軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

チル、それはクエストのすゝめ

「やっぱここの景色良いよな……」

ログインした俺は『ノドカ山脈』の景色を眺めていた。

澄んだ空気に、温かな日差し、それに加え山を一望出来るスポットと来た。

これだけでも『蜜密洞窟』を攻略した甲斐はあったというものだ。

俺は景色を眺めながら、討伐報酬を見やる。

もう5000HGは見慣れてしまったな。

感覚麻痺が起きている気がする。

そして2つの遺物は――――

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

毒蜜女王の毒腺輪

体力 30

魔力 30

毒効力 1毎2

状態異常命中 +40%

毒蜜女王ヴェスパ=レギナからドロップする遺物。

女王の体内で脈打っていた毒腺そのものの指輪。

甘美な蜜は命を蝕み、同時に力を与える。

それは祝福か、呪いか。

【紫蜜ノ血】

種類 常時

相手に毒を与える事に特化したスキル。

自身の全ての攻撃に毒の状態異常を付与する事が出来る。

蜂王の統率環

体力 30

魔力 30

毒蜜女王ヴェスパ=レギナからドロップする遺物。

女王が羽音一つで戦場を支配していた証。

その冠を頭に嵌めた者は、無数の意志の中心となる。

【群体支配】

種類 常時

周囲の味方を強化するスキル。

戦闘直後、自身の周囲に「蜂王の支配圏」を展開し、敵味方全てを強制的に「群れ」として扱う。

「群れ」となった敵の防御力を10%低下する。

「群れ」となった味方の攻撃力を10%上昇する。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「なる程、凄いオモロイな」

『毒蜜女王の毒腺輪』は言わずもがな、付けておくだけで攻撃したら毒の状態異常を付与出来る。

俺の状態異常ビルドに最適の遺物と言える。

そして、『蜂王の統率環』。

これは対多数に強く出れる遺物だ。

バフデバフ共に10%と量こそ少ないが、俺の周囲に立つだけで勝手に相手にデバフが入るし味方にもバフが入る。

要するに使い勝手が良い。

「『元気の御守り』と『蒼炎の炉心核』はおさらばだな」

元々『元気の御守り』は数合わせに買ったものだし、『蒼炎の炉心核』はそこまで使わなかったからな。

ここらで更新しておくの方が良いだろう。

「さて、このまま『ノドカ山脈』を――――と言いたい所だが、流石に一旦戻るか」

実の所、集会所のクエストを全くやっていないんだ。

度重なるダンジョン攻略にも、一旦箸休めを置いても良いのではなかろうか。

「まだやってない依頼のクエスト多そうだな……」

今日はゆっくりクエスト回だな。

まだやっていない依頼を簡単な方からこなしてみよう。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「うわ、マジでやってないクエスト多いじゃん」

目の前には無数の数のクエストが表示されている。

そして、そのどれもが「未達成」だった。

「コツコツやるか〜」

「――――おや、珍しいお方がいらっしゃいますね」

ふと隣から声をかけられた。

プレイヤーネームは“クワバラ料理人”。

非常に顔立ちの良いコックのような格好をしている。

「攻略の最前列に立たれるお方が、どうしてこんな所に?」

「……あぁ、最近ダンジョン行きまくってたもんでな。気分転換にクエスト消化しようとしてるんだ」

「なる程……良ければ一緒にどうですか? 私も、丁度未達成の依頼を片付けようとしていた所です」

「そうか? なら話し相手にでもなって貰おうかな」

[プレイヤー クワバラ料理人がパーティ申請を承認しました]

見た所、結構丁寧な男性プレイヤーだな。

服装も清潔感があって……何か、出来る大人みたいだな。

「そうですね……この依頼なんてどうでしょう」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

静寂なる一時にザリガニはいかが?

達成条件 ザリガニ×5を入手する

報酬 500HG、『遺物強化剤』

依頼内容

妖精達の中でザリガニが流行っているそうです。

良かったら釣ってきて下さいませんか?

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「凄いチルな依頼持ってきたな……良いね、それにしよう」

[クエスト「静寂なる一時にザリガニはいかが?」を受注しました]

「――――ちょっと待て、『遺物強化剤』?」

何か初めて見る単語が報酬にあるんだが……。

「これは遺物のステータスを強化してくれるアイテムですね。強化幅は少ないですが、遺物の地力を底上げしてくれるので案外馬鹿になりませんよ」

「…………マジか、依頼クエスト大事じゃん!」

遺物のステータス強化なんて誰もが欲しがる奴だよそれ。

強化幅が少ないのは仕方ないとしても、追加で強化してくれるだけで有り難い代物だよな……。

「……本当に依頼クエストやっていなかったんですね」

「マジでありがとう。もしかしたら救世主かもしれん……」

これ暇のある時に依頼クエストやっとくべきだな。

最近敵が硬くなってきたな〜とか思っていたら、そりゃダメージあんま通らないわ。

「ははは、大袈裟ですよ」

「いやいや、この手のゲームって、こういう細かな知識が大事だったりするからな……あ、フレンド申請良いか?」

「えぇ、是非とも」

[プレイヤー クワバラ料理人がフレンド申請を承認しました]

この後も凄い雑談が弾んだ。