軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

パーティーだよね?

「王妃様、どうしてこちらに?」

「成人の儀のやり直しをなさると伺いましたの。成人の儀には親も参加するものですのよ。残念ながら王は外せない用事がございましたので私だけですけど」

王まで来たらバアム家当主夫妻は泡吹いて倒れるんじゃなかろうか。ありがとう用事。

「マーギンっ、私のエスコートしてくれる?」

「ダメだ。俺はバネッサとハンナリーの父親代わりで参加すると言ってあっただろうが」

「えーっ。私もお父様来てないのに」

「ゴホンっ」

目に入らないようにしていた大隊長が咳払いをする。

「おっ、大隊長が王様代わりになってくれるらしいぞ」

「マーギン、自分は護衛任務中だ」

「ちょうどいいじゃないですか」

「王妃様の護衛なのだっ。貴様はローズがいない間は姫様の護衛をせねばならんだろうが」

「ダメですよ。今日はバネッサとハンナリーが優先です。元々は2人の為にやり直すんですから。趣旨をちゃんと理解して下さい。無理をおっしゃるなら、やり直しをする必要のないカタリーナの参加はさせませんよ」

「ぐぬぬぬぬっ」

「それにここはバアム家のお屋敷ですよ。護衛なんて不要でしょうが。それとも大隊長はバアム家の誰かが何かすると疑ってられるんですか?」

マーギンがそう言い返すと、バウム家当主夫妻と長男は顔が真っ青になる。

「スターム、引きなさい。マーギンさんの言う通りです。ごめんなさいね、私が参ったばかりに大事になってしまって」

「ええ、本当…」

ゲシッ

つい本音が出そうになったマーギンの太ももに大隊長の膝が入る。

「ぐぉぉぉぉっ」

悶絶するマーギン。

「マーギンさん、カタリーナのエスコートは私が致しますから、どうぞバネッサさんとハンナリーさんのエスコートをしてあげて下さいね」

「は、はい」

バアム家当主夫妻と長男の顔色は戻らず、エドモンド達も跪いたままだ。

「今回はフェアリーの母として参っただけですから、もう跪く必要はありません。楽になさい。居心地が悪いわ」

そう王妃が言った事で皆は立ち上がったが、フランクにできるわけではない。

「カタリーナ、お前は城から着替えてきたのか? 皆は他の部屋でまだ支度中だぞ」

「うん、マーギンに早く見せたくて着替えてきたの。どう? 似合う?」

「あぁ、お姫様みたいだぞ」

姫に向かって姫様みたいと褒めるマーギン。

「やったっ! マーギンもその姿よく似合うね。どこかの宮廷魔道士みたい」

「この服はもらいものだ。アイリスの成人の儀の時に着たから、今回も着ろと言われたんだよ。俺は堅苦しいからこの服嫌いなんだよ」

「そうかも。よく似合ってるけど、マーギンっぽくないね」

マーギンっぽいってどんなのなんだよ?

王妃、姫、大隊長と普通に話しているマーギンを見て皆は驚いていたのだった。

そして、メイドのアデルがやってきた。

「マーギン様、ご無沙汰をしております」

「アデルさん、お久ぶりですね。その節はありがとうございました」

「こちらこそ大変貴重な生地を頂きありがとうございます。頂きました生地でこの服を仕立てさせて頂きました」

「すごく上品な服ですね。よくお似合いですよ」

「お褒め頂きありがとうございます」

そうニッコリ微笑むアデル。

「皆様のお支度がお済みになられましたので、エスコートをお願い致します」

ということで男性陣が迎えにいく。

「なっ、なんだよ。うちにはこんなの似合わねぇって言いてぇのかよ?」

バネッサが女性らしい服に身を包み、きちんと化粧をして、金の髪飾りを着けていた。

「馬子にも衣装だな。黙ってりゃどこかのお嬢様みたいだぞ」

「なんだよ馬子って?」

「さぁ?」

マーギンも馬子がなんなのかは知らない。

「う、うちも似合うてるかなぁ」

「おぉ、ハンナリーも可愛いぞ。しっぽも上手く隠せたな」

「しっぽなんかあらへんわっ」

シスコは本当にいいとこのお嬢さんだからな。こういう服を着ても何も違和感がない。父親のフォートナムも涙ぐんでるしな。

「アイリス、とても愛らしいぞ」

「ありがとうございます。お父さん」

エドモンドはもう泣いてる。あの時は母親の墓にしか見せようとしてなかったから、ちゃんと娘の晴れ姿を見せてもらって感無量なのだろう。

ロッカは強そうだ。いらぬ事を口走らないようにしよう。

「マーギン、どうだ?」

オルターネンが恥ずかしがるローズを引っ張って連れて来た。

「わ、私はいいと言ったのに、む、無理矢理着せられたのだ……」

スッとしたスリムなデザインのドレスを纏ったローズ。髪の毛もアップにしてアクセサリーも着けてお化粧もしている。

「その姿を拝めて良かったよ。とても綺麗だ」

「まっ、またお前はそのような事をっ」

マーギンにまっすぐ褒められて真っ赤になるローズ。

リッカは大将と2人でまごまごしている。雰囲気に飲まれたんだな。

マーギンはバネッサとハンナリーをエスコートして会場に戻る。

乾杯の音頭はバウム家当主にお願いしたけど、ちょっとかわいそうだったかもしれん。王妃の前でいきなり乾杯の挨拶をさせられたので、シャンパンがグラスからこぼれるぐらい手が震えていたのだ。

