軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

雨乞いの儀式だソイヤッ

ご馳走様をした後にテントを張って就寝準備。

「あー、どないしよ。なんかほんまに商売始めるんかと思うたら緊張してきたわ」

当然のようにハンナリーがこっちのテントにやってくる。

「お前、自分のテントあるだろ?」

「固いこと言いなや。こっちのテントは涼しいてええやん」

マーギンのテントは拡張機能と空調機能も付いているのだ。夜とはいえ蒸し暑い気候なので自分のテントだと寝苦しいからこっちに来たようだ。

「お前がこっちに来たら狭いだろうが。カザフ達と寝る分しか広げてないんだから」

「イケズ言いなや。暑さを我慢しても蚊おるやろ?寝てる時に耳元でプイーンって来たら目ぇ覚めるやん」

確かにあの音はしんそこむかつくけれども。

「ちょっと蚊取り線香を試してみるか。お前は自分のテントで寝ろ。蚊取り線香を焚いてやる」

いやや、こっちで寝たいと騒ぐハンナリーを引き離して自分のテントを張らせる。入口は開けっ放しにして、そこに自作蚊取り線香をセットした。

「これで蚊の侵入を阻止できたら売り物になる。お前の商材になるかもしれないから自分で試せ」

「ええーっ、ロッカ達に試してもろたらええやん」

「お前の商材になるものだろ?商会長自ら試すのが正しい。人を実験台に使うな」

と、ハンナリーを実験台に使うマーギン。

「失敗して蚊に刺されたらどうすんねんな。痒い痒いになるやんか」

「なら刺された時用に痒み止め作っておくか」

マーギンは草を燃やして灰にしてから水と混ぜていく。

「なんなんこれ?こんなばっちいの塗るん嫌やで」

「上澄みだけとって煮沸しといてやるから汚くない。蚊に刺されて痒くなる前にこれで刺された所を洗え。それで痒くならんはずだ」

「ほんまかいな?」

と、疑わしい目で見るハンナリー。

「最後に綺麗な水で洗い流せよ。肌が荒れるぞ」

「え?そうなん。危ないやん」

「いきなり肌荒れする訳じゃない。もし荒れたら治癒魔法を掛けてやるから心配すんな」

と、ハンナリーをとっととテントに押し込んだのだった。

ロッカ達も蚊取り線香が欲しいとのことなのでそちらにも設置。自分のテントはきっちりと閉めてエアコンを掛けて寝たのだった。

ー翌朝ー

「めっちゃ刺されてるやんかっ」

哀れハンナリーの蚊取り線香は途中で消えてしまったようで顔のあちこちが赤く腫れている。ロッカ達のは消えなかったので大丈夫なようだ。蚊取り線香としての効能はちゃんとあるようだ。

「ぷいーんって飛んで来たら目が覚めるんだろ?」

「寝入ってしもたらそんなん気ぃつかへんわっ。どないしてくれんねんこれっ」

プンスカと怒るハンナリー。もうここまで赤く腫れて痒くなってしまっては灰で作った虫刺され水の効果はない。

「治癒魔法で治してやる」

マーギンは蚊に刺されて赤くなっている所に虫刺され薬を塗るように治癒魔法を掛けていく。

「ほら、もう痒くないだろ」

「せ、背中とかも痒いねん…」

と、後ろを向いて背中を出すハンナリー。

「はい、終わり」

「まだや…」

「あとはどこだ?」

「お、お尻…」

「は?お前まさか真っ裸で寝てたんじゃないだろうなっ。何で尻なんて蚊に刺されんだよ」

「ちゃ、ちゃうで た、たまたまや」

慌てるハンナリー。こいつ絶対に真っ裸で寝てやがったな。入口全開で真っ裸で寝るなよ。外から丸見えじゃねーか。

さすがにハンナリーも皆の前でお尻を出すのは恥ずかしいようで、テントの中で尻だけ出させて治癒魔法を掛けてやったのだった。

朝ご飯を食べ、ダラダラと夕方近くまで過ごしてから雨乞いの儀式会場へ向う。

「おっ、来たか」

ゴイルがお出迎え。儀式用の服が民族衣装っぽくてなかなか良い。観光気分を堪能できるな。

そして村人もぞろぞろと集まってくる。衣装は普通だが貝で作った長いネックレスのような物をネクタイみたいに首から下げている。お祈りグッズなのかな?

ここで座っててくれと言われた場所で始まるのを待っていると、大勢の村人が儀式の舞台の周りに円になって並んでいく。儀式に参加する人数って多いんだな。

そして舞台周りの 篝火(かがりび) に火をつけ、ゴイル達演奏者が出てきた。飲み屋のステージの時よりも人数が多い。大太鼓みたいなのもあるんだな。

そしてドコココンっ ドコココンっと太鼓が打ち鳴らされたのが合図のようで笛とか他の楽器も鳴りだした。

ん?

