軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

どこでそんなセリフを覚えたのだ?

ー特務隊vsマーギン&カザフとタジキー

張り詰める空気の中、開始の合図もなくバトルが始まる。

バッ、とカザフが突進した真後ろにタジキとマーギンが続く。初めの狙いはホープだ。

ホープが突っ込もうとした瞬間にカザフが飛び出した事でホープはワンテンポ遅れてその場で留まり、攻撃に備えた。

「来いっ」

ホープは剣の師匠として二人を迎え撃とうとしたが、カザフとタジキがパッと二手に別れて横をすり抜ける。ホープの目の前にいるのはマーギン。

「くそっ」

ホープはまず自分が潰されるのだと思い、木剣を振り降ろした。しかし、それをスルンと避けたマーギンはサリドンの前にパッと移動し、中段に構えていた剣先をかかと落としの要領で強制的に下げさせた。

ホープをすり抜けたカザフとタジキはオルターネンに向けて攻撃体勢に入る。

「いきなり俺を狙うか。上等だ、来いっ」

迎え撃とうとするオルターネン。その瞬間、カザフとタジキは方向転換し、ホープを背後から攻撃しようとするフリをした。

「ちっ、フェイントのフェイントとは生意気なっ」

このままではホープがやられると思ったオルターネンは木剣の構えを解き、ダッシュした。

ガッ

「グッ」

マーギンがオルターネンのダッシュしようと足を出した所に土を少し隆起させたのだ。

足を取られて転びそうになったオルターネンはコケまいと踏ん張る。ホープに向かっていたカザフとタジキがくるんと振り向き、オルターネンを攻撃した。

「これを狙ってたのかっ 甘いっ!」

コケまいと踏ん張った方向へ体重移動が始まっているのにも関わらず、二人を薙ぎ払うように木剣を振ろうとするオルターネン。

ガシンっ

バキっ バキっ

マーギンが土の柱を伸ばし、オルターネンの木剣を止めた所にカザフとタジキの攻撃が入った。

「今だっ」

カザフとタジキは深追いせずにパッと離れ、カザフはホープに投げクナイを食らわせ、剣先をマーギンに踏まれていたサリドンはタジキの攻撃を食らった。

「よくやった。俺たちの勝ちだ」

「いやっほーーーっ!俺達が特務隊に勝ったぜっ」

「まだ一撃食らっただけだっ」

「ちい兄様、往生際が悪いですよ。あれが真剣だったら死んで終わりです。負けを認めるように」

「くそっ」

オルターネンの口癖のようになって来たクソっの叫び。

「ちい兄様、個々の能力を把握して作戦をちゃんと立てればこうして格上にも勝てるのですよ」

「今のはマーギンの力ありきだろうが」

「俺はちい兄様が出来る事しかしてませんよ」

「えっ?」

「サリドンの動きを封じて、ちい兄様の足元に土を少し隆起させ、剣を振れないように土の柱を出しただけです。ちい兄様もやろうと思えば同じ事が出来るでしょ?」

「お前まさか…」

「そう。これはちい兄様にも出来る戦法なんですよ。ちい兄様は己の力を磨くと共に、常に色々な人の能力や性格を把握して動かさねばなりません。今日まで皆の動きや性格を掴んでいれば、今朝のバトルもバネッサとアイリスだけにやらせるような作戦を取らなかったはずです」

「そうか… これは俺にも出来るのだな」

「はい。こっちは特務隊の事を理解していますから作戦も立てやすかったのです。これは魔物討伐も同じです。魔物の事をよく知っていれば作戦の立て方も変わって来ますからね。情報の重要さを理解してもらえましたか?」

「分かった」

オルターネンはそう返事をせざるを得ない。

「サリドン、お前は剣の動きを封じられても攻撃魔法が使えるだろうが。とっさに魔法を使えないと意味がないぞ。ホープ、自分の狙いを外された時の事を想定していないから、先手を取られたら慌てるんだ。こうなった場合はこう、とか初めから想定しておけ」

