軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

華のあるちい兄様

見学していた騎士達は騒然となっていた。各隊長が全員負けたのだから当然である。

「特務隊に入るとたった数ヶ月で隊長クラスに勝てるようになるのか?」

「あいつら受け身ばっかりしてたんじゃないのか?」

と、口々にどういう事だ?とざわざわしている。

「大隊長、どうします?もうこれで終わりますか?」

「オルターネンは試合に出ないのか?」

「そちらの3隊長がまだやれるなら同時に対戦しますか?」

「3対1か… オルターネン。どうする?」

「私は構いませんよ」

「オルターネン、お前は3対1でも勝てるというのだな?」

と、聞いてきたのは第二隊長。ついこの前までオルターネンの直属の上司だった人だ。

「もちろん」

オルターネンがそう答えると、第二隊長が大隊長にこの試合を受けると返答した。

大隊長より昼休憩後に試合を行うと言われ、早めの昼飯にすることに。

マーギン達は飯を食わずに、昼からの対戦の打ち合わせを行う。

「ちい兄様、向こうは多分ちい兄様を囲みますよ」

「だろうな」

「どうやって対処します?」

「まぁ、なんとかなるだろう」

「次は本気の攻撃をしてきますよ。早めに昼休憩にしたのも向こうの作戦を決めさせる時間を取るためでしょう」

「ま、出たところ勝負しかあるまい」

んー、オルターネンはそう言うけど、なんか嵌められて負けそうな気がするんだよな。何度か経験したら対応出来るだろうけど、初見でやられるとまずい攻撃とかあるからな。最後にオルターネンが負けると、騎士達の特務隊に対する考え方が変わらないままになってしまう可能性が高い。

「ロッカ、ラプトゥルの時の戦い方をちい兄様に体験させる。お前が手本になれ」

「私に上手くやれると思うか?」

「出来るだろ。あの時のイメージはちゃんと残ってるか?」

「それは残っている」

「なら大丈夫だ。ちい兄様、ホープ、ちょっと打ち合わせをするからこっちに来て」

と、オルターネンとホープを呼ぶ。

「ロッカがちい兄様役だと思って。で、俺がロッカの正面、ちい兄様が横、ホープが後ろに回ってロッカを囲む。正面の俺が攻撃をして、ロッカがそれを受けるなら、ちい兄様が横から攻撃、バックステップで躱したらホープが攻撃する」

「かなり卑怯な戦法だな」

「もしかしたらこんな攻撃をしてくるんじゃないかと思う。横並びで同時に攻撃してもバックステップで躱されると分かってるだろうし、確実に勝ちに来るなら3人同時に来るんじゃないかな」

「では、ロッカが俺の役割をするのではなく、俺が自分でやればいいではないのか?」

「それだとちい兄様は今ダメージ受けるじゃん。躱し方知らないでしょ?」

「やってみなければわからんだろうがっ」

と、憤慨したのでまずはオルターネンに体験して貰うことに。ロッカとオルターネンが入れ替わりだ。

マーギンはロッカとホープにヒソヒソと作戦を話してからいざ実戦。

構えるオルターネンに対してマーギンが牽制している間にロッカが横に、ホープが後ろに回ってオルターネンを囲んだ。その瞬間、マーギンが攻撃する。

「甘いっ」

オルターネンがそれを受けようとした瞬間にマーギンはバックステップをして攻撃をストップ。

「がっ」

ロッカが横から攻撃したのがオルターネンに入った。

「はい、ちい兄様死亡。負け確だね」

「もう一度だっ」

次はバックステップした所をホープにやられる。

その次はマーギンが攻撃をせずに下がると思い、横と後ろを気にしていた所をそのままマーギンにやられた。

「ね、対処出来ないでしょ?多分第二隊長が俺の役をやる。で、ロッカの役が第四隊長だろうね。多対1で囲まれるとかなりヤバい。これは相手が魔物でも人間でも同じだ」

「ロッカ、お前は対処出来るんだなっ」

「どうでしょうね。でもやってみますよ」

マーギンはソフトプロテクションを各自に掛けるからロッカに思いっきりやれと指示して配置に付く。

ロッカを3方から囲み、マーギンが正面から攻撃を仕掛けた。ロッカはそれに呼応するかのように斜め上からマーギンを斬り付けようとする。オルターネンはその隙を見逃さず、ロッカを攻撃しようとした瞬間、

「ぐほっ」

一瞬何を食らったか分からないオルターネン。

ロッカはマーギンは斬れないと判断して、そのまま回転しながらホープを斬った。ホープも一瞬の出来事でロッカの下段からの斬り上げに対応出来なかったのだった。

「はい終了。二人ともそんなにダメージは残ってないね?」

ソフトプロテクションを掛けているので、多少の痛みしか残ってないはずだ。

「マーギン、俺はどんな攻撃を食らったのだ?」

マーギンはロッカが何をしたか説明をした。

「剣の軌道を変えるのか…」

「こんな感じだね」

マーギンはオルターネンにやってみせる。

「そのまま正面の奴が攻撃してきたらどうするのだ?」

「その時は横に突きを放つのを身体ごとやればいいんですよ。相手をふっとばすつもりで突けばいい。正面も後ろからの攻撃も躱す事に繋がるからね。その代わり喉を突かないでね。木剣でも貫いてしまうと思うから。そうなったら治癒魔法でも治せないと思う」

「分かった」

オルターネンはマーギンのやったイメージを身体に焼き付けるかのように素振りを繰り返すのであった。

ー休憩後ー

「始めっ」

騎士隊の隊長はマーギンの予想した通り、3方からオルターネンを囲んだ。そして正面に立ったのは第二隊長。

「オルターネン、行くぞっ」

第二隊長が振り上げた木剣をオルターネンに振り下ろす。これがフェイントなのか本気の攻撃かを瞬時に判断しなければいけない。これは目で見て判断していたら分からなかったな。

オルターネンはマーギンが目隠しで戦う訓練をさせていた意味を今実感する。攻撃を仕掛てきた第二隊長からは殺気が出てないのだ。その代わり、横にいる第四隊長から殺気が出ているのがよく分かる。

オルターネンは第二隊長の攻撃を受けるフリをしながら、横から突っ込んできた第四隊長に突きを食らわせ、ロッカが見せた攻撃を第二隊長、そのまま流れるように後ろからも襲って来ていた第三隊長も一振りで斬ったのだった。

「勝者オルターネンっ」

うぉぉぉーーーっ

今の勝負を見ていた観客席にいる騎士達から歓声が上がった。

あまりにも見事なオルターネンの一撃は騎士達の心を掴むのには十分なのであった。