軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防具の手配

ーグラマン工房ー

「こんちはー」

ぞろぞろと店舗に入るマーギン達。

「いらっ… お嬢さん。お帰りなさいませ」

「今日はお客さんを連れて来た。ホープさん、好きなのを見て行って下さい」

ホープとサリドンは店に飾られている剣を見る。

「こんな小さな店に結構たくさん置いてあるのだな」

「小さくて悪かったな」

と、親父さんがやって来てた。

「すまんな、グッラマン殿」

オルターネンにグッラマンで認識されている親父さん。

「こ、こ、こりゃはひつれいを…」

未だに貴族に慣れてない親父さんは噛みまくる。

「クックック」

「マーギン、てめぇ、何笑ってやがんだ」

「いやさ、変わんないなって。ちなみに店が小さいと言った奴も貴族だぞ」

「えっ?こりゃりゃりゃしつれ…」

「言葉遣いは気にしなくてくれて良い。我々はロッカ達のパーティに教えを請う身だ」

オルターネンは親父さんにホープに気を使う必要は無いと伝える。

「え?」

「親父さん、オルターネン様達は特務隊と言ってな、魔物討伐をする専門部隊として創設されたんだよ。で、魔物討伐に慣れるまでロッカ達と行動を共にするんだ」

マーギンが現状を説明した。

「ロッカ、その話は本当か?」

「そうだ。それと、しばらく騎士隊の訓練所でマーギンの指導を受ける事になった。今日はホープさんの剣のメンテナンスと良いものがあれば新調を考えていてな」

親父さんはロッカの言葉を聞いて、キランと目が光った。

「ホープ様、良ければ今お使いの剣を見せてくれませんか」

仕事になるとちゃんと喋れるのも前と同じだな。

ホープは鞘ごと親父さんに剣を渡す。それをスラッと抜いて眺める。

「だいぶ剣に負担を掛けてるな。綺麗に研げてはいるが、もうこの剣は長くは持たん」

「何?」

「おそらく慌てて無茶な使い方をしたんだな。芯がズレとる。それに…」

「それになんだ?」

「ちょいと体格に合ってねぇな。ちょっと待ってろ」

親父さんはケースに仕舞ってある剣を取り出した。

「お前さんにゃこれぐらいの長さが合ってるんじゃないか」

親父さんさんが渡したのはやや短めの剣。

「おっ、俺の背が低いと言いたいのかっ」

身長は175cmあるかないかぐらいのホープ。小柄ではないが、マーギンやオルターネンと比べると小さい。

「そんな事は言ってねぇ。無理して長い剣を使うから剣に負担を掛けてるんだ。嘘だと思うなら、中庭で試し振りをしてみろ」

ホープはちょっと怒りながら、親父さんの後ろに付いて行き、中庭へ。

「さ、素振りをしてみてくれ」

「ちっ」

ホープは不機嫌になりながらも、綺麗に構えてシュンッと振った。

「えっ?」

「うむ、綺麗な剣筋だ。その腕前が有るにもかかわらず、剣に負担を掛けてるんだ。体格に合ってないか、体勢が整わないまま無茶に使ったかどっちかだな」

「どっちもだな、ホープ」

「は、はい…」

「剣には相性というものがある。 誂(あつら) えではなく、完成品を買うならそいつがお勧めだ」

「誂えるともっと違うのか?」

ホープも親父さんを認めたようで素直に質問をする。

「今持ってるそいつと劇的に変わるわけではないが、身体の一部になったかのような剣を打ってやる」

「だってよ、ホープどうする?俺はこれから剣に命を預けるなら、専用に打ってもらった方がいいと思う。それと、今持ってる剣は予備としてあった方がいいな」

マーギンがアドバイスをする。

「予備…?」

「あぁ。恐らく身体にあった剣に変えるとスピードが上がる。今まで使っていた剣と感覚が変わるから剣を痛める可能性があるんだよ。市販品を使って慣れた頃に誂えのを使うようにしたらいいんじゃないか?」

