軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

和食素材が手に入る

ロムの集落を出て、一度ミャウ族の集落に戻った。

「マーギン、次は土の神ディンを祀る集落だな」

「ナムの村の途中にあるんだっけ?」

「そうだ」

今すぐにでも王都に戻りたい気持ちをぐっとこらえるマーギン。

「了解。じゃ、明日行こうか」

と、ロブスンと打ち合わせを行なった。ポニーとキンギンはお留守番。山とは反対方面だからチューマンも出ないと思われるため、ピアンも解放した。

翌日、ディンの集落に向かって出発する。ナムの集落に直線で向かうのではなく、やや北寄りに進んだ。

「ここは何度か来ているから問題ないぞ」

ディンの民はパンジャに出稼ぎに行く者もいるらしく、集落の雰囲気はナムの集落と似ていた。

「また協力依頼に来たのか?」

ロブスンは問題ないと言っていたが、あまり歓迎されてないような感じだ。何度か来たのはチューマンと戦うために協力依頼をしにきたときのことを言っていたのだろう。ミャウ族は他の民から好かれてなかったからな。

「今回は協力依頼というより、情報共有だ。敵の対策は目処が付いた。ここに敵が来る可能性は少ないかもしれんが、敵がどのようなやつか知っておいて欲しい」

「ナムのやつからもう聞いている。対策として虫除けの花を植えろと言われたぞ。わざわざ知らせに来てくれてありがとうな」

ありがとうと言ってはいるが、そっけないな。

「で、お前は誰だ?」

「俺はマーギン。ナムの民に他の集落にも虫除けの花を植えるように頼んだ者だ」

「マーギン……ゴイルの知り合いか?」

「そうそう。ゴイルとマーイには仲良くしてもらってる」

「そうか、お前がマーギンか。よく来た。中に入ってくれ」

ロブスンにはそっけなかったが、マーギンには愛想が良いディンの民。マーギンのおかげでナムの集落の収入が増えたことを知っているのだろう。

ディンの集落には果樹園や畑、田んぼなどがたくさん広がっている。そういや、ここはフルーツを育ててるんだったな。

「マンゴーはそろそろ収穫時期か?」

「ほぼ年中採れるぞ。これからのが一番旨いけどな。食いたいならいくらでも食ってくれ」

元の世界だとマンゴーは高級フルーツだったけど、タイベでは普通のフルーツだ。王都に生で流通させるのは難しいかもしれん。マジックコンテナで運んで、高級フルーツとして売って、タイベに来たら安く食べられるようにしてもいいかもな。あとは冷凍マンゴーとドライマンゴーか。

そんなことを考えながら案内されるまま付いていく。

「まずは長に会ってくれ」

と、長に挨拶をすることに。

「お前がナムの集落に商売を持ち込んだ人間か?」

「商売というか、欲しいものを売ってもらうという感じだね。タイベでは当たり前のものでも、王都じゃ珍しいからな」

「ふむ、米を白くする魔道具を与えたのもお前なのだな?」

「そう。栄養価は落ちるけど、米が旨くなるだろ?」

「醤油とやらもお前が作らせてるのだな?」

「魚介類に合う調味料だからな。そのうち売り出すんじゃないか」

「そこまでして、ナムの民に取り入った魂胆はなんだ?」

「別に取り入ってないよ。たまたまパンジャでマーイと会って、集落に案内してもらったんだよ。魔道具関係もどうするか長老に相談してからにしたからね。便利な魔道具があると昔ながらの生活が変わってしまうだろ? 勝手にやったわけじゃない」