マーギンは痺れを切らしたようにアドバイスをし始めた。実戦訓練を始めてからこれまで全く何も言わなかったのだ。

「次は星の導きもバネッサ以外特務隊に加われ。ちい兄様とロッカのどちらが指揮を取るか決めて作戦を練ってくれ。作戦が決まったら勝負開始な」

マーギンはカザフ達と作戦会議に入る。

「さて、次はこちらが圧倒的に不利な状況だ。本来なら逃げるべきシチュエーションだな。でも戦わざるを得ない時もある。こんな時はどうする?」

「無理に攻め込まずに逃げられる方法を考えながら戦う」

カザフ達がそう答える。

「正解!実戦ならそれでいい。でもここは逃げ場がないから戦い続けないとダメだ。どうやって戦う?」

「うーん、オルターネン様かロッカ姉を先に狙う?」

タジキは先程の戦いを参考にした。

「さっきと違う所はどこだ?」

「人が増えた」

「どんな人が増えた?」

「あっ、遠距離攻撃出来る人が増えた」

トルクが答える。

「そう。シスコとアイリスだ。まずはあの二人を潰す。カザフはアイリスを、タジキはシスコを狙え。向こうがシスコとアイリスを自分達と違う場所に配置したら、さっきみたいにロッカを狙うふりをしてから反転してシスコ達を狙う。ロッカは必ずお前らを追うだろう」

「ロッカ姉達の後ろに配置したらー?」

「開戦と同時に俺が先頭で突っ込むからカザフとタジキは後ろに続け、ロッカとちい兄様はまず俺を狙うからその隙を抜けてシスコ達を狙え。お前らが抜けたら俺は下がる。ロッカとちい兄様がカザフ達を追えばそこをトルクが矢で射れ。ロッカとちい兄様が俺を追えば、サリドンとホープを狙え。まぁ、十中八九ちい兄様達はカザフ達を追うだろう」

「どうしてー?」

「遠距離攻撃が出来るものを潰されると、一気に攻撃パターンが減るからだ。ロッカは特にその事を理解しているだろう。遠距離攻撃者が敵にいるとヤバいんだ。意識の外から攻撃をされるというのはそれほど危険なんだよ」

「意識の外から…」

トルクは何か考えているようだ。

「で、先に想定しておかないといけないことがある」

「何を想定するんだ?」

「アイリスの使うスリップだ。いつ使うかわからんが、自分がヤバイと思った時には必ず使う。お前らは常に足が滑ってバランスを崩すという事を想定しておけ。スリップには抵抗しても無駄だから、足が滑ったら素直に倒れて、コケた事を攻撃に活かせるように考えておけよ」

「分かった」

「で、恐らく最後はまともな力勝負になる。誰が生き残るかわからんが、1対1で正面きっての対峙になったら俺は何もしないから自分達の力で戦ってみろ。その時は身体強化を使っていいぞ」