「マーギンの言う通りじゃな。まぁ、選ぶのはお前さんだ。好きにしろ。ちなみにその剣は100万Gだ。それより性能を上げた誂え品なら300万Gぐらいだな」

「かなり高いな…」

「ホープ、恐らく今持っている剣も本来は今聞いた値段より高いぞ。実に見事な剣だ」

「本来はもっと値段が高い…」

親父さんはオルターネンの言葉を聞いてフッと笑った。多分あの剣は腕のある奴にしか売るつもりのなかった剣なのだろう。

「親父さん、特務隊の防具を作ってくれない?」

ホープが返事を迷っているようなので、先に用件を伝える。

「防具か」

「そう。これから厳しい状況になって行く。素材は提供するから」

「なんの素材だ?」

「前に見せた大トカゲのウロコだよ。あれを防具と盾に加工して欲しい」

「何っ?あのウロコを加工するのか?」

「盾は大きなウロコを使えば簡単だと思うんだけど、防具への加工が難しそうなんだよね。叩いても形はかわらないし、熱でも変形しないから」

「あいつは斬るのも難しいぞ」

「だよねぇ、素材としては一級品なんだけど、加工しにくいのが難点だよね」

「どんな防具を考えている?」

「言葉で説明するの難しいね」

なら、家で話を聞くと言うので、家に入ってマーギンは特務隊の防具の構想と、ロッカ達の防具の構想を紙に書いて伝えていく。

「なるほどな。動きを阻害せずに強度も保つ訳か」

「それと靴も作れる?」

「靴は他の職人に頼む事になるな。特別な奴が必要なのか?」

「ウロコの加工が出来たら、つま先をガードするような物が欲しいんだよね」

イメージは安全靴だ。それに底の強化。鋭いトゲを持つ虫系の魔物を踏んでも貫通しないものが欲しいのだ。

「つま先はウロコの加工が出来たらなんとかなるな。すでに大工とか履いてるからな。しかし、底を固くしちまうと動きにくくなるぞ」

「そうだよねぇ。ならそれは後回しで、こんな装置とかは作れる?」

マーギンが提案したのは靴底にトゲのような物が出る靴。日頃は仕舞っておいて、必要な時だけ出せる物を考えているのだ。

「氷の上でも歩くのか?」

「いや、木登りするのに便利かなって」

「は?」

「アイリスがどんくさいから、素早く木に登れないんだよ」

「木登りか。なら靴に加工するより、別付けの方がいいんじゃねぇのか?」

と、親父さんが代案をくれた。これなら今の靴に付けられるし、その方がいいかもと採用することに。

「はい、お昼ご飯食べて行ってね」

話が一段落付いた時にお母さんがお昼ご飯を用意してくれた。

「いつもすいません」

「いいのよぉ。どの方がロッカを貰って下さるのかわかりませんが、娘を宜しくお願い致します」

特務隊の誰でもいいからロッカを貰ってくれと言う母親。

「母さんっ」

ロッカは真っ赤だ。家に誰か男が来る度にこれをやられたらたまらんわな。

その後、親父さんはホープの身体をペタペタと触り、中庭で何度も剣を振らせて、どんな剣を打つか確かめていた。ホープはまだ買うとは言ってないのに…

ウロコの防具は加工方法の目処が付いたら手を付けてくれるそうだ。まだたくさん持ってるから気にせず色々と実験しておいてと言っておく。本当にたくさんあるのだ。

用件は済んだのでグラマン工房を後にする。

「ホープ、どうした?浮かない顔だな」

「ええ…」

「良い剣を打ってくれることになったのが嬉しくないのか?」

オルターネンは浮かぬ顔をするホープに怪訝な顔をする。

「支払いって、分割でも可能なんですかね…?」

「支払いが難しそうなのか?」

「家に頼めばなんとかなるとは思いますが、今の自分のお金だけでは…」

ホープは貴族ではあるが、家を継がないらしく、騎士隊の給金だけで生活をしているようだ。役職でもないから、そこまで高い給金を貰っているわけではないのは前にローズに聞いた。

「大隊長に頼めば前借りみたいな事が出来ると思うぞ」

「本当ですか?」

「あぁ、俺も一緒に頼んでやる」

オルターネンがそう言うとホープの顔は少し晴れたのであった。

その後、組合に顔を出して、急ぎの依頼がないかを確認してから解散。

マーギンはガキ共を連れて森へ向い、ロッカ達は家に帰ることにした。

ーロッカ達ー

「なぁ、ロッカ。貴族ってみんな金持ちってわけじゃねーんだな。うちらの方が稼いでんじゃねーかよ」

「馬鹿者。私たちもマーギンがいたからこそあんなに稼げたのだ。稼いでいる方とはいえ、普通にハンターをやっていてあんなに金が貯まるかっ」

「まぁ、そうだよなぁ。マーギンの野郎、一人でハンターやってりゃ、相当稼げんのにな」

「マーギンは稼ごうと思えばハンターなんかしなくても稼げるわよ」

「何で稼ぐんだよ?」

「忘れたの?アイリスに持たせたマジックバッグのこと」

「あぁ、そうだった。あいつ普通のカバンくれるみたいに渡しやがったんだよな」

「あれ、私達が一生掛かっても買えないぐらい価値があると思うわよ」

「マジかっ」

「ええ。それにタイベでの商材が軌道に乗ればうちの実家よりずっと大きな商会になるかもしれないわね」

「え?」

「それに魔道具も作れるでしょ?何も危険なハンターの事に足を突っ込む必要はないの」

「なら、何でハンターやってんだよ?」

「さぁ?バネッサに惚れたからじゃない?」

「うっ、うっ、嘘つけっ」

「嘘よ」

「てっ、てんめぇっ」

特訓の前に日常を楽しむかのようにシスコはバネッサをからかって遊ぶのだった。

マーギンは森に行き、大きな木を見てこれでいいかと言う。

「木なんて何に使うんだ?」

カザフ達は疑問に思う。

「アイリスとシスコ用だな。あいつらの特訓には木を使う予定にしている」

「木登りさせんのか?」

「そう。お前らには必要の無い特訓だ。シスコとアイリスは敵から離れて仕留めるスタイルだから木に登れる方がいい。それも素早くな」

マーギンはシスコに体力トレーニングだけでもいいかと聞かれて、いいよと答えた。しかし、合格が出るまで延々と木登りをさせられるとは想像していないのであった。