軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

押せよー押せよー押せよー

ナムの村でハンナリー商会が取り扱うものにもち米も追加することになった。

次はミャウ族の集落に移動。シスコも素直におんぶされてホバー移動。おんぶだとホバー酔いもすることなく途中で1泊して到着した。

「マーギンお帰りーっ!」

すぐに駆け寄ってきて飛びつくポニー。山犬達も山に帰らなかったようで駆け寄ってきた。

ベロベロベロっ。

「もういいっ、もういいっ! 分かった。分かったから」

山犬はデカい。食われるんじゃないかと思うぐらい舐めまくられる。マーギンにもういいと引き剥がされた後はシスコをチェック。

「ヒッ、なにっ? なによ?」

2匹がシスコの周りをグルグル回りながら敵でないか確認しているのか、マーギンの臭いが付いてるのを確認しているのか分からないが長い時間嗅いでいた。

「シスコ、大丈夫だ。そいつらは賢い。お前が攻撃しない限り襲ってこない」

「マーギン、この子達に名前を付けたんだよ」

マーギンが山犬達をそいつら呼ばわりしたら、ポニーが名前を付けたという。

「へぇ、なんて付けたんだ?」

「キンとギン」

「は? キンはまぁ分かるけど、ギンはなんだ? クロじゃないのか?」

「マーギンと同じ毛並だからギンにしたの」

俺の髪の毛を毛並扱いしないで欲しい。

「お前、俺から名前もらったのか」

「ワフっ」

ギンと名付けられた黒い山犬は元気に返事をするのだった。

山犬達を従えてミャウ族の村に入ると、バネッサがワー族達を鍛えていた。しかし、バネッサの奴、なんちゅう格好で訓練してやがんだ。

「オラオラっ! 遅ぇぞっ!」

オスクリタをホーミングさせて、ワー族に避けさせている。なかなかハードな訓練だな。

「あっ、オヤビン。その人が正妻でヤンスか?」

マーギン達を見つけてサボりにきたピアン。

「そうよ」

否定しないシスコ。やめろ、ワー族達はそういうのを信じるのだ。

「あねごー、オヤビンが戻って来たでヤンスよーっ!」

と、ピアンが大きな声でバネッサを呼ぶ。

「やっと戻ってきやがったか」

「バネッサ、お前なんちゅう格好で訓練してんだよ?」

「暑っちいんだよ。それにこれなら溢れる心配ねぇだろ?」

バネッサの上半身は胸にサラシを巻いただけ、下はショートパンツ姿だ。ワー族は人族をエロい目で見る事もないし、バネッサもワー族相手だと恥ずかしくとも何ともないらしい。ずっとこの姿で訓練をしていたようでこの姿にも慣れ、日焼けもしている。まるで夏休みの子供みたいだ。

「バネッサ」

「なんだよシスコ?」

「形が崩れるわよ」

「なんのだよ?」

「胸よ胸。そんなに押さえつけてたら、そのままの形になるわよ」

「えっ?」

「焼く前のパン生地みたいに、だらっとした胸になるかもね。せっかく大きくても垂れてないのがあなたの唯一の魅力なのに。あなたがそれを気にしないならいいけど」

「ば、バッキャロー。人前で恥ずかしい事を言うなっ!」

再会した2人は早速いつもの喧嘩を始めるのであった。

ミャウタンにシスコを紹介した後、マーギンが戻ってきたから感謝祭の儀式をすると言われた。どうやら俺の戻りを待っててくれたらしい。ミャウ族達が慌ただしくしていたのはそのせいだったのか。

