軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

報告

アニカディア2号のバリスタ設置と船体に強化魔法を掛けて完了。これでライオネルとタイベの海を制圧してくれ。

「マーギン、マーロックの船でライオネルに戻るの?」

シシリーはマロ兄呼びからマーロック呼びになっている。うむ、脳内にあのCMソングが流れなくて宜しい。

「新造船で戻るのかな? 俺はどっちの船でもいいんだけど」

「じゃあ、こっちに来るときでもいいか」

「なんかあるのか?」

「客船と貨物船の改装をしてたでしょ? 貨物船はまだ終わってないけど、客船の方は改装終わったのよ」

「へぇ、かなり急がせたんだな」

「領主命令で24時間工事してたわよ」

エドモンドもなかなかブラック領主だな。

「それに乗った方がいいのか?」

「別に急いでないからいいわよ。マーギンはなんか急いでいるみたいだし、次に来るときのお楽しみにしておいて」

シシリーの話によると、船の中とタイベ領都でのダンスショーを観ておいて欲しかったようだ。

「そうか。仕事を任せておいて、その成果を見てやれなくてすまんな」

「ゆっくりできるときに観てくれたらいいわよ」

シシリーはやっぱりできた女だ。仕事もできるし、押しつけがましくもない。シスコも何年かしたら、こんな感じになるのだろうか?

「私に見惚れてるの?」

と微笑むシシリー。マーギンはじーっとシシリーの顔を見ていたのだ。

「お前、いい女だな」

そう真面目に答えると赤くなった。

「バカね、もうっ!」

柄にもなく照れるシシリー。

「ゴホンッ、マーギン。出発するぞ」

今の様子を見ていたマーロックが不機嫌そうにマーギンを引っ張っていった。

乗った船はアニカディア2号(仮)だ。名前はまだ悩んでいるらしい。

マーロックも乗り込んで様子を見ているが、よほど危ないとき以外は口を出すつもりはないようだ。

うむ、やはり船長を任せられるだけのことはある。マーロックより船員に無茶をさせないぶん時間は少し掛かったがちゃんとライオネルに到着できたのであった。

「ありがとうな。タイベには違う方法で行くから、俺を待ってなくていいぞ」

「客船に乗るのか?」

「いや、魔法で移動する。ま、それは気にしないでくれ。俺の用事が済んだら孤児院に行くわ。もしかしたらだいぶあとになるかもしれん」

「また厄介なことに首を突っ込んでんのか?」

「まぁ、チューマン対策とか色々あるしな」

「そうか。俺たちも気を付けるが、マーギンも気を付けろよ」

「おう、送ってくれてありがとうな。俺はこのまま王都に移動するわ」

もう夜になっているので、マーギンはそのままマーロック達と別れて、ホバー移動で自宅に戻るのであった。

翌朝、訓練所に向かった。大隊長にゴルドバーンでのことを報告して、王に報告をしておいてもらわなねばならない。

訓練所に来ると、ハンナリーが新人らしき者たちをしごいていた。

「ハンナリー、新人か」

「あ、マーギン。お帰り。他のやつらは実戦に出てんで」

「大隊長もか?」

「そや」

「カタリーナは?」

「治癒師と一緒に現場に出てるわ」

「えっ?」

「現場に出てる言うたかて、前線ちゃうで。後方で待機や。なんかあっても聖女様がおるいう安心感があんねんて。しっかし、姫さん凄ならはったなぁ」

ハンナリーは北の街の討伐戦のことを話してくれた。

「グロロの毒を解毒できたのか」

「そうや。もうみんなあかんと思ったら、姫さんが来てくれてな、何とか全員助かってん」

毒の種類は多岐に渡るから、毒の知識がないと解毒できないはずなのに、エクレールの力が凄いのか、カタリーナが凄いのかどっちだろうか?

「今日、戻って来るか?」

「多分、夕方には戻って来ると思うで」

ということで、その間にシスコの所へ行く。

マーギンの顔を見て嫌そうにするシスコ。そういうところだぞ、シシリーを見習え。

「シシリーには説明しておいたことを報告に来ただけだ。そんな顔をすんな」

「で、何を押し付けてきたのかしら?」

押し付けてきたとか言うな。お願いしてきたのだ。

「先住民の土の神ディンを祀る集落と取り引きをすることになった。南国フルーツを少しだけ王都に流通させる」

「少しだけ?」

「そう。それを高値で売ればいい。貴族向けの商品だな」

「販売ルートはどうするのよ?」

「それはお前が開拓しろ。前に貴族街の商業組合にもハンナリー商会のことを話してあるからそこに相談しろ」

「南国フルーツは数が入らないのかしら?」

「普通に運搬したら鮮度の問題があるから、マジックコンテナを使う必要がある。大量に売るとマジックコンテナのことがバレるぞ。それにタイベに人を呼び込むのに、王都で食べるとバカ高いフルーツが、タイベでは格安で食べられるとかの売りになるだろ? それと客船の改装も終わって、ダンスショーが観れるようになったらしい。お前も時間を作って確認しとけ。俺は今からマジックコンテナの追加を作ってくる」