こうして、こちらの作戦は決まったが向こうはまだゴチャゴチャと言い合っている。まだ暫くかかりそうなので、塩入りの飴玉を舐めて、軽く水分補給をしておく。

水分補給が終わってもまだ決まらなさそうなので強制的に始めるか。

「トルク、ちい兄様を狙え」

「えっ?もう射っていいの?」

「言い合いしている今がチャンスだからな。それと当たらんから気にすんな。ちい兄様が怒鳴ったらバトル開始だ」

「当たったらどうするのー?」

「次々と射れ。矢だけで全滅させられたら楽でいい。油断していた向こうが悪い。現実でもこういう事があるからな。お前らも現場に出たら気を付けておけ」

ガキ共はそういうものかと納得した。

ヒュッ

トルクが遠慮なくオルターネンを狙って矢を射った。

「だから、先ずはこう… クッ」

カシッと木剣で矢を払ったオルターネン。

「マーギンっ、まだ…」

まだ作戦が決まってないと言いかけたオルターネンはマーギンが突進してくるのが目に入った。

「散開っ」

オルターネンが指示を出すと、シスコとアイリスは後ろに下がった。

「貴様っ、卑怯だぞっ」

「作戦が決まったら開始って言ったろ?」

マーギンは自分達の作戦が決まったから戦闘を開始したけど何か?とでも言いたげだ。

想定通りオルターネンはマーギンと対峙するように構えたので、マーギンが後ろに回した手でカザフ達にハンドサインを送ると、カザフとタジキはマーギンを踏み台にしてオルターネンを飛び越えた。

「うおっ」

カザフ達を見上げるオルターネン。

「隙ありっ」

どーんっ

マーギンはオルターネンの胸にヤ◯ザキックを食らわせた。 鳩尾(みぞおち) に食らわせたらそれで終わりだったのだが、仕留めるのはガキ共にやらせないとダメなのだ。

「きっさまぁぁぁっ」

逆ギレするオルターネン。

「シスコとアイリスがヤバいっ。アイリスを頼むっ」

ロッカがそう叫んでシスコの援護に入った所をトルクが射ち抜いた。

「ぐっ…」

「ロッカ、お前は死亡判定だ、離脱しろ」

誤算なのはオルターネンがアイリスの方へ向かわず、サリドンが向かった事だ。カザフが炎攻撃者二人に挟みうちになった形だ。トルクは誰を狙うかな?

マーギンはトルクが誰を狙うか楽しみにする。カザフの援護か、予定通りオルターネンを狙うか…

予想に反してトルクは迷わずシスコを狙った。恐らくタジキがシスコの矢を躱せないと判断したのだ。シスコはタジキしか意識していなかったので「キャッ」と悲鳴を残して倒れる。マーギンはそれを見てオルターネンとそのまま対峙をすることに。後はガキ共の判断に任せよう。ホープがトルクを狙いに動いたので、土を隆起させて躓かせるとバランスを崩した時にトルクの矢を受け死亡判定。うむ、見事である。

アイリス・サリドンvsカザフ

サリドンはカザフに追い付けないと判断し、ファイアバレットを撃つ。その時にアイリスがカザフに「スリップ」を掛けた。

ゴロンゴロン

カザフは抵抗せずに回転して転がる。

「きゃーーっ」

アイリスの目に映ったのは自分に向かって飛んでくるファイアバレット。それに応酬するようにファイアバレットを大量に発射。

おっと、危ない。

マーギンはサリドンの前に土壁を出して囲む。死亡判定なので閉じ込めたのだ。壁だとオルターネンが防御として出したと勘違いするかもしれないので囲んだのだ。

ゴロンゴロンと転がったカザフはそのままアイリスの前まで進み、パンっと受け身を取って立ち上がり、アイリスを討った。

残すはオルターネンのみ。

マーギンはオルターネンの木剣を躱しながら様子を見ていたが、オルターネン一人になったところで、攻撃してきたオルターネンの手首を取り、捻って転ばせた。オルターネンはサッと受け身を取った時にはマーギンがその場から離脱していた。

マーギンが離れた事でトルクの放った矢がオルターネンに向かって五月雨に飛んで来る。

「クッ」

オルターネンはそれを目にも止まらぬ速さで木剣で弾いていく。その隙を狙ってカザフとタジキが襲い掛かる。

うーん、カザフ達に剣の腕がもっとあったら討ち取れていたなぁ。

間合いも腕も足りない二人はオルターネンに一振りで同時に薙ぎ払われて死亡判定。

残すはトルクのみとなった。

「ガッ」

ドサッ

オルターネンがトルクに攻撃するためにダッシュしようとした瞬間に倒れた。

「ふぅー、ミッションコンプリート」

それを見たトルクはそう呟いたのだった。