準備が整うまでポニーと山犬達に戯れながらバネッサに様子を聞く。

「バネッサ、チューマンは出たか?」

「出てねぇぞ。何回かロブスン達と見回りも行ったけどな」

「そうか。ここを餌場にするのを諦めたのかもしれんな」

「で、この後どうすんだよ?」

「ハンナリー商会はここに用がないからな。お前を迎えに来ただけだ。すぐに王都に戻るぞ」

「そうかよ。山犬はどうすんだ? 連れてくのか」

「こいつらは連れていかない。山犬の生きる場所はこの地域だ。そのうち山に戻りたがるかもしれんし、ミャウ族達と生活するのもよしだ。飯は自分で捕ってきてんだろ?」

「あぁ、毎日なんやかんや獲物を捕ってきてるな。小型の鹿みたいなやつは旨かったぞ」

お前は山犬の飯を一緒に食ってるのか……

山犬達はポニーを可愛がるのと同時にバネッサにも懐いているようだ。特にギンの方がバネッサに獲物を食えと差し出してくるとのこと。

「マーギン、うちの宝物見せてやろうか?」

「綺麗な石でも見付けたのか?」

「ちげぇよ。すっげぇのが採れたんだ。ちょっと待ってろ」

バネッサはミャウタンの屋敷で寝泊まりしていたようで、部屋に置いてあるという宝物を取りに行った。そして持ってきたものは……

「じゃーんっ! これ見てくれよ」

「なんだそれは?」

「うちの背中の皮だ!」

バネッサは日焼けでめくれた大きな皮を自慢気に見せてきた。それと太ももの皮が2枚。本当に夏休みの子供みたいだ。

「あなた、それどうするつもりなの?」

シスコがゴミを見る目でバネッサの抜け殻を見る。

「置いとくに決まってんだろうが。こんな大物は初めてなんだぜ。マーギン、なくさないように持っててくれよ」

マーギンは嫌な顔をする。

「なっ、なんだよ? すげぇだろ?」

「ま、まぁな」

マーギンは渡されたバネッサの皮をアイテムボックスにしまった。

「マーギンも胸の皮なら喜んだんじゃないかしら?」

人聞きの悪い事を言わないで欲しい。誰がそんなものを欲しがるか。

そんな事をしていると儀式の用意が整ったようで、会場へどうぞと促された。

「儀式って何をするのかしら?」

「いつもはハンナリーのラリパッパみたいなやつだ。今回のは感謝祭の儀式だそうだからちょっと違うのかもな」

会場に着くと準備が整い、皆が揃っていた。いつものようにミャウタンが出てきて、マナの心は親心から始まる。

「シスコ、お前の背中ガチガチじゃないか」

「ずっと帳簿管理とかしていたから当たり前でしょ。これでもタイベにきてからマシになったのよ。もう少し強く押して」

マーギンはシスコの首筋から肩甲骨あたりをグッグッと押してやる。これだけだとほぐれないかもしれんな。

《ヒール》

こそっと緩やかに治癒魔法を掛けながら押してやる。

「あっ、なんかすっごく楽になってきたわ」

「そりゃ良かったな」

しばらくそれを続けると、はぁ、楽になったわとスッキリシスコになり、穏やかな表情を見せた。治癒魔法は肩こりにも効くのか。初めて知ったな。

マナの心は親心が終わった後に太鼓が鳴り出す。

デンドンデンドンデンドンデンドン♪

なんか聞いたことのあるリズムだ。

「マナを押せー、マナを押せー、マナを押せー、マーギン。マナをー、押せよー♪」

なんだこの歌? なぜ俺の名前が入っているのだ。

「ねぇ、どうしてマーギンの名前が入っているのかしら?」

シスコも疑問に思ったようだ。

「知らんよ」

「まだ幸せになーれるー、つもりがあるーならー、お前のーマナをー、押せよ押せよ押せよー♪」

「マナって何よ?」

「俺も知らないんだよ。毎回マナを押せってのから始まるから、肩がほぐれるツボとかのことかもしれんな」

「ふーん、ならまた肩がこったら押してちょうだいね」

シスコはマーギンのツボ押しでスッキリ爽快したので、これからもやらせるつもりのようだった。

