軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

マギュウ狩りに行く

取り敢えず大隊長に旨い魔物を狩って来るからタイベに行く前に訓練の打ち上げをしましょうと約束をして騎士隊本部を出た。

「マーギンはこの後どこに行くのだ?」

大隊長の部屋を出たらオルターネンがこの後の予定を聞いて来る。

「職人街に顔を出してからハンター組合に行くつもり」

「ならば一緒に行こう」

ゆっくり休めばいいのに付いてくる特務隊。

ー職人街ー

「あらぁ、こちらはどなたかしら?」

ほぼ完成した昼のシャングリラに行くと出迎えてくれるシシリー。

「魔物討伐をする騎士隊長。特務隊のオルターネン様。ローズのお兄さんだよ。後の二人は部下のサリドンとホープ」

シシリーにオルターネン達を紹介する。

「シシリーと申します。職人街の開発を行っているマーギンの手伝いをしております」

シシリーはまともな挨拶をする。

「オルターネンだ。ここは随分と活気のある場所なのだな」

「はい。マーギンがこれまで個々で仕事をしていた職人達をまとめ上げ、総合商店として開発された施設になります。お時間がございましたらご案内させて頂きます」

「では頼もうか」

おぉ、さすが夜のシャングリラの後継者としてババァに認められているだけのことはある。こんなシシリーは初めて見たな。

「マーギンもまだちゃんと見てないでしょ?」

「そうだな。もうオープンするんだろ?」

「えぇ。もう商品も並んでるわよ」

そういったシシリーはうふふと笑ってマーギンに腕を組んだ。それを見たオルターネン達はギョッとする。

「さ、ご案内いたしますわ」

「シシリー、手を離せよ」

「あらぁ、いいじゃない。また居なくなっちゃうんでしょ?」

「まぁな。旨い魔物を狩ってからタイベに行って来る」

「私も行こうかなぁ」

「何言ってんだよ。今からお前の力が必要なんだろうが」

「もうっ」

と、ちょっと拗ねたフリをしながらガッチリ腕をキープするシシリー。もう離しそうにないので諦めたマーギン。

シシリーはマーギンに腕を組んだままオルターネン達に職人街の店を案内したのであった。

「マーギン、ここは凄いな」

ホープが一番この店の凄さを理解したようだ。

「面白いだろ?既製品の販売、特注品の受付とか色々やるんだよ。後は魔道具の修理とかもな。業務用の魔道具もあるぞ。シシリー、脱穀機や精米機って出来てるよな?」

「ええ、預かってるわよ」

それも業務用魔道具の所に置いてあるそうなので見学しがてらもらっておいた。

「これいくらになった?」

「お金は不要だと言ってたわ。販促品にするんでしょ?」

「そのつもりだけど」

「なら注文とって来てね」

どちらも100万Gで販売するようだ。個人では買えないだろうから、売り先を考えないとな。

その後、パン焼き機も受け取り見学終了。

「お忙しい所お越し頂きありがとうございました。うちのマーギンをこれからも宜しくお願い致します」

そう別れ際に挨拶をしたシシリー。うちのマーギンってなんだよ?

ー組合に向かう道ー

「あのシシリーとはどういう関係だ?」

オルターネンがシシリーとのことを聞いてくる。

「彼女は夜のシャングリラという娼館の元遊女で娼館の後継者候補。あの施設を作るのを手伝ってくれてるんだよ」

「お前は娼館に出入りしているのか?」

「この国に来た時に右も左もわからない俺の面倒を見てくれたんだよ。一番の恩人は亡くなっちゃったけど、その娼館には今でも頭が上がらないんだよね。それに今もこうして手伝ってくれているしね。シシリーがいなければあの施設は出来てないよ」