ドドンっドンドコドンゴドンドコ♪

なんかもっと幻想的というか神秘的な音楽を勝手に想像していたが軽快なリズムで打ち鳴らされる太鼓。そしてそのリズムがどんどんとスピードを上げていく。次に笛の音が鳴り始めた。

ピーピーピーピピッピッヒャララララッ♪

ピーピーピーピピッピッヒャララララッ♪

そこにアラジンに出てくる姫様みたいな衣装を着たマーイ登場。それをきっかけに舞台を囲んでいた村人達も立ち上がる。

ピーピーピーピピッピッヒャララララッ♪

「降れっ」

ピーピーピーピピッピッヒャララララッ♪

「降れっ」

「あーめ あめあめ 降ーれよー 雨は降るからこそ美しい〜♪」

マーイがなんか聞いた事のあるメロディで歌いだす。

「降れっ 降れっ」

「ハイッ ハイッ」

「降れっ 降れっ」

「ハイッ ハイッ」

マーイが歌い、降れっ降れっと両手を斜め上に上げて踊ると村人達がハイッハイッと合いの手を入れてその場で両手を上げる。

なんだこれ?

「ハンナ、お前ラリパッパ掛けた?」

「かっ、掛けてへんで」

ラリパッパしたか?と聞かれたハンナリーは慌てて手を振る。

そして「降れっ」とゴイルが大声を張る。それと同時に地面に両手をついて構える。そして村人達が降れっ降れっハイッハイッと踊りながら右上方向と左上方向に両手を上げて踊る。

「マーギン、雨乞いの儀式ってこんなんなんだな」

カザフがへぇぇって言いながら見ている。俺も初めて見るけど、想像と全然違ったよ。

そして村人がこっちに来てマーギン達の手を取る。一緒に踊れということらしく降れっ降れっハイッハイッと踊らされたのだった。

1時間程踊り続けた後にポツポツっと雨が降り出した。

「雨が降って来たぞーっ」

雨が降り出した事でようやく踊りがストップ。

「もうくったくたよ…」

シスコがその場でへたり込むとロッカ、バネッサ、カザフ、タジキもへたり込んだ。村人達も大勢力尽きてへたり込んでいる。

ザーーーーッ

ポツポツ雨が本降りになってきたのでテントに避難しようとすると、村人達はその場で感謝の祈りを捧げ出した。なんか勝手にこの場を離れたらダメな雰囲気だ。

こちらのメンバーでちゃんと立っているのはアイリス、トルク、ハンナリーだけ。俺も疲れはしたがへたり込んで立てなくなるほどでもない。体力のあるロッカまでへたり込んで立てないのはなんかおかしいな?

ちょいと鑑定をしてみる。

あっ…

へたり込んでいる5人はみんな魔力値が20%を切ってる。これは疲れもあるだろうが魔力切れで立てなくなってるのか。ということはこの儀式は集団で天候を操る魔法なのか?ミスティが知ったら嬉々として研究しそうだな。

そしてしばらく感謝の祈りを捧げた後に雨の中で宴が始まる。

「こんな雨の中で飯食うのかよ…」

ヘタリ込んでいるバネッサが文句を言うけど、同感である。

「マーギン、儀式は成功だ。今から宴だぞ」

「こんな雨の中で何を食うんだよ?」

「まぁ、殆どが酒だ。ほれ、こいつを飲め」

と、渡されたのはドブロクだろうか。

「旨いねこれ」

「だろ?特別にマーイのだぞ」

は?

「マーイのって?」

「これは儀式用の酒で特別なやつだ」

ゴイルは詳しく説明してくれなかったけど、もしかして口噛み酒なんじゃなかろうか…

いや、それを想像してはいけない。もう飲んでしまったのだから…

そしてロッカ達にも酒が振る舞われている。口噛み酒かもしれないということは黙っておこう。

食い物は雨の中で食べても問題ないようなものだけど、フルーツ類はまだ良い。が、ふやけた干し肉とかいらん。

酒も食べ物も一度舞台に飾るというかお供えみたいにしてから皆に振る舞われていく。ガキ共には縁起物だとの意味で酒は一口だけ飲ませてやる。巻き添えだとは言わない。巻き添えを食らったとは知らずにふやけた干し肉とかバンバン食ってる。ロッカ達はほぼ酒だけ飲んでいるようだ。

マーギンはマーイの酒と言って渡されたものを二口目から飲むのを躊躇しているとマーイがこっちにやってきた。

「お疲れーっ さ、飲んで飲んで。神様はこうして一緒に飲む事を喜んでくれるの。神様って宴会好きなのよ」

飲ーんで飲んで飲んで♪飲ーんで飲んで飲んで、はいマーギン♪とコールされるかの如く手拍子をされる。

ええーい、一度飲んだからもう同じだっ。

マーギンは覚悟を決めて注がれた酒を飲む。

「お兄のお酒美味しい?」

「お兄のお酒…?これマーイのじゃ…」

「私のはお供えしたままよ。それはお兄が作ったやつ」

マーギンは思わずブーーツと酒を吹いてしまうのであった。