何回も同じ歌を歌った後はいつもの宴会。タレ中毒者達にタレを渡し、こっちもウナギをもらう。カタリーナへの土産として多めにもらっておこう。

「これ、美味しいわね。王都で売れないかしら?」

「同じ魚がいるかどうか分からんぞ。それに数が少ない魚かもしれんから、広めると自分が食べたい時にいなくなってるかもしれん」

「ならダメね。これは売らないでおきましょう」

商売より自分の利益を優先したか。まぁ、ウナギを売り物にする職人とか育てるの難しそうだしな。

「バネッサ、ロブスンの姿が見えないけど、どこかに行ってるのか?」

「あぁ、山の方まで調査に行ってるみたいだぞ」

「何人でだ?」

「単独だ」

単独の方が逃げやすいからロブスンなら問題ないと思うが、ちょっと心配だな。

「いつ頃出た?」

「2週間ぐらい前かな? もうすぐ戻ってくるんじゃねぇか?」

山まで行って戻ってくるならそれぐらいの期間か。こっちもギリギリまでここでロブスンの帰りを待つか。

宴会が一段落着いた頃に1人でミャウタンの所に行く。

「ミャウタン、今日の歌はなんだ? どうして俺の名前が入っている」

「マーギン様の名前の部分は本来、使徒様となのです。しかし、使徒様とお呼びするなとおっしゃられたので、お名前を使わせて頂きました」

「ということはお前が作った歌じゃないのか?」

「はい。豊作願いと感謝祭の時に歌う歌でございます。春と秋の2回だけ歌います」

豊作願いと感謝祭か。しかし、どちらにも合わない歌だ。他に意味があるのだろうか?

「なぁ、マナってなんだ?」

「マナはマナとしか……」

そうなんだよなぁ。フォースもそうだが、ちゃんとした意味を知ってるやつがいないのだ。もしかしたら神殿にヒントが隠されたんじゃなかろうか?

「ちょっと神殿に行ってくるわ。遅くなるかもしれないから起きて待ってる必要はないぞ」

「はい。使徒様の御心のままに」

マーギンは神殿に向かう。聖杖エクレールを試さないとダメなのだ。

神殿に入ると安置されている石像は以前のままだ。

「今からソフィアが託してくれたエクレールを試すからな」

ミスティの石像にそう話しかけ、エクレールを取り出す。

「えーっと、どう使うんだこれ?」

取り出したのは良いが、使い方が分からない。試しに治癒魔法を流してみるも何も変化はない。

ガインの手紙を読み直しても使い方は書いてない。特殊な使い方や詠唱が必要なら、それぐらいは書いてくれるだろう。それがないと意味がないからな。

杖にスイッチとかがあるかもしれないとあちこちいじってみる。

「おっ、これか」

上部に着いた石の台座部分をぐりっとねじってみる。

「おっ、ビンゴ」

蓋を開ける要領で回していくと上部と杖の部分が分かれ、杖の中に紙切れが入っていた。

「治癒魔法を流しなさい。あなたの事は嫌いだったけど、能力は認めてあげてもいいわ。せいぜい、いつまでも子供のミスティと仲良く暮らすことね」

これはソフィアからのメモか。あなたの事は嫌いだったとかわざわざ書かなくてもいいだろ? 全くムカつくやつだ。

と、思いつつも。ムカつくメモをアイテムボックスに収納しておく。一応ソフィアの遺言みたいなものだからな。

しかし、石が杖からはずれるようになっているということはエクレールは杖そのものより、この石に力があるのかもしれん。でもソフィアから指示は治癒魔法を流せか。さっきそれをやったけど、何も変化がなかったし、妖剣バンパイアみたいな力を吸われて増幅するような感じもしない。

これは俺がエクレールに認められなかったか、石化解除に効果がないのかまだ分からんな。

「カタリーナに頼んでみるしかないか」

マーギンはまだカタリーナが聖女になるかどうかの結果を聞いていない。聖女にならないとなったら、どうしようかなと悩むのであった。