「娼館に遊びに行っていた訳じゃないんだな?」

「亡くなった人が元気になったら指名する約束をしてたんだけどね。残念ながら…」

マーギンはそう言った顔を伏せた。

「遊女に惚れていたのか?」

「遊女とか関係なく、いい女というかいい人だったよ。ロクでもないやつが死なずに、そういう人が死ぬ。世の中って理不尽なもんだよね」

その後、オルターネンが何かを聞いていたようだが、マーギンはタバサがマーギンの話を楽しそうに聞いていた顔を思い出して、オルターネンの声は耳に入らないのであった。

ーハンター組合ー

「おっ、来たか」

ここで待ち合わせをしていた訳ではないのだが、ロッカ達全員がここに居た。北の街の事はすでに報告をしてくれているようだ。

「で、マーギン。肉を狩りに行くんだな?」

「明々後日に出発かな」

「マーギン、赤毛マギュウの事も組合長から聞いたぞ。すぐに行こう」

ロッカ達はすぐにでも行きたいようだ。ロドリゲスからいかに旨いやつか説明を受けたのだろう。

「なら明日出発するか?」

「そうしよう」

ということで休みもろくに取らずに明日の出発となったのだった。

ー翌々日ー

「改めて見るとかなり険しいな」

赤毛マギュウのいる場所の近くまで移動し、野営をして朝から岩場を登る事にしたのだった。

そして、朝に登る岩場を改めて見上げたロッカがそう呟いたのだった。

バネッサ、カザフ、ハンナリーは登るのに問題はないだろう。しかし、他の皆は足場がないと無理だな。

「これは本当に登れるのか?」

オルターネンも無理だろ?といった感じで聞いてくる。

「ちい兄様はサリドンとホープが登りやすいようにサポートしたらいいよ」

「サポート?」

「そう。土魔法で足場が無い所に足場を作るんだよ。試しにやってみるから見てて」

マーギンは足場と手で掴める物を魔法で作って見せる。

「バネッサ、今作った足場を使って登ってみてくれ」

「こりゃあ楽で良いな。クナイをどう刺そうか悩んでたんだよな」

バネッサはクナイを岩の裂け目とかに刺しながら登るつもりでいたようだ。それをするには登るルートを見付けなければならないから難易度も高い。

「俺が全部やってもいいんだけど、特務隊の訓練だと言うなら、特務隊の分はちい兄様がやってね」

オルターネンはやってみるということで、ゆっくりだが足場を作って行くのだった。

こちらはバネッサとカザフが先行して登ってもらう。マーギンが作った足場を登るルートを二人が皆に見せるのと、軽い人から先に登った方がいいだろうとの理由だ。ロッカが先に登って落っこちて来たら全員巻き添えを食うからな。と、いらぬ事を考えたマーギンはロッカにギロリと睨まれる。

「なんだよ?」

いらぬ事を考えたマーギンは悟られまいと平静を装った。

ハンナリー、トルク、タジキ、シスコ、アイリス、カタリーナと続いた後にロッカ、ローズが登る。

最後尾はマーギンだ。

マーギンは足場を作りながら上を見上げる。スカート姿ではないが、下から見上げるローズは良い。うむ、眼福である。

ゴスッ

「ウゴっ」

ずるるるるるーっ ベチャッ

オルターネンの出した土魔法の突起がマーギンのケツを突き、不意打ちを食らったマーギンは岩場を落ちていった。

「こんな所でやるなよっ。危ないだろうがっ」

オルターネンに怒鳴るマーギン。

「貴様が不埒な目で見ているからだ」

「そんな目で見てないっ」

「嘘つけっ 嬉しそうに頷いていたではないかっ」

「そそそそそれは、皆上手く登るなぁって見ていただけだっ」

図星を突かれたマーギンはどもる。

「ほら見たことかっ」

「えいっ」

ドゴッ

「うごっ」

マーギンは逆ギレしてオルターネンの腹に土魔法で突起を出して反撃。

「貴様ぁぁぁっ」

オルターネンは岩にしがみつき落ちるのを回避し、怖い顔をしてオニターネンに変貌する。

「やべっ」

ちょっと本気で怒ったオニターネンに気付いたマーギンは足場をバンバンっと出して、Gのようにシャカシャカっと登り始めた。

「逃さんっ」

オニターネンはマーギンを仕留めようと、突起をたくさん出して攻撃する。

「遅い遅いっ」

シャカシャカっ

マーギンはすでにバネッサを抜かして足場を作って登って逃げる。

「待てえぇぇっ」

オニターネンも負けじとマーギンを追う。

「何やってんだあの二人?」

皆が呆れながら、どんどん足場を作って登って行く二人の後をゆっくりと登って行く。

マーギンとオニターネンの鬼ごっこのお陰で、たくさんの足場が出来て皆も登りやすくなったのと、マーギンを必死に追う事で、オルターネンの土魔法の腕前が飛躍的に上がっていくのであった。