マーギンがハルトラン工房に行くと、ここでも嫌な顔をされつつ、コンテナを作ってもらって、魔道具化していくのであった。

夕方に訓練所に戻る。

「マーギンさんっ!」

アイリスが一番にマーギンを見つけて飛び込んでくる。

「こら、抱き着いてくるな」

と、言いつつ受け止めるマーギン。まるでゴールデンレトリーバーが飼い主に飛び込んでくるような感じだ。

「戻ってたか」

大隊長とカザフ達が次に来た。

「大隊長、話があるんですよ」

「分かった。どこかに場所を移すか?」

「別に人に聞かれても問題ない話なんですけど、王様にも報告しておいて欲しい内容なんですよね」

「なら王のところに向かおう。直接報告した方が早い」

え?

「いや、報告しておいてくれたらいいんですよ」

みんなから飯ーっ、飯ーっ! と言われたが、先に王のところにいくハメになってしまった。

謁見の間から最後の貴族が出てきたので、大隊長と共に王のところへ。

「マーギンが会いに来るとは珍しいの。オルヒのところには行かなくて良いのか?」

王はにこやかにそう言ったが、これは嫌味なのではなかろうか?

「他国絡みの報告でしたので」

「他国じゃと? ノウブシルクか」

「いえ、ゴルドバーンです」

「詳しく話せ」

王は仕事モードになり、マーギンの話を聞くのであった。

「それではゴルドバーンは壊滅するやもしれんのか?」

「ゴルドバーンが壊滅するぐらいチューマンが増えたら、人類そのものがヤバいですね。そうなる前に巣を見付けて殲滅しようと試みたのですが、一人では無理でした。捜索範囲が広すぎて、見付け出す術が……ないわけでもないのですが、今回は諦めて戻りました」

「見付け出す術とはなんじゃ?」

「チューマンは餌を肉団子にして巣に持ち帰ります。生贄でチューマンを呼び寄せて、肉団子にされるのを見張ってれは巣が判明するとは思うんですけどね」

「何人必要じゃ?」

「え?」

「じゃから生贄の人数じゃ。死罪になるやつなら構わんじゃろ」

それは俺も考えたけど、本当にやる気かよ?

「ゴルドバーンに罪人を連れて行くのは無理ですよ」

ここは体良く断っておこう。人が肉団子になるのを見張るのは俺だからな。

チューマンの話はこれで終わり、次はカタリーナの話になった。国としても聖女誕生のお披露目を検討しているらしい。

「カタリーナを政治利用するつもりですか?」

「そんな意味ではない。純粋に国のためにと思ってのことじゃ」

「それをしたら王位争いで揉めますよ。そうなれば国が荒れます。ノウブシルクにとっては絶好のチャンスですね」

「なんじゃと?」

「聖女の力を知った人や、実際に助けてもらった人は信者のようになるでしょう。それは大きなうねりとなり、次期王には聖女が相応しいとなりませんかね? 他の王子や姫が納得されるなら構いませんが」

「聖女は聖女で王ではなく……」

「民意を舐めてはダメですよ。民意が一度大きなうねりになれば、止めることができなくなります。それに大々的にお披露目する必要なんてありません。カタリーナ一人で治せる人数なんて限られてるんですから、大勢が押し寄せても対応できないです」

むむむと黙る王。要するに自分の娘が聖女になったことを自慢したいだけだろ? とは言わない大人のマーギン。

報告は以上ですと、さっさと切り上げたのであった。

「マーギンどうするつもりだ?」

謁見の間から出たら大隊長から聞かれる。

「どうしましょうね? 飯食いながらでも話しますか。新しい料理を教えてもらってきたんですよ。大隊長も好きだと思うので、それ食いながら話しましょう」

「おっ、なら宿舎の屋上に行くか」

とマーギンは他のみんなも参加することになった晩飯に麻婆芋を作るのであった。