軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

剥製を作ろう

ロッカとオルターネンがあっちのテーブルに戻る。

「マーギン、あれ出してよ」

「なんだあれって?」

カザフ達があれを出してくれというが、マーギンは意味がわからない。

「頭だよ、頭っ」

「頭?あー、あれか」

マーギンはすっかり忘れていたカジキの頭をどんと出した。

「大将っ、見てくれよ。トルクが海で仕留めたんだぜっ」

3人はカジキの頭を持って大将に近付く。お前らそれで刺すなよ。

カジキの 吻(フン) を大将に突き付けて、ほら、凄いと言えと脅しているようだ。

「なっなっなんだこれはっ」

「カジキ。タイベに行くときに泳いでいるのを見つけて、トルクが矢で仕留めたんだ」

「仕留めたのはマーギンだよ」

「でも矢を射ったのトルクじゃん」

「そうだ。これはトルクの成果だが、仕留められたのはお前ら全員の力があってこそだな」

「ほう、どうやって仕留めた?」

ロドリゲスが仕留め方を聞いてくる。

「矢に糸を括りつけてな、それを刺して引っ張り上げたんだ。もう無理かと思った時に向こうから攻撃してきたから運も良かったな」

マーギンがその時の状況をロドリゲスに説明する。

「なるほど、小回りの利かない船でよく仕留めたもんだ」

と、感心していた。

「マーギン、この頭はどうするつもりだ?」

次は大隊長から。

「大将に見せたら役目は終わりですね。頬肉取って捨てるつもりでしたけど?」

「剥製にするか?これだけ見事だと置いておきたいのではないか?」

「魚の剥製?」

「あぁ、作るなら知り合いの剥製職人を紹介してやろう。俺からの紹介ならぼったくる事もないだろうし、腕も良いぞ」

「だってさ、お前らこれを剥製にしたいか?」

「置いとけんの?」

「みたいだぞ」

「作りたいっ!大将、これ剥製にしたらここに飾ってくれる?」

「おっ、おお、いいぞ。是非そうしてくれ」

「大隊長、腕がいいなら、もう一つお願いしたい奴があるんだけど」

「何を剥製にするのだ?」

「シスコ、ハンナ、ナナイロフクロウの剥製を大隊長の知り合いに頼むか?」

「お願いしてしまってもいいのかしら?」

「どこに頼むつもりだったんだ?」

「父の商会を通じて探すつもりだったの」

「なら大隊長に頼んだ方がいいか。お前も実家に頼み事するの嫌だろ?」

「そうね… 大隊長、お願いしても宜しいでしょうか?」

「かまわんぞ。で、物はどんな奴だ?」

「見る?」

「あるなら見せてくれ」

結構デカいのでテーブルをずぞぞぞと避けてスペースを作る。

「よっ」

マーギンはピンクフクロウを出した。

「な、なんだこいつは…」

「ナナイロフクロウ。タイベで大モグラ討伐の時にバネッサを襲いに来たんだ」

「こんな目立つ色の鳥がいるのか?」

「こいつは羽の色を変えられる鳥でね、殺す前に羽の色を変えさせたんだよ。シスコ達がそのうち王都に店を開く予定にしているから、看板代わりに使おうと思ってね」

「マーギン、ナナイロフクロウって、木や土、闇に擬態するんじゃないのか?」

と、ナナイロフクロウの事を知っているロドリゲスが聞いてくる。

「こいつは目に映った色に羽の色を変えるんだよ。シスコ達に希望の色を聞いたらピンクがいいと言ったからな。ピンクの宝石を見せて色を変えてから殺った。死ぬとその時の羽の色で固定されるんだよ」

「そうだったのか。なぜナナイロって名前が付いているか不思議だったんだ」

「こいつは王都にもいるのか?」

「いや、文献に残ってるだけだ」

「そういやさ、いつも文献っていうけど、魔物図鑑とかあるのか?」

「組合には討伐された魔物は記録として残っていく。後は過去の文献を見付けたらまとめておいたりとかだな。文字だけの奴もいるし、古すぎて何が書いてあるのかも分からん奴もいる」

「ハンターにそれを見せたりしないのか?」

「情報の正誤の確認が取れてない奴も多いからハンターには見せていない。正しいと確認が取れた奴は教えていくけどな。まぁ、珍しい魔物とかはハンターの財産でもあったりするから、倒し方とか情報共有するのも難しかったりするしよ」