乾杯をした後に料理が運ばれてきた。人数はそれほど多くはないけど、ビュッフェスタイル。コース料理だと慣れてない人達が多いからこちらの方が良いだろうとオルターネンが指示していたようだ。

「遅くなりました」

パーティーが始まった時にホープとサリドンがやって来た。

「遅いぞ。王妃様もおられるから先に挨拶をしろ」

「えっ? あっ、失礼致しました」

オルターネンにそう言われて王妃に跪いて挨拶をする2人。

「お前らも来たのか?」

「マーギンさん、隊長に呼んで頂いたのですよ。お祝いを用意していたら遅くなってしまって」

「お祝い? 正式な成人の儀じゃないぞ」

「それでもなんです」

サリドンとホープは女性陣にプレゼントを渡していく。中身はブローチらしい。リッカまでもらって恐縮していた。

それからそれぞれテーブルに着くが、自然とマーギンは王妃、大隊長、バウム家当主夫妻、エドモンドのところに座らされる。

大将女将さん、シスコの親父さん、ロッカの親父さん達は別テーブル。

オルターネン含む特務隊、長男、ノイエクスは皆のところだ。なぜ俺だけがこんなテーブルに座らされるのだ?

「王妃様、社交会でハンナリー商会を他の貴族の方々に紹介して頂いたと伺いました。ありがとうございます」

「お安い御用ですわ。少しはマーギンさんの援護になりましたかしら?」

「えぇ、強烈な援護です。これからハンナリーが大変だとは思いますが、シスコが上手くサポートしてくれるでしょう」

「あのフォートナム商会のお嬢さんね。貴族相手に上手くやれそうかしら?」

「まぁ、なんとかするでしょう」

「商会では前に頂きました特別な蜜は取り扱いされますの?」

「バレットフラワーの蜜はどうでしょうね。前回のはタイベで採取したものなんですけど、本来は採取するのに命懸けなのですよ」

「命懸け?」

「はい。バレットフラワーは魔木なんです。蜜で獲物を呼び寄せてその獲物に種を打ち込みます。自分は魔法で採取できますから危険ではないのですけど、他の人は危ないでしょうね。一応、王都でも栽培できるか試すつもりではありますが」

「マーギンさんがなさるのかしら?」

「いえ、植物を研究している者がおりまして、その者に任せる予定です。安全に採取できる方法は考えてありますけど、王都で上手く育つかどうかわからないのです。あれは南国のものですからね」

「温室栽培をなさるのね?」

「はい。防刃服の素材を開発したのもそいつなので、防刃服を売ったお金を資金にして温室を作ろうかといってるんですよ」

「上手くいけば取り扱いなさるのね?」

「量産までは無理でしょうけどね」

「それは楽しみですわ」

「もうなくなりました?」

「ええ、あんまり美味しくて」

と少女のように笑う王妃。

「春にまたタイベに行きますから見付けたら採取してきますよ。カタリーナに魔木の実シロップを渡したんですけど、それも試されます?」

「魔木の実シロップ?」

「魔ギュウが食べてる実ですね。とても甘い匂いがしますが、味は甘くないのです。それをシロップに漬けると良い匂いに甘さが加わって上等なシロップになりますよ」

「それは取り扱いされますの?」

「魔木の実を採りに行くのが面倒なので取り扱わないです。カタリーナが気に入ったので持って帰ってきただけなのですよ。まだ作ったシロップが家に残ってますから、今度お渡ししますね」

「それは楽しみですわ」

「マーギン、魔ギュウはまだ残っているのか?」

大隊長は肉の方が気になるようだ。

「まだ大量にありますよ。皆の取り分も自分が預かってますからね」

「うむ、では特務隊の慰労会でもやらねばならんな」

「あ、大隊長。自分はしばらく王都を離れますので、タジキに肉を預けておきます」

「離れる?」

「春には戻ってきますよ。個人的な調査ってやつです」

そう説明すると大隊長はなんのことか分かってそれ以上追及してこなかった。

「近々、ライオネルにキルディアが出ます。今回の北の街の討伐応援でもキルディアが出たみたいですけど、問題なかったようです」

「カザフ達が瞬殺したと報告を受けた。やつらはそこまで腕を上げたのか?」

「みたいですね。ライオネルの組合から王都に応援依頼が来ると思いますので、次は特務隊が討伐に向かわれるのが良いかもしれません。星の導きとカザフ達は王都に残しておくことをお勧めします」

「分かった。そのへんはオルターネンが考えるだろう」

「大隊長殿、タイベにも特務隊を派遣されることはありますか?」

エドモンドが特務隊をタイベに派遣出来るか大隊長に質問をする。

「まだ組織として動けてはおらぬからな。タイベはハンター組合と連携すると聞いているが?」

「そうではありますが、指導に来て頂けるならばと思いまして」

「それは検討しておこう。だがまだまだ先になると思っておいてほしい」

マーギンはエドモンドの言葉を聞いて、ミャウ族が演説していたことを思い出していた。春にタイベに行ったら調査しておいた方が良いだろうなと思うのであった。