軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【準決勝】第一試合

再度ログインを果たした俺は深呼吸をしていた。

吸って、吐く。

吸って、吐く。

「よし、どんと来い!」

この際だ、意地でも優勝目指してやる!

その為には万事屋を叩きのめす!

まず彼に勝てなければ、ヒーロー云々以前の話だ。

[インターバルが終了しました]

直後、再度ホログラムモニターが展開される。

あの仮面の案内人が、再び姿を現した。

「――――諸君、短き休息は楽しめたでしょうか」

淡々とした声音。

だがその奥に、微かな愉悦が滲んでいるようにも感じられる。

「先程の試合、見事でした。勝ち上がった者たちは、その実力を十分に証明したと言えるでしょう」

仮面の案内人の拍手の音が伝わる。

準々決勝のプレイヤー達は、誰もが 猛(・) 者(・) と呼ぶに相応しい者達ばかりだった。

「ですが――――ここから先は、更に過酷な領域となります。これより、トーナメント準決勝を開始します」

――――ここからが正念場だ。

準決勝を制す。

それのみが、決勝へと進出するチケットとなる。

[第一試合 開始準備]

次の瞬間、周囲の空間が歪む。

すると、辺りに 赤(・) い光が照らし出された。

『トーナメント ドラキュラ城(外)』

戦場に選ばれた景色はドラキュラ城の外。

後ろを振り返ると、かつて飛雷神との決闘を行った荘厳な雰囲気に包まれた城が、背景のように立ち並んでいた。

ドラキュラ城の外は針葉樹の森であり、赤き月の光が森の木々を怪しく照らしつける。

「こんな俺と合った戦場を用意してくれるなんて、とんだサプライズだな……お前もそう思うだろ? 万事屋」

「そうだね、まるで今から倒されるボスエネミーのバトルフィールドみたいだ」

“万事屋”は飄々とした態度を崩さない。

まるで俺を倒せる事を 確(・) 信(・) しているように話し出す。

「むしろ、真の強キャラが三流を圧倒する時の場面じゃないか?」

「……自分がその「真の強キャラ」だって? 中々冗談が上手いね!」

「あ〜流石に「真の強キャラ」は言い過ぎたな。だが、お前が 三(・) 流(・) なのは変わらない事実だし、そこまで違いは無いだろ?」

「……あ?」

初めて、万事屋の顔が曇る。

やはり、こいつ煽りに弱いな。

「万事屋、せっかくこんな晴れ舞台を運営が用意して貰ったんだ。小便垂らしてサレンダーなんてしないでくれよ?」

「……ここまでコケにされたのは生まれて初めてだよ!」

万事屋の顔が歪む。

青筋を立て、俺を睨み付ける。

「――――良いだろう、 粛(・) 清(・) してやる!」

[プレイヤー 万事屋は準備完了しました]

「なら、俺から言える事はこれだけだ――――やれるものならやってみな」

[プレイヤー 赤月は準備完了しました]

[第一試合 開始まで]

両者、武器遺物を構える。

[3]

万事屋は『高圧水撃砲』を構えていた。

それに加え、『波翔板』を出現させて上に乗る。

その『波翔板』の後ろから大量の水が放出されていた。

――――全力で叩き潰す。

[2]

対する俺は『災極双転銃』を構える。

赤と青の二丁拳銃を持ち、格好良くポーズを決める。

まるで自分自身が主役とばかりに魅せ付けていた。

――――かかって来やがれ。

[1]

一瞬、沈黙が流れる。

お互い、同じ事を思考する。

目の前の大敵を討ち滅ぼし、決勝へと進出してやろう。

[0]

[第一試合 開始]

「【極性災雷】」

第一試合の開始と同刻。

『波翔板』が前方へと勢い良く射出される。

それと同時に、俺は横に飛び出して転がり回避する。

ビュンッ!

その回避方向を読んでいたのか、『高圧水撃砲』を縦に振り、水圧光線を斬撃の如く振り下ろした。

万事屋はサーフボードの射出と同時に 上(・) へ跳躍していた。

『波翔板』のみを前方に飛ばして牽制しながら、本命の水の光線で仕留めるコンボ。

――――本来であれば、ここで終わっていただろう。

「……避けた?!」

俺はサーフボードを避けるのと同時に少し遠くにある岩に青の雷弾を、そして自身に赤の雷弾を当て、磁力の引力で飛び出した。

それにより、本来不可避の攻撃を難なく躱す速度を得る。

バババババババババン!

加えて、相手の居る位置は 空(・) 中(・) 。

この雷弾の連射を全て躱す事など不可能だ。

「ぐっ……!」

赤と青が混ざり、紫の雷撃が万事屋を襲う。

俺を倒す為に生存を捨て、初見殺しの戦略に全振りした攻撃など、対策さえしてしまえば――――

こうして反撃の隙が大きく生まれてしまう訳だ。

「しくったな三流!」

「ま……だだ!」

突然、サーフボードは急転換して万事屋の方へ飛来する。

万事屋はそのサーフボードを呼び寄せて、危機を脱出しようと手を伸ば――――

「――――あぇ?」

――――触れられない。

まるで見えない 力(・) が、万事屋とサーフボードを反発し合っているようだった。

「残念。どうやらサーフボードに 嫌(・) わ(・) れ(・) た(・) みたいだな」

俺は無慈悲にも災極双転銃の引き金を引き続ける。

「この、クソ傲慢野――――」

バババババババババン!

[プレイヤーネーム 赤月が第一試合に勝利しました]

[プレイヤーネーム 赤月は決勝に進出しました]