なるほど。ハンターで生計を立てていたら、旨い飯の種を明かさないってのも理解出来るな。

「その文献で俺が知ってる魔物がいるなら情報提供をするぞ。開示するかどうかは組合が決めればいいしな。ただ、魔蛾みたいに文献と俺の認識が違う奴もいるかもしれん」

「お前の情報の方が危険度が上だろうからそれは構わん。時間のある時に組合に来てくれ」

「了解」

「マーギン、これは個人で扱うのか?」

と、大隊長が聞いてくる。

「ナナイロフクロウの事?」

「そうだ」

「シスコ達の店の看板代わりに使うつもりだから、そうなるね」

「ふむ…」

「何か問題あります?」

「店の開店はいつ頃を予定している?」

「3年後とかじゃないかな?」

「分かった。後で話す」

と、大隊長は含みを持たせて話を終え、皆がフクロウにペタペタ触るので、汚される前に収納しておくのだった。

散々飲み食いしたところでお開きに。店が終わってからの宴会だったので、結構遅い時間なのだ。

洗い物はマーギンがやり、片付けはガキ共がやってくれた。

「マーギン、訓練場使用と宿舎の手配をしておくから3日程時間をくれ。他に何か用意しておくものはあるか?」

「んー、ではマットとかあればお願いします」

「マット?」

「はい。コケても死なないようにするためのベッド用のマットをいくつか」

「コケて死ぬ?」

「はい。特訓はそういうのもありますので。慣れて来たらマットも使わないですけど、初めぐらいはね」

と、マーギンがニコっとしたのが大隊長には恐ろしい顔に見えたのだった。

ー店を出た一行ー

ローズとカタリーナは大隊長と特務隊がいるので貴族門まで送る必要がない。

「カタリーナ、お使いを頼んでいいか?」

「何?」

「これをお母さんに渡してくれ」

「何が入ってるの?」

「ドライヤーと珍しい花の蜜だ。前に中庭で飯食った時にドライヤーを渡す約束をしたんだけどな、作るのに時間がかかってしまったんだ。花の蜜はそのお詫びだ。ドライヤーの使い方は手紙を入れてあるから簡単に使えると思う」

「自分で渡しに行けばいいのに」

なんて恐ろしい事を言うのだお前は。

「直接伺ったら大事になるだろうが。じゃ、お使い頼んだぞ」

ドーレミファー♪

カタリーナがマーギンのお使いを受けた事で、脳内にメロディが流れる。

「お前、俺にラリパッパ掛けた?」

「かっ、掛けてへんでっ」

あらぬ疑いを掛けられるハンナリー。

「ロッカ、訓練開始は3日くらい後になりそうだ。それまでにみんなで話し合っておいてくれ」

「分かった。明日はどうするのだ?」

「組合に顔を出してくる。魔物情報のすり合わせをするわ」

「分かった。私達は特務隊と今後の打ち合わせをしておく」

こうして全員解散したのだった。

ー翌日ー

「お前ら一緒に来るか?それともロッカ達の所に行くか?」

「組合長の所で魔物の話をするんだろ?」

「その予定だぞ」

「なら、俺達もその話を聞きたい」

というので、ガキ共を連れてハンター組合へ。

ー組合長室ー

「早速来てくれたのか。じゃ、やろうか」

と、きっちりと整理された文献を見ていく。ロドリゲスはこんな見た目だけど、ちゃんとしてるんだな。

現在確認されている物は大丈夫。白蛇もちゃんと追加されていたし、魔狼の詳しい話も追加されていた。

「この魔鳥は現存しているのか?」

「あぁ、最西端で確認されている。討伐はされてないな」

マーギンが見た記録はダチョウみたいな魔鳥だ。昔はそのままマチョウという名前が付いていた。ややこしいからダチョウでいいか。

「こいつはダチョウだね。群れで行動する。足が速くて蹴り攻撃が厄介だな。一度蹴られて転ぶと寄って集って蹴り殺される。足の爪はゴツくて鋭い。胴体は丈夫で柔らかい羽だから相当斬れ味の良い剣じゃないと致命傷を与えられん。足を狙うと鋭い蹴りが来るから剣士で倒せる奴は少ないかもしれん。魔法使いか弓使いの遠距離攻撃を勧める。首をピンポイントで狙えないとダメだけどな」

「厄介だな」

「でもこいつは肉と卵が旨いんだよ。鶏肉というより牛肉の赤身に近い。もっと近くに出たらいいのにね」

「やめろっ。遠距離攻撃しか出来ない奴が群れで出たらどのパーティがやるってんだ」

「遠距離攻撃出来る奴少ないのか?」

「そもそも攻撃魔法を使える奴が少ないからな」

「弓使いは?」

「多くはねぇな。ほら、弓使いって地味だろ?狩人には弓使いが多いけどな」

なるほど。

「ハンターにも増やした方がいいかもな。ダチョウとか鳥系の魔物の買取額を上げたら?カッコ良さより実を取るパーティも出てくんだろ」

「そうかもな。シスコが使ってる弓はお前からもらったそうだが、ありゃなんだ?」

「コンパウンドボウってやつで、滑車を使って軽い力で弓を引けるように出来てる。あのサイズで大弓と同じぐらいの威力があるぞ」

「お前作れるか?」

「仕組みは知ってるけど、作るのは職人だね。ボールベアリングの作成にも取り掛かってるから、そのうち似たような物が作れると思うぞ」

マーギンはボールベアリングとはと説明する。

「ほぅ、他にも応用が利きそうだな」

「回転するもの全てに使えるからね。魔道具には重宝すると思うよ。家具とかにも使えるしね」

「家具?」

「重いものを仕舞う引き出しとかに使えば軽く開け閉め出来る。重い引き戸とかにもな。ゴロゴロだけでも出来るけど、耐久性とか滑らかさを考えるとボールベアリング内蔵の方がいいぞ」

「お前、本当に何でも知ってんな。本業はなんだ?」

「魔法書店」

「嘘つけっ」

確かに。まったく店を開けていない。

「それより、早く他の魔物のことやろうぜ」

「あぁ、そうだな」

脱線した話を元に戻して、魔物の事を教えていくマーギンなのであった。