「そうか。長老の許可を初めに取ったのか」

「そう。魔道具も別に売り付けたかったわけじゃないしな。というか、まともに値付けしたら、ナムの集落じゃ買えん代物だ」

「米を白くする魔道具はいくらぐらいのものだ?」

「王都では100万G。タイベで売ろうと思えば、そこに運賃が必要になるから倍以上の値段になると思うぞ」

「かなり高価な魔道具なのだな」

「それでもあまり利益を乗せてないんだぞ。王都で米を普及させるために作ったものだからな」

「なぜ米を普及させる?」

「俺が食いたいから」

「は?」

長はいまいちマーギンの意図を汲み取れない。しかし、ナムの民を騙して何か企んでいるわけではないと理解してくれたようだ。

「この集落の民ももう少し裕福に暮らせるようにしてやりたいのだが、協力をしてくれるか?」

「フルーツ関係は売れると思う。特にマンゴーとパイナップル。王都に運ぶには魔道具が必要になるけどな」

チューマンのことより商売の話になるマーギン。他にも何かないか聞いてみるが、何が売れるのか分からないとのこと。ナムの集落もそうだったな。

話しているうちに夕方近くなってきたので、飯をご馳走になることに。

「突然の訪問だったので、大したものはないが、遠慮なく食べてくれ」

「おー、シイタケにレンコンじゃん」

初めに出てきたのは肉詰め。シイタケ、レンコン、ピーマンだ。

「これ栽培してんの?」

「そうだ。よく知っているな。他の集落では食べないものだぞ」

「俺は好きだぞ」

レンコンなんてものすごく久しぶりだな。

「なら、これも食えるか?」

と、次に出てきたのはゴボウを炒めたもの。ロブスンは怪訝な顔をする。

「木の根を食うのか?」

「これは木の根じゃない。ゴボウという野菜だ」

これも懐かしいな。味付けが塩だからきんぴらごぼうのイメージとは少し違うけれど。

「なら、これはどうだ?」

次に出てきたのはコンニャク。鶏肉と炒めてある。なんか思いっきり和食だな。

「なんだこれは? ぐにぐにして味がないぞ」

ロブスンはダメなようだ。

「これはコンニャクだ。色々な料理に使えるぞ」

「こんなものがか?」

「そう」

「客人、他の料理とは?」

「ん? ここでは鶏肉と炒めるだけか?」

「それが定番だ。肉のかさ増しとして使うものだからな。客人に出すのはどうかと思ったのだが」

「いや、コンニャクがあるのを知れて良かったよ。王都で売れるかどうかは分からないけど、俺は欲しいな。おでんに入れたり、炊き込みご飯に入れたり、味噌田楽にしたりとか色々な食べ方があるぞ」

と言っても実際に食べた方がいいだろう。

明日の夜の飯はマーギンが作ることになった。チューマンのことより飯の話になるマーギン。仕込みに時間の掛かるものもあるので、夜中に一人で仕込んでいった。

作ったのは牛すじ煮込み、炊き込みご飯、味噌田楽、きんぴらごぼう、レンコンの天ぷら、ゴボウの天ぷらは甘辛にした。大葉もあったので、鯛を大葉で包んだものも天ぷらに。

「見事なものだな。どれも旨い」

「マーギン、コンニャクとやらもこうして食うと旨いのだな」

ロブスンは牛すじ煮込みを気に入ったようだ。それにゴボウの甘辛天ぷらも食っている。

こうしてディンの集落でも仕入れるものができたので、シシリー……エルラに話をしておかねば。マジックコンテナ増やしておかないとな。

一応、チューマンの死体も見せて、脅威であることを理解してもらい、食材は自分用に買っておいた。

ここでは過去の話は特になく、商売の話だけで終わり。使徒様扱いがなかった代わりに業者マーギンとして扱われた。

ナムの集落でロブスンとはお別れ。一度王都に戻ってまた来ると伝えておいた。

その後、マーギンは一人でタイベ領都に向かった。

「はい、マーギン、いつ来たの?」

領都の孤児院に行くとエルラがいた。

「しばらくあちこちの先住民の集落に行ってたんだ。商売の話も出たから伝えておくわ」

と、エルラにディンの集落のことを話しておく。一度一緒に行かないとな。

しばらく話し込んでいるとマーロックが戻って来た。

「マーギン、いつ来たんだ?」

「あちこちの先住民の集落に行っててな。明日か明後日にライオネルに送ってくれるか」

「それは構わんが、マーギンは知ってるか?」

「何を?」

「領主邸に賊が入ったらしい」

「えっ? エドモンドさんは大丈夫なのか?」

「領主様はまだタイベに来てなかったみてぇだぞ」

「そうか。それは不幸中の幸いだな。で、何か被害があったのかな?」

「どうだろうな。賊は捕らえたみたいだから大丈夫じゃねーか」

「それなら良かったわ。しかし、領主のところに行く賊って馬鹿だな。成功する確率なんて低いだろうに」

「それがよ、賊はタイベの人間じゃねーみたいだぞ」

「王都の人間か?」

「そこまでは知らねーけどよ」

「ま、賊は衛兵の管轄だからな。それより、討伐船の追加はできたか?」

「あぁ、バッチリだぜ」

「なら、明日は武器の設置をして、新造船の試運転を兼ねてライオネルに行くか」

「おう、俺も様子を見ねぇとな」

様子を見ると言うマーロック。

「そうか。新造船の船長は他のやつがするんだな?」

「そうだ。俺より腕は落ちるが、そこそこやるから期待しといてくれ」

と、マーロックは親指を立てたのであった。