問」

と、マーギンは微笑みながら牢に向っていった。

「領主の許可は取ってきた。前に領主邸に入った賊のところに案内してくれ。それと俺が捕まえてきたやつも連れてきて」

衛兵に尋問許可証を見せて、中へ入っていく。

「マーギンさん、賊はこちらの3人であります。この前の6人も連れて参りました」

「ありがとうね。あとは俺一人でやるから、外に出てて」

「えっ? お一人で何かありましたら危ないのでは」

「大丈夫。こいつらが話したことはちゃんと報告するから」

「か、かしこまりました」

一番奥にある牢、前にマーロックが入っていたところに全員集合させ、見張りの衛兵も外に出した。

「なんだお前は?」

賊のリーダーと思われるまだ若そうな男がマーギンを睨み付けた。

「尋問担当」

「けっ、誰が来ても同じだ。何度も同じことを言わせんなってんだ」

「じゃ、違うことを話してもらおうかな。領主邸には何を盗みに入った?」

マーギンの淡々とした話し方に、森の中で捕まった男達は自分達が尋問されているわけでもないのにガタガタ震えている。ここに連れて来られた理由が分からないのが余計に恐怖を煽る。

「金目の物をいただこうと思っただけだと、何百回言わせるんだ」

「どんな金目の物? 金貨や宝石には手を付けてなかったと聞いたけど」

「あとでまとめていただくつもりだったと言ってんだろうが」

「じゃあ、何を優先して盗もうとした?」

「他にもっと高そうな物がないかと探してただけだ」

「今の報告は何度もしたやつだよな? 俺は違うことを聞きたいんだよ。何が目的だった?」

「だから……」

「そうか、話したくないか」

マーギンは同じ説明をしようとした男の言葉に食い気味にそう言う。

「お前らに選択肢をやろう」

「選択肢?」

ガタガタガタガタっ。

選択肢と聞いた6人の男達の震えが止まらない。

「1、盗もうとした物が何か話す。2、痛い目に合う。3、人類の役に立つ。どれにする? お勧めは1だ。その次は3。2はお勧めしないけど、どれにする?」

「なっ、何を勝手に決めてやがんだ」

「選ばない場合は2と3両方になるぞ。心して答えろ」

マーギンは低い声で脅す。

「ご、拷問されたって、今までの答えと同じだからな。目的もなにも、金目の物をいただこうとしただけだ」

「あーあー、せっかく忠告してやったのに、その選択肢か。バカなやつらだ。なぁ、お前らもそう思うよな?」

と、マーギンは震えている男達に聞くと、ブンブンと首を縦に振り続ける。

「さ、口が答えないなら、身体に答えてもらおうか。お前ら致命傷にならなくても激痛がはしるところって知ってるか?」

「知らねぇよっ」

「じゃぁ、教えてやろう」

《パラライズ!》

「ぐっ、な、何を……」

「暴れられても面倒だからな。身体を軽く痺れさせた。さて、答え合わせといこうか」

マーギンは焼き鳥に使う串を出した。

「そんなもんを刺されても答えは同じだっ」

まだ強がる男の口を無理やりあけさせる。

「答えは歯茎だよ」

ブスっ。

「うごぉぉぉぉっ」

マーギンは男の前歯の裏側に竹串を上に向って刺した。

「な、痛いだろ」

グリグリと、その竹串を回す。

「うごぉぉぉぉっ」

「俺さぁ、どうしても知りたいことがあるんだよね。だから情報を得るためにはなんでもするつもりなんだよ。早く本当の目的を教えてくれないかなぁ」

いくらグリグリされても吐かない男。

「お前、凄いね。情報を得られないならもうやめとくか。次はどっちに聞こうかな?」

賊に入った男達は小柄だが、綺麗な筋肉の付き方をしている。特殊な訓練を受けてきたのかもしれん。痛みだけでは吐かないかもしれんな。

6人組にも質問をする。

「なぁ、お前らはお宝探しをしにきたと言ってたけど、やみくもに探してた訳じゃないよな? 何か情報もらってなかったか?」

ガタガタガタガタ。

「早く言わないと竹串刺すぞ」

と、竹串をチラつかせる。

「いっ、遺跡だ。遺跡を探せと言われてたんだ。一つ目の遺跡はすでに荒らされて、なにもなかった」

「遺跡か。荒らされてた遺跡の周りの木々は刈り取られたようになってたか?」

「な、なってた」

こいつら、先にムーの遺跡に行ったのか。やはり目的はラーの神殿かもしれん。

「お宝は何か聞いていたか?」

「遺物だとしか聞かされてない」

「そうか。ちなみにお前はノウブシルク出身か?」

ビクッ。

少しビクついた反応を示した男は観念したように白状する。

「そ、そうだ」

「この賊もそうだと思う?」

「わ、分からねぇ」

「了解。な、こいつみたいに素直に話せば何もされずに済むんだよ。俺も痛め付けたいわけじゃないからな。残りの二人は何か話す気になったか?」

「隠しごとなんかしてねぇんだから、答えようがないだろうが」

「そうか。なら、もうお前らに聞くことないわ」

そうマーギンが答えると、少しホッとした顔をする。

「じゃ、3を選択したということでいいな」

ボキッ。

ホッとした顔の男の鎖骨を折るマーギン。

「ぐっ、貴様……」

「罪人のお前達が人類の役に立てるんだ。感謝しろよ」

「何を言っている……」

ドサッ。

マーギンはチューマンの死体をその場に出す。

「こいつはチューマンっていってな、人類を滅亡させる可能性があるやつらだ。俺はコイツらを殲滅しようと思ってる。だが、巣の場所が分からなくては困ってるんだ」

見たこともない化け物の死体を目の前に出された賊達。

「コイツラは狩った獲物を肉団子にして巣に持ち帰る習性がある。お前らはその団子役だ」

「なんだとっ」

「生きが良くないとダメかもしれんから、足は折らないでやる。だから鎖骨だけ折った。良かったな。人類を救った英雄になれるぞ」

「そ、そんな脅しに……」

と、言いかけた男に、

ボタボタボタボタ。

「ひぃぃぃぃっ」

マーギンはバレットフラワーの蜜を掛けた。それを見ていた6人組の男達はムカデ汁を掛けられたことがフラッシュバッグする。

「これはバレットフラワーという魔花の蜜だ。甘くていい匂いがするだろ? チューマンはこれが好きみたいだから、匂いでおびき寄せられるだろ」

ここまでやっても賊の男達は話そうとしない。泣き叫ぶわけでもなく、許しを請うわけでもない。これはかなり厳しい訓練を受けてきたんだな。

「で、お前らはこのあとどうなると思う?」

マーギンは6人組に話を振る。

「さ、裁かれて刑を言い渡される……と思います」

「罪状はなんだと思う?」

「ぼ、暴行未遂」

「ブッブー。お前達の罪状は不敬罪だ」

「えっ?」

「しかも、この国の王族に対しての不敬罪だ。多分、斬首刑だろうな」

「うっ、嘘だ」

「嘘じゃないんだなこれが。俺はそいつの護衛兼教育担当なんだよ」

「嘘だっ! そ、そんなわけが……」

「俺は衛兵でもなんでもない。なのに、こんな尋問を領主からすぐに許可されたのは不思議だと思わんか? 見張りの衛兵もここから外されただろ」

そう言うと黙る男達。

「で、見張りを外した理由なんだけどな、俺の尋問を見せたくないからじゃないんだよ」

「ならどうして……」

「お前らの証言は俺が報告することになるだろ? ということは俺の報告内容でお前らがどうなるか全て決まるわけだ。どゆあんだすたん?」

ここにいる全員がマーギンの言葉を理解した。悪くても数年牢に入るだけで済むと思っていたのが、そうではない。この男の証言で死罪でも鉱山送りにでもなんでもできるのだと。

「お、俺達は死刑……」

「そうだろうな。一応言っとくけど、あの場に王族がいたのは本当だからな」

そう聞かされて愕然とする6人組。

「で、お前らだ」

今度は賊の3人組。

「何の罪にしようってんだよ」

「ん? 領主暗殺未遂とかかな。だから鉱山に送ったことにして、チューマンの餌にすることも可能ってわけだ」

そう伝えると睨み付けてくる。

「しかし、ここまで吐かなかったことに敬意をしめして、選択肢を1つ増やしてやる」

「何があるんだよ」

「組織から抜けて、俺の配下に入れ」

そう言うと一瞬目を見開いた。

「お前ら、ノウブシルクの隠密かなんかだろ?」

「……」

「本当は組織を抜けるチャンスを探してたんじゃないのか? 任務が成功したら戻れるが、お目当ての物が見付からなかった。つまり任務失敗だ。隠密の任務失敗は死を意味する。で、わざと捕まって隙を見て逃げるつもりだった。そうだろ?」

「……」

「だがな、すでにお前らには監視が付いてるだろう。お前らより腕の立つやつが監視してたら命はないな。ここから移送するときにお前らは消される」

3人組はマーギンの話を黙って聞いていた。

「何が目当てだったか話せ。お前らを助ける条件はそれだけだ」

「どうやって俺達を逃がすつもりだ?」

少し間をおいて、鎖骨を折られたやつがそう聞いてきた。

「イワンっ、お前っ!」

「タラス、俺達はどっちにしろ殺される。それなら、この男の言葉にのっても一緒だ」

タラスと呼ばれたリーダーらしき男は仲間を止めようとしたが、どっちにしろ殺されると言われ黙った。

「どうやって逃がすかか。そうだな。お前達、この牢屋がどこにあるか分かるか?」

6人組にここがどこか答えさせる。

「い、いや分かりません」

「領都だ」

「えっ?」

「ちなみにお前らが俺に捕まった翌日に領都に来ている」

「うっ、嘘だ……」

「で、お前らが探せと言われていた遺物の1つがこれだろうな」

と、妖剣バンパイアを出して見せた。

「見事なもんだろ? これは魔剣の類でな、牢の鉄格子でも簡単に斬れる」

と、鉄格子の1本をスパっと斬ってみせた。

「遺物はすでに全部俺が手に入れている。探しても無駄だ。で、どうして逃がすかの質問の答えだが、転移魔法で先住民の集落に送ってやる。そこで魔物討伐を手伝え。転移魔法を使えば追手はお前らを探しだせない。先住民の集落には他のやつらは入れないしな。どうだ?」

「お、お前は本当に伝説の転移魔法が使えるのか……」

「こいつらを捕まえたのは森の奥深く。先住民の集落に近い場所だ。そこから1日で領都にどうやって来たか考えれば分かるだろ。お前らはこの牢で自決したことにしてやる」

ここまで言うとリーダーが目を閉じ、ふーっと大きく息を吐いた。

「金の女神像だ」

「女神像?」

どこかで聞いたことがある。なんだっけか……あっ! マーロック達が海賊だったときに盗み、貴族の不正関与の証拠になったやつか。

「女神像はなんに使う?」

「遺跡の鍵になるらしい。それ以上は知らん」

マーギンはその女神像が神殿の祭壇に祀られていた物だと確